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4話

村を出たノアは、東の森を30kmほど進んだ地点で兵士6人と馬車を発見。そしてすでに制圧を完了していた。


「ぎゃああああぁあ!!」


「いっ…いってぇぇぇ!!」


手足の関節を逆方向に折られた兵士達が、悲鳴を上げていた。


「んん~。いい声だ。ははっ。気分がよくなる。だが、やることもあるしそろそろ黙ってもらおう。」


少年は叫んでいる一人の兵士の頭を踏み潰した。頭はスイカのように簡単に潰れた。




「次許可なく口を開いたものは殺す。」


その瞬間、兵士達は驚くほど静かになった。

ほんの少しの声でも出せば殺されると実感したからだ。


「さてと、これからお前らにはいくつか質問する。それを答えること以外の一切を許可しない。いいな?」


苦痛に顔を歪めた兵士たちは必死にうなずいた。




「では、今何年だ?」


「はっ…823年です…。」


ふむ、823年。俺が捕まったのが815年だ。つまりあの裏切りの日から8年たったという事だな。そうか、8年も…。だが5勇者、あいつらはおそらく生きてるんだな。くくくっ。よかったよかった。


喜びを噛みしめるように、少年の口元が歪んだ。その表情に兵士たちは顔を青ざめる。


 


「では、次にガバゼウラ国を知っているか?」


「は、はい!知っています。というか俺たちはそこから来ました。」


「…なに?」


その言葉にノアは少し驚く。

ガバゼウラ国から来た?この広い世界で俺はそんな近くに転生していたのか?探す手間が省けたが、少し出来過ぎだな。う~ん、考えられる理由としたら魔王の能力か。ただ復活するだけじゃないのかもな。




「わかった、では8年前から現在までにガバゼウラ国に起きた大きい出来事を教えろ。」


「は、はい。え…っと、まず、大臣のレグルスが宰相になりました。」


ほう、どうやら国の乗っ取りは完了したようだな。まぁ、俺のような邪魔者もいなければ簡単だろう。


「他には?」


「い、異種族の奴隷制度が導入されました…。」


!異種族の奴隷制度…。そんなものをいれたのか。


そして…。なるほど。こいつらが村を襲った理由が分かった。異種族の奴隷集めか。先ほど商品がどうとか言ってたしな。大方、奴隷商に雇われた傭兵と言ったところか。




「終わりか?」


「い、いえあと一つ。ガバゼウラ国と獣人国デデッセが戦争を起こして、ガバゼウラ国が勝ちました。」


ん、まぁ、奴隷制度なんか入れれば当然戦争もおきるだろうな。だが、5勇者もいるんだ。返り討ちにされたようだな。


「わかった。ちなみにガバゼウラ国はこのまま東に行けばあるのか?」


「は、はい。70km地点にあります!」




ふむ、あらかた聞きたい情報は聞いたな。あとは実際ガバゼウラ国を訪れて、自分の目で確かめよう。


「では、また喋っていいというまで黙っておけ。」


「は、はい。」


そういうと傭兵たちはまたピタリと静かになった。




ノアはそのまま馬車に乗り込む。そして中をよく確認した。

そこでは、亜人の成人女性3人が女児4人を背にかばい、恐怖を必死に押し殺していた。


「まぁ、そう警戒するな。外にいたやつらは戦闘不能にした。ようはお前らは助かったわけだ。このまま村に帰ってもらっていい。」


「…え?」


「ほ、ホント?」


その言葉に子供たちは希望を抱き、かすかに笑みを浮かべた。しかし大人たちは変わらず警戒していた。それは目の前の少年が決して人を助けるような善人に見えないからだ。


「ふっ、お察しの通り別に優しさじゃない。お前らには興味がないだけだ。さっさと村に帰りな。」


「…。」


その言葉にも変わらず用心していた大人らだったが、一人の女がハッとしたような顔をして聞く。




「あ、あなた…。クロム?」


「ん…。あぁ、このガキと知り合いか?」


「し、知り合いって…。よくウチの息子と遊んでたじゃない。」


「悪いが、クロムってガキは死んだんだ。詳しい話は村に帰ってヘレンに聞きな。」


「な、なにを言って…。」


女は酷く混乱した顔をする。しかし、確かにその少年にかつての面影の一切が感じられない。女は、黙りこむしかなかった。




ノアはその女を無視し馬車の外に出る。


すると傭兵たちの目が一斉にこちらを向く。まるで助けてくださいと言わんばかりの目で。その傭兵たちにノアは声をかける。


「では、最後の質問だ。お前らが死ぬか、それともお前らの家族や恋人が死ぬ。どっちがいいか5秒以内に答えろ。」


その言葉に傭兵たちは固まった。何を聞かれたか理解できなかったのだ。そのままなにも喋ることなく5人の命は消えた。




さて、とりあえず次の目的は決まったな。このまま東に進みガバゼウラ国へ行こう。話はそれからだ。


「5勇者のやつらはどうしてるだろうな。どうか。どうか…幸せでいてくれ。その方が面白いからな。くくくっ。あははははは!!」


ノアは背を向け、森の奥へ歩き出した。

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