√ Little ?⁇ Riding Hood
昔々、たいそう可愛らしい男の子がおりました。村のみんなから可愛がられておりましたが、特に可愛がっていたのは村から離れた森に住む、男の子のおばあさんでした。
おばあさんは男の子が望むものをなんでも与え、何をしたとしても決して怒ったりはしませんでした。
あるとき、おばあさんは男の子に真っ白の頭巾をあげました。その頭巾は男の子にたいそう似合っていたので、村の人は男の子のことを白頭巾くんと呼ぶようになりました。
ある日、白頭巾は病気のおばあさんのお見舞いをお母さんに頼まれ、元気に森へ入って行きました。
その森には狼が出ると噂がありましたが、白頭巾は気にしません。
白頭巾は特に何事もなく、おばあさんのお見舞いを終え、村に帰ってきました。
しかし、帰ってきた白頭巾はいつもと違いました。真っ白だった頭巾は真っ赤に染まり、いつも浮かべていた笑顔も、今にも泣きそうな顔をしております。
村のみんなは心配して、白頭巾に聞きます。
「その頭巾は一体全体どうしたってんだい?」
「いいえ、いいえ、どうもしません。僕がおばあさんに頭巾を真っ赤にしてって言ったんです。おばあさんは優しいからすぐに染めてくれました」
「でもどうして、そんな今にも泣きそうなんだい?」
「いいえ、いいえ、泣きそうではありません。みんなは白い頭巾を似合っていると言ってくれたけれど、赤い頭巾が似合うと言ってくれるかと心配だったのです」
「そんな事を心配していたのかい、大丈夫。とても似合っているよ」
「あぁ、どうも有難う。では僕はおうちに帰ります」
そう言って白頭巾、いいえ、赤頭巾はお母さんの待つ家に帰って行きました。
それからの赤頭巾は以前ほど笑顔は見せませんでしたが、とても素直で良い子でした。以前は嫌がった畑仕事も手伝い、村の人たちはいっそう、赤頭巾のことを可愛がりました。赤頭巾も村の人たちもみんな、幸せに暮らしております。
これからもずっと――。