悪役令嬢の出てくる乙女ゲーは存在しない論について
なろう発のアニメ化作品が増える中、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』や『悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~』など乙女ゲーの悪役に転生してしまう主人公の物語を見て「実際に悪役令嬢の出る乙女ゲーってあるのか?」という疑問を感じる人は多くいるようです。
結論からいえば現在の小説家になろうでは二次創作が禁止されているのだから実在する乙女ゲーをモデルにした作品は存在しないという事になってしまいます。(厳密には一部許可されている作品があるので完全禁止というわけではありません)
では悪役令嬢という概念はどこから発生してみたのか考えてみました。
初期の小説家になろうでは二次創作禁止ルールがなかった為、実在する乙女ゲー「アンジェリーク」をモデルにした作品が投稿されており私もお気に入り登録していました。二次創作禁止によって作品が消えてしまった事は今でも残念に思っています。
知らない人に解説するとアンジェリークは乙女ゲーの元祖というべき存在で宇宙の女王候補として選ばれたアンジェリークとライバルのロザリアが9人の守護聖(イケメンの精霊王的な存在)と協力しながら星を育成する感じのゲームです。金髪の王子様風、騎士風の赤毛、知的な青髪など乙女ゲーテンプレでよく見る要素が最初から完成していて凄いですね。
乙女ゲーにライバル?彼女が悪役令嬢なのではと思ってしまいますが女王候補になるだけあってロザリアは良い子なんですよね。過去に女王を輩出した名家の出でありプライドも高いですがアンジェリークの手助けをしてくれる場面もあり続編では女王になったアンジェリークの補佐官として仕える親友になっちゃってます。リメイク作品ではロザリアを主人公として操作出来るバージョンも発売されました。
実際に乙女ゲープレイヤーからすればロザリアは悪役令嬢では絶対にありません。
しかしプレイしていない人が見ればどうでしょう…?
お嬢様キャラ=高飛車キャラという文脈は少女漫画ではなくむしろ少年アニメでよく見かけました。
少女漫画の『エースをねらえ』のお蝶婦人こと竜崎麗香は金髪縦ロールで「良くってよ!」とか言っちゃう超有名キャラなんですが作品を見ずにキャラだけ知っていた頃は高飛車キャラだと勘違いしていたんですよね。実際には良き先輩で友人でライバルでもあるとても素敵なお姉様でした。
『ガラスの仮面』の姫川亜弓は初期の頃は主人公に意地悪をするキャラで悪役令嬢のイメージに近いですが主人公の才能を見抜き誰よりも認めるライバルに成長しました。
見た目だけで言えばロザリアはお嬢様っぽい縦ロールで貴族で釣り目(ってほどではないですがアンジェと並べるときつそうな目)でライバルという設定を乗せると意地悪してきそうなイメージになってしまいます。
パンを加えたまま登校して転校生の男の子とぶつかるという存在しない少女漫画のイメージが広がったように存在しない悪役令嬢のオリジンがロザリアの見た目から発生した可能性は微レ存(可能性は限りなく低いけれど、ゼロではない)ではないかと考えられます。
話は変わりますがQuinRoseというメーカーがありまして、攻略対象が悪人というゲームを複数出していたんですがアラビアンズロストという作品は犯罪王国の王女が主人公という設定でした。この主人公は一般人になるのが夢というキャラで悪役ではなかったです。
しかし同一世界観のクリムゾン・エンパイアは奴隷として売られ暗殺術を身に着け貴族に売られた武装メイドの主人公が正妻から生まれた第二王子に仕え暗躍し邪魔をする貴族を排除したり王子のライバルとなる攻略対象(庶民の母を持つ軍人の第一王子とか)を身体を使って篭絡したり(朝チュン程度のマイルド描写ですが)と悪女っぷりを発揮する内容でした。私がプレイしたのはPC版でしたがPS2に移植されているんですよねコレ…
なろうの婚約破棄物とかとは全然別物なんですが悪女物的な乙女ゲーは存在する…とは言えるのかもしれません。
それでは次回「ナーロッパ的な世界観のゲームが実在する件について」でお会いしましょう。