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第8話 アイス教


「では、昨日の雪はスノウさんとハーゲン様のサプライズだったんですね!本当に凄いです!」

「喜んで頂けたなら私も嬉しいです。ハーゲンも嬉しいよね?」

『……そうだな』

「まさか降ってくる雪が全部アイスだなんて前代未聞ですから!」

『後処理が大変そうだがな』

「それなら、今夜ハーゲンが雨を降らせてくれるから大丈夫だよね♪」

『なっ!?』

「そうなんですね。ハーゲン様、お手を煩わせてしまい申し訳ありません」

『いや、我にとっては造作も無いことだ!謝罪など必要無いぞ!』


扱いやすい雄は便利で良いわね♪


「では私は仕事に戻りますね」

「スノウさん。また来て下さい!新作楽しみにしていますね♪」


私はハーゲンの隣に立った。


『ん?何だ貴様?』

「送りなさいよ!」

『……貴様の図々しさをサーティに少し分けてやったらどうだ?』

「ハーゲン様……。スノウさんもきっと日々の仕事の疲れが溜まっているのではないでしょうか?」

『サーティは何と優しい心を持っているのだ!……サーティの顔に免じて送ってやる。乗れ!』


扱いやすい(以下略)♪



ハーゲンの背に乗り王都の空を飛ぶ。


最近は王都の住民もハーゲンに慣れ始めて、特に驚かれたりはしなくなった。

サーティ様の父親である国王がお触れを出した影響も大きいわね。

長年病に苦しめられていた娘を救ってくれた恩竜として、王都内での不自由ない暮らしを約束したそうだ。



……あれ?私には何もないの!?




他者を羨んでいても仕方ないわね……

私はいつも通り地道にコツコツとアイスを売る事しか出来ないのだから。



……………

…………………

………………………




「……って、違ーーーーーう!!!」


私はハーゲンの背中を思い切り殴りつけた。


痛っ!!

相変わらず頑丈ね……


『うおっ!何だ!?』


「私がやることはアイスを売る事じゃないの!」

『それは我が聞きたかった事だぞ……』

「王都を撹乱して魔王軍の侵略を手助けするのが任務なのよ!」

『……因みに我は王都側に付くぞ。お主以外の者にはそうそう負けるつもりは無い』

「えっ?」

『お前何言ってんの?みたいな目で見られても困るが……。サーシャの身を護る守護竜となったのだ。当たり前だろう』


そうだったわ……

魔王様に何て報告すれば……



……まあ、暫くは大丈夫かな?

勇者の報告からすると、闇雷土の三兄弟四天王『ブラツ』『クモン』『ブラン』の軍も押し返したらしいし。


気になるのは手紙の中に戦場でおばあさんに似た人物を見たらしい事が書いてあった事だ。

確かにおばあさんはラクトみたいに毎日アイスを買いに来てくれる訳では無いが頻度は多い。

戦場に行く暇と体力なんて無い筈だ。


まあ、他人のそら似でしょうけど……



一旦、ハーゲンの事もおばあさんの事も置いておくわ!

そう。私が今考えるべき事は、新作アイスと王都撹乱のアイデアよ!




……おかしいわね。全然閃かないわ。

いつもならここでピコーン!と来る筈なのに……


ねえ、アイスの神様!どうしちゃったの!?

天啓を与えなさいよ!


『何を背中で暴れておるのだ!もう着いたぞ。ここで良いのか?』

「え、ええ。ありがと」

『……まあ、お主とは色々あったが感謝しておるぞ。お主が我を呼びつけねばサーティと会う事は無かったからな』


な、何!?

ドラゴンのデレなんて見たく無いんだけど……


「……変な奴ね。でもこっちも礼を言っておくわ。作戦は失敗しちゃったけど、サーティ様を治してくれたのは本当に助かったから……。ありがとね♪」

『お主の殊勝な態度は違和感しか無いな……』


お互い様だった……




ハーゲンと別れ、自分の家に入る。


そこには……


大量のゴミがあった!


「ああ!そう言えば今朝は回収に出せなかったから……」


アイスの仕込み時に毎回大量のゴミが出るため、ゴミ回収日を忘れてはならないのだ!



……ちょっと待って!?


………ゴミ………アイスの神様…………宗教…………アイス教!!


そうよ!アイス教よ!

これなら一大勢力を築ける筈……

王都の撹乱にはもってこいだわ!


アイスの神様はゴミだから信奉するのはアイスね。

そして、私のアイスの常連客は勿論全員信者よ!


アイス教だと安直だから、オアイース教にしましょう!

信仰の象徴として溶けない大きなアイスを……


……奴がいるじゃない♪





「……それで、このコッチンを奉れば良いのか?宗教なんざ入ったことねえから、奉るってのが良く分かんねえぞ」

「日々アイスに感謝すれば大丈夫です。あと、このコッチンは特に意味は無いので置き物だと思って下さい」

「そうか!嬢ちゃんのアイスにはいつも感謝してるから、いつも通りで良いわけか……」

「はい!それと他の皆さんにもオアイース教を宣伝して貰えると嬉しいです♪」

「そっちもいつも通りだから任せとけ!」

「ありがとうございます!」


流石ラクトね♪

どこかのドラゴンとは大違いだわ。


でも、ただの口コミだけだと心許ないわね。

入信時に何か特典を付ければ、噂になって更に信者は増えそうだわ!

どうせなら皆が欲しくなるようなカッコ可愛いやつにしましょう♪


早速作ってみた。


男女問わず身に付けれるようにブローチにして……

デザインはコッチンの実で……

致死性がある攻撃に対して氷の障壁が発動するようにして……

『アイスの力があなたを護ります』を謳い文句にして……

後は溶けないように『永久凍結』させて……



……完成よ!!

デザイン以外は完璧ね♪


後は完成品を元にしてゴーレムに自動生成させておきましょう。

今度の作戦は自信ありよ!




一週間後……


「客も大分増えたな……」

「スノウちゃんのアイスが人気が出たら私も嬉しいわ♪」

「おばあさんもオアイース教に入信して頂いてありがとうございます!」

「ふふ♪アイスを信仰するなんて面白そうだったからね。神様じゃないし重複も可能でしょう?」

「はい!全然平気です」


おばあさんが若返っているように見えるのだが、きっと気のせいだろう……


それにしても、たった一週間で私の作戦通り常連客=信者が爆発的に増えたわ♪

後はアイスの名のもとに反乱を起こすだけね。


そうそう、信者を率いるリーダーも必要だわ。


誰にお願いしようかな……








お読み頂きありがとうございます。


面白い!

続きが読みたい!


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