表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

白陶の椅子

博麗の巫女から聞いた話である。

食事どきには向かないが、里の習俗がうかがえるため、ここに記しておく。


霧雨魔理沙と行動を共にすることが多いが、この魔法使いはことあるごとに吐いている。

宴の途中でふらふらと立ち上がり、風を浴びてくると言い残して外に出ていくのは定番である。そのほか、幻覚茸を誤って食べたり、外から流れついた菓子や“レトルトカレー”を好んで食べるのも原因だろう。


薬売りの兎の話によれば、流れつく食べものは包み紙が鮮やかで好奇心をそそるが、いつ誰が作ってどこに仕舞われていたものか分からず、むやみに口にすれば(あた)るらしい。


先日、二人で鍋を囲んだ折、魔理沙が里の露天で買った乾麺を放り込んで煮た。

魔理沙は「ラーメンというものだ」と得意げに語っていた。味は悪くなかったが、麺を持ってきた張本人は、翌日に食あたりを起こして寝込んでいた。


一日で治ったようで、ひどい目に遭った、と嘆きながら神社を訪ねてきた。久しぶりに命名決闘をしたところ、陰陽玉の当たりどころが悪く、腹に直撃してまた吐いていた。



香霖堂の一角に、つるりとした白陶の椅子がある。

霖之助によると、外の世界の「便器」というもので、腰掛けて用を足す仕組みらしい。

そんな使い方をすれば中に溜まる一方で、しかもかなり重く、ひっくり返して捨てることもできない。どう考えても穢いが、本来は内側から水が流れ出て清める造りらしい。今は水が湧かず、中身は空になっている。


霖之助が「ここで吐かないでくれよ」と釘を刺したところ、魔理沙は「誰が吐くか」と顔をしかめていた。

補遺


里の民が用を足すときは、母屋の外にある厠を使う。

雨風の強い折や夜中には、外に出ていくと危ないから、尿瓶や桶を使うこともある。用が済めば蓋をしておき、夜明けに厠に運んで捨てれば咎める者はない。


ところが、日中からこれを怠り、家の中で済ませる者もあるという。

足腰が悪いわけでもないのに、昼間から桶を使うのは怠け者の仕業とされ、大用を足すのは特に嫌がられる。そうした者を里では「ものぐさ太郎」と呼ぶ。


ものぐさは一度始めると癖になるから気をつけたほうが良い。桶に用を足すのは気分の良いものではなく、結局は厠に捨てに行かねばならぬから、手間のうえでも損である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ