11.大嘘つき
「それで」ラハイは背もたれに身体を預ける。「どうして僕の居場所がわかったんだい?」
「今でこそクファールは西洋化が進んでいますが、断片的とはいえ遊牧民族の風習が今でも色濃く残っていますのよ。ここでは名前が住所、容姿はさしずめ建物の外観です。適当にお尋ねして回れば、簡単に割り出せますわ」
「参ったな。カーストがバレるのにそっくりだ」気安くインタビューなんて受けるもんじゃない。「じゃあ、何の用か当ててあげるよ。お金のことだろ? タイミングが露骨だ」
「まあ、占い師様で?」
動じないな、この人。「ああ。ヨガ・フォーチュン。知ってる?」
「ラハイ様のお国では、“口から出任せ”のことをそうおっしゃるのですか?」
「“冗談”だよ。で、どう? 当たってた?」
「ご明察ですわ。ですがそれ以上に、貴方を指折りの博徒と見て、折り入ってお願いがございますの」
「すまない。指折りどころか博徒でもないんだ。単なるラクダのオーナーが、自分の子可愛さに賭けただけで。気を悪くしないで。正直さが売りなもんで」アリーシャをなだめるような身振りでわたわたした後、スッと姿勢を正す。「でも、君に頼まれたからじゃいんだけど、何だか指折りの博徒だったような気がしてきたな。話を聞かせてもらっても?」
一つ頷くアリーシャ。
「私とカジノへ行きましょう」
「デートのお誘いなら、喜んで」おいおい、何の捻りもないのかよ。
「そう考えていただいて結構ですわ」
美人局か。アリーシャへの関心が瞬く間に失せていく。結局、荒稼ぎの音を聞きつけて寄って来る輩は、相場が決まっている。
「やっぱりよしておこう」ハニートラップにしても露骨すぎる。「ハイリスクな賭けは金輪際もうしないと決めたんだ。ラクダの稼ぎはもっとローリスクな投資に回す」ジュラルミンケースをノックする。「その配当で慎ましく暮らしていくさ」
でも、とラハイはジュラルミンケースをバンと平手で打った。「故郷に妻を迎えて、二人の間の子どもと養うだけの余力は、あると思うね」
和らに目を細めたアリーシャは、悪戯っぽく笑んで「あら、求婚でしたら、喜んで」とラハイの挑発をそっくり返した。
「やっぱりよしておこう、って?」ラハイは面食らった。「驚いたな。てっきり食い下がるかと」
「見くびられたものですね。私、安い女ではなくてよ?」
涼しく言い捨てるものだ。途端に未練がラハイを襲う。もしかすると、勘繰っていたような裏など端からなかったのでは。単に耳の早い婦人が暇を持て余し、火遊びに興じようと思い立っただけではないのか。
そう思えるだけに、溜め息と共に脱力してしまう。
「やっぱり博徒って柄じゃないや」恥ずかし紛れにラハイが頭を掻く。上空に寂しそうな雲が一つ流れている。「君ほどの人を見誤るなんて」
「そう謙遜なさらないで。こんなに楽しい破談、私、初めてですもの」
ユニークな人だ。腹を抱えたいところをプライドが邪魔をして、ラハイは鼻で笑った。
「君の初めてになれて光栄だ、アリーシャ。折角だ、誘いを断ったお詫び……いや、楽しい時間をくれたお礼にご馳走させてくれないか。大衆食堂だけど、ここのは絶品なんだ」
今度の「喜んで」は、素直だった。酒は飲まないというアリーシャに、料理に先んじて二人前の紅茶を注文した。二段重ねポットから注ぐ紅茶が花咲型グラスに揺らぐ。グラスを掲げ、「二人の破局に」捧げた。
紅茶を吸って、会話に咲いた花の芳しいこと、ポット半量分。
料理が遅い。確か、ラクダのコブは手間がかかるのだったか。頼むんじゃなかったとラハイが後悔し始めた頃だった。
「実は貴方のことは以前お見かけしたことがありますの」
藪から棒に切り出すアリーシャに、ラハイは苦笑した。あの流れから、この場でリベンジってありなの?
「魂が地上へ旅立つ場所で?」王者は受けて立とう。
「ラクダさんのレース場で」
「ああ、観戦していたんだね」
あの勝利の瞬間を、アリーシャのような淑女が覚えている。栄光に輝いた瞬間の姿を。輪にかけて栄誉なことだ。
しかし「観戦もしていましたが……」とアリーシャ。「レースの直前に、会場を下見していました」
二人が出会ったときを再現するかのように、太陽が雲に遮られる。アリーシャの瞳は爛々と輝きを増す。
「馬場……いえ、ラクダなので駝場ですね。砂を均している様子を拝見しておりました。すると、何か妙な臭いがしましたの。ほんの微かですが。私、生まれも育ちもこの街ですので、砂には慣れ親しんでおります。いえ、あんなことを目の当たりにしなければ、こんなにも砂が身近だと気づくこともなかったでしょう」
「へえ」話が長くなりそうだ。ラハイは帽子でジャグリングの真似をする。「で、その臭いって、どんな?」
「さあ? ライオンさんか、ハイエナさんか、はたまたジャッカルさんか……定かではありませんが、少なくとも肉食獣ですわ。ゴールポスト付近の砂には、その汚穢が混ざっていたかと」
帽子を被り、胸ポケットから手鏡を開いて、色々と大仰な角度からチェックする。
「いやいや、微かな臭い一つでそこまで絞れるなんて、ドリトル先生閑古鳥が鳴くって感じだ」鏡を閉じる。正面を向く。「でもそれって、君の気のせいじゃないかな?」
「そう思うよう努めました。外れたチケットごと、悪い思い出をラクダさんにむしゃむしゃ食べていただいて、スッキリさせてしまおうと」
「ああ、確かそんなサービスがあったね。君の敗北の味、ラクダはどう言ってた?」
「大変お気に召したご様子でしたわ」
ラハイの前に透明なプラスチックのケースが滑り渡される。砂らしい物が採取されていた。
「気のせいかと思いましたので、チケットをラクダさんに差し上げた後、砂の臭いを嗅がせてみたのです。するとどうでしょう。あんなに人懐っこいラクダさんが、明らかに私を威嚇しましたの。ペッペッペーッ、て」ちなみに威嚇で吐いてきたラクダの唾は、寸でのところで日傘で防いだ。
ラハイは砂入りケースを空にかざして見分し、さっぱり分からない顔でアリーシャへ返した。
「これがラクダに効くってのは、ひとまず納得しておくよ。でも、話が見えないな」
「これは閉会後、主催者のお許しを受けて、かつご同伴いただいた上で採取した砂です。日時と場所を記録し、複数のサンプルを採取し、分散して保管しております。その際に主催者の方はこうおっしゃっていましたの。まだ何が含まれているかは不明ですが、少なくとも私の申し上げたような混ぜ物を故意に撒くことなどあり得ない、と」
「野獣が忍びこんだとか」
「可能性の一つ、とおっしゃってはいました。しかし、レースに支障を及ぼす量……縄張りを示すほどの量を見逃すはずがないとも」
「となると」自分のグラスを満たし、ラハイはアリーシャに勧めたが断られた。「レース直前に砂を均している最中しか、混入させるタイミングはないか」
「ええ、本当に。可哀想なラクダさんたち」語気を強めたアリーシャ。「天敵の臭いですのよ。捕食者の気配漂うトラックを走らせるだなんて、ラクダさんが怯えてしまいます。レースになりませんわ」
「イカサマがあったと?」
番狂わせだった。ゴール直前に先頭集団が雁首揃えて失速し、殿ごと一つの馬群……もとい駝群に巻きこんだ。先頭と殿が入れ替わる。と思いきや、その殿すら失速する。減速に次ぐ減速。そんな調子で先頭を争ったとて白熱を欠いたレースなど萎えるだけだ。
そこで駝群を抜けた一頭が、ラハイのラクダだ。
ラハイのラクダは良いスタートを切れなかった。脚も並以下。とても勝てるラクダではない。だが、彼のラクダだけはペースを維持して走り続け、遂には一着を勝ち取ったのである。
レースとしては締まりが悪いが、ドラマとしては中々のものだった。それが観戦者の総意かと思われた。
「君の気持ちはわかるけどね」とラハイ。アリーシャは「不自然が過ぎましてよ」と穏やかに遮った。「並のラクダなら忌避する鬼門を、平然と駆け抜ける一頭。貴方のラクダはどこか違いますわ」
「おっしゃる通り。僕のラクダは特別。当然さ。どんな小細工もものともしないように育てたんだ。並のラクダがビビるのを尻目にウチのラクダが平然としていたのは、あいつに素質があったからだ。たとえライオンが乱入してもゴールするだけの度胸を持って生まれたのさ。勇敢だから名前だって勇者にしたくらいだぞ」
「勇敢さとは、恐怖を侮ることではありません。内なる恐怖を飼い慣らすことです」
「うーん、深い」わざとらしく頷くラハイ。「ことわざ? それとも、誰かの言葉?」
「例えば、肉食獣の檻と隣り合わせの飼育環境。とまではいかないものの、その臭気に包まれ、気配を浴びるかのような、ラクダにとっての極限状況下。獣の臭いに麻痺したラクダなら、たとえ天敵が口を開けて待っていても、全速力でゴールに飛びこむことでしょう」
「言葉が過ぎるよ、お嬢さん」好青年のまま牙を剥いた声が出た。「人の愛駝の悪口は普通にムカつくだろ。ムカつかない?」
「レースの権威を貶める行為に比べれば、どうということはございません」
「仮に」椅子の脚が床を擦る。ラハイが立つ。カツカツと踵を鳴らし、ゆっくりとアリーシャの側に回る。「たまたまあのレースが仕組まれていて、たまたま僕のラクダに適性があったとして、それに何の関係があるんだい? 僕はあらゆる可能性に備えてラクダを調教しただけだ。ただレースに備えただけのこの僕と、レースをコケにした糞っ垂れ」アリーシャの背後に立ち、ラハイはその肩をふわりと抱き、前を向いたまま耳元に囁く。「そこまで言うなら、この関係を証明できるんだろ?」
日は陰ったまま、束の間、地上の熱が冷めていく。
「いいえ」裏腹に、アリーシャはおかしそうに言う。「違います、ラハイ様。見落としていてよ」振り向かず、愚かな子に諭すように。「あなたの勇敢な愛駝を、どなたが競り落とされたのでしょう」
「君には関係ない」
「でしたら、これは独り言ですわ」アリーシャは冷めたポットの茶を注ぎながら言う。「市井が俗化の一途を辿り、もはや後戻りできなくなった今でも、クファールは純然たる経典法治下にございます。富裕層、知識階級には敬虔な方々が大勢いらっしゃいます。それでも競駝賭博が黙認されているのは、経典が霞むほどの富を生むからです。……さて、ここにトラックを嗅ぎ回った小娘がおります。これまでラハイ様にお聞かせしたお話が、ラクダの落札者様の耳に入ったとして、そのお方はどう感じて、どんな行動を取るでしょう?」
それは……とすら、ラハイは口を挟む余地を奪われ、アリーシャが息巻く。
「まず、掴まされたラクダの実力を測りたくなるでしょうけれど、あのレースがあったトラックでは既にラクダの異常行動が頻発すると報告が上がっているようです。疑念を抱いた落札者様は主催者様にお問い合わせなさるかと。すると、都合良く例の砂のサンプルが採取されているではありませんか。ラクダに嗅がせると、まあ多少は嫌がるかもしれませんが、他のラクダと比べれば平然としたものです。これはと思い、通常のトラックで走らせてもタイムは振るわない」
キャーッ! バッと諸手を挙げて慄くアリーシャに気圧されて、思わずラハイは後ずさる。騙されたぁー! アリーシャの悲鳴は長く尾を引くにつれ、次第に嘲弄の色が滲んでいく。何だ、何者だ、この女は。ラハイの目に映る細い背中、笑いに震える肩、その向こう側でどんな顔をしていれば、こんなに身の毛のよだつ笑い方ができるんだ。
バッグから手の平大の白い器具を取り出し、アリーシャはそれを吸ったようだった。
「ラハイ様、ねえラハイ様~?」アリーシャはずっと淑女の顔のままだ。「これで貴方は大きく三つの罪を犯したことになります。無形文化財を冒涜した罪、動物虐待の罪、落札者の顔に泥を塗った罪です」
「声を張りゃ言いがかりが通ると思うなよ」財布から紙幣を抜き、アリーシャの目の前に叩きつける。
「バーコード決済もございましてよ」アリーシャが卓番号とバーコードが記されたスタンドを示す。
「おめでとう。ポイント還元は君のものだ。釣りは取っとけ――時間の無駄だった」
ジュラルミンケースを膝のバネで肩まで担ぎ上げ、バルコニーの出口へ踵を返すラハイの背広に「ここから飛び降りても助かりませんわ」と意味不明な声が届いた。立ち止まる。振り向く。アリーシャはその表情を、続きを促していると見た。
「実は私、占い師ですの。ラハイ様は、ここから飛び降りても助かりませんわ」
「そうだね。じゃ階段を使おう。じゃあね」
「どうして配膳が遅れていると思います?」再び振り返るラハイを認めて、継ぐ。「高飛びするならもっと早くになさいませんと」
やられた。ラハイは歯噛みする。ここクファールはどうして、こうも悪党がのさばっているんだ。昨日の晩もマフィアがドンパチやったってんだろ。
階下への通路は階段が一本のみ。そこが塞がれると外と繋がっている場所はこのバルコニーしかない。もし、アリーシャが足止めのために長話を続けていたとしたら。ラハイを捕まえる手筈を整えるまでの時間稼ぎをしていたとしたら。
いや、通りの人混みを見ろ。いくらなんでも、裏家業の連中が、こんな昼間の往来で派手にやる訳がねえ。
「……警察を呼んだって無駄だぜ。言ったよな? 僕のラクダとトラックの状態を繋げる証拠なんてねえのよ」
「言い忘れていましたが」アリーシャが語気を強める。「先に挙げた三つの罪はきっかけに過ぎません。ラハイ様が問われているのは、四つ目の罪なのです」
「今更一つ付け加えたって」
「経典法に反し、賭博を行った罪」
首筋に冷たいものを、ラハイは感じた。同時に、階段を上って来る重い一歩がホールに響く。
「おいおい、そりゃおかしいって、なあ。それを言っちゃあ」
「どの口が言うのか、とお思いでしょう? 私はおろか、レースに関わった全員が同罪ですものね」ラハイの主張を代弁しながら、アリーシャは首を横に振る。「やはり、貴方はクファールを理解していませんのね。確かに、ここでは敬虔とされる方々すら腐敗しております。ですが、彼らが舐められたまま黙っていられるとお思いでして? 必要に駆られたときにだけ埃を被った経典を都合良く引き合いに出し、自らの手で報復することを良しとする、そんな男気の欠片も失った極道ばかりがのさばって嘆かわしい限りですわ。それに、こんな卑俗な街でしても、経典に則った私刑は疎まれるどころか、執行人は聖戦の勝者として称揚されることでしょう。ましてや、ラハイ様はよそ者です」
恐怖を侮りましたね、恐るべきものを見誤った勇者、ラハイ。アリーシャは砂漠の陽光と、陰りのような声を使いこなす。ギャップに風邪を引きそうだ。釈迦の手の平で弄ばれるサルは、こんな気分だったろう。
階段を上る音がする。二歩、三歩、四歩……ゆっくりだが、確実にラハイへ迫る。震えるほど握った拳を振り、踵で床を叩くようにアリーシャの元へ戻る。「ですが」とこの場で一番優等生な笑みを浮かべ、アリーシャはラハイが楽に取れる位置に手を出した。
「こちらの誘いに応じていただけるのでしたら、お力になりますわ。あらゆる心配事をお掃除すると約束いたしましょう」
テーブルをダンと叩き、アリーシャの白肌に影を落としながら、息のかかる距離で睨みつけた。
「今すぐ故郷へ帰る。追って来れるものか」
「あらあら、二回も振られてしまいました。振られた女は後が怖くてよ」対して、不自然なまでに品の良い笑顔は崩れない。「禁書を翻訳した異教徒は、遠くの島で帰らぬ人になったそうです」
「ガンジスに潜っときゃ良かったのさ」
その表情に怒気を湛えたまま、話は終わったとばかりにラハイはバルコニーの縁を乗り越える。その様子を紅茶片手に見世物見物のアリーシャ。
「したたかなお方。やっぱり鏡でパラソルの位置を確認してらしたのね。風を読むのがお上手ですこと」
「……似非占い師め。これだけは言っておくぞ」
ラハイはあっかんべーをして「ありゃトラの糞だよ~ん!」と言い残し、ジュラルミンケースに続いて飛び降りた。硬質な激突音、悲鳴、パラソルが折れる音、ワゴンの野菜が潰れる音、騒然とする往来へ、ラハイは風のように消えて行った。
その風に雲は流れ、再び陽光が降り注ぐ。
「あらまあ、本当に飛び降りちゃいましたわ。でも、助からないとお伝えしましたからね~」と呟きながら、アリーシャの興味は叩きつけられた紙幣へ向いていた。ルンルンこそこそと自分の財布へ忍ばせる。
そこにえっちらおっちらと店主が来る。重い、あー重い。と、大柄な彼が抱えるほどの大鍋と、その口をすっぽり覆うほどの大皿を携えている。一旦鍋を別のテーブルに置き、皿を先にアリーシャの前に出す。
「おや、お嬢様、ラハイの奴は?」
「大口の取引でトラブルだそうですわ。あ、代金はツケ? でと」
「かぁーっ! こんなときに締まらねえなあ!」全身を使って鍋を大皿にひっくり返す。退き抜くと香り立つ湯気のヴェールから、炊き立ての米と肉と野菜の台地がほろほろと崩れていく。
「まあ、プロフ?」
「ウチじゃあ、もっと西寄りのレシピで。なんで、ピラウでさ」
ラハイが来る前に注文していた料理だった。とにかく、恐ろしく時間のかかる物から先にとりかかって欲しいと言い含めて。
「シェフ」
「シ、シェフ?」俺が? と顔に書いてある主人に構わず、アリーシャは続ける。
「こちらのピラウ、今食堂にお越しの皆様に振る舞ってくださいまし。残った分はデリバリーをお願いできます? 他の注文は持ち帰りで」
気前の良い話から逃げるように、ラハイは市場の往来を逆流する。道行く人に肩をぶつけては音頭を取って謝り、大通りを目指す。車道でタクシーの前に出て捕まえ、急いで乗るや有無を言わさず車を出させた。
「ふぅ……」
クッションに沈むラハイへ、運転手は行き先を尋ねる。
「船着き場まで……」財布を出し、ふと考える。港や空港は真っ先に封鎖されているかもしれない。なら、ほとぼりが冷めてから……陸路か。「いや、一番近くのセキュリティの良いホテルまで行ってくれ」チップを弾み、「超特急で頼むわ、爺さん」
「承りましたぞ」
チップを懐に忍ばせて、アブー爺やはアクセルを踏んだ。
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オラに元気を分けてくれ!