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第6話 ドラゴン大作戦!


「私をカッチンに会わせて!」


コッチンの実に手足が生えた化物が現れた。


「私に近寄るな!」


私は魔法を放つが世界一の固さを誇るコッチンには通用しなかった。


「ねえ、カッチンに会わせて!!」

「来るな!来るんじゃないわよ!」

「会わせてくれないなら、貴女もコッチンにしちゃうわよ♪」

「きゃあああああ!!!」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「や、やめて!……はっ!?」

「おい、大丈夫か?随分とうなされてたが……」

「でも、怪我も無いみたいで良かったわ」


気付くと広場のベンチに寝かされていた。

どうやら私は気絶していたらしい。


即座にコッチンを探すと、何事も無かったかのように台の上に鎮座していた。


心なしか『ぷーくすくす♪ざまぁ♪』と言ってる気がする。


勇者に頼んで真っ二つにして貰おうかしら……


「ラクトさん。カッチンの実って知ってますか?」

「聞いたことはあるぞ。コッチンと一緒に置いておくと実が柔らかくなって食べやすくなるらしいな」

「私は一度食べた事があるけど、とっても美味しかったわ♪」


そういう事ね。

カッチンの実か……




……用意すると思った?

コッチンに残っているのは断罪のみよ!


でも、なんかもう家に持って帰るのも面倒になってきた。

この噴水の中に捨てとこう。


「おお!何かインパクトみたいなのはあるな」

「カッチンの実は良いの?」

「はい。このコッチンは独りが好きみたいです」



そうだわ!念のため『カッチンの実は与えないで下さい』の立て札をしておくわね。

さようなら、コッチン……




次の日……


今日は魔王様への定期報告の日だ。

内容を書いた封書を氷で作った鳥にくくりつける。


「さあ、行きなさい!」


氷の鳥は魔王城へ向けて勢い良く飛んで行った。


内容と言っても『アイスの売上は好調』などと書ける筈も無く……

取り敢えず『任務の遂行は滞りなく順調』とだけ記しておいた。

完全な虚偽報告である。


だって、内部撹乱のやり方なんて教わってないもの!

私は魔法で敵を殲滅する方が得意なの!!


部下からはよく「適材適所をお考え下さい!」と進言されていたが、今更その言葉を痛感することになろうとは……



ん?

今何か閃いたわ……


こ、これは凄いわ!

もしかしたら撹乱どころか、そのまま王都を制圧出来るかもしれない!

良し!早速呼びつけるわよ!

私は氷の鳥をもう一羽解き放った……



日中にアイスを売っていると勇者が買いに来た。


タイミングもバッチリじゃない!

運が向いて来てるわね。


「ねえ、ロック?」

「え?お、俺?」

「ロックって貴方じゃないの?」

「いや、凄く親しい感じだったから驚いただけだよ!」

「あのね。私の知り合いに魔物使いが居るんだけど、今度ドラゴンを連れて王都に遊びに来る予定だったの。でもその知り合いが急用で来られなくなっちゃって、ドラゴンだけ来る事になったの。それでね、私の知り合いのドラゴンだから敵対しないように軍の人に言っておいてくれないかな?」

「………?ど、ドラゴンって使役出来たっけ?」

「うん。とってもお利口なんだよ。………ダメかな?」


私は両手を胸の前で握り、目をうるうるさせて勇者を上目遣いで見上げる。

人間の男に何か頼む時の作法を、常連客の夜のお店のお姉さんに教えて貰ったのだ。


「そ、それくらい容易いご用さ!」

「本当!?嬉しい♪」

「でも一旦城壁の外に降りてからになるかな。王都の上空に現れたら流石にパニックになるから……」

「うん、分かった。私が外に迎えに行くわ。ロック、本当にありがとう♪」

「(……やっぱり可愛い)」

「な、何?私の顔何か付いてる?」

「い、いや。その知り合いの人はドラゴンを使役するくらいだから、きっと名のある魔物使いなんだね」

「そうだよ。王都に来るの凄く楽しみにしてたんだけど。急用だから仕方無いよね……」

「そうなんだ。僕もお会いしたかったな」

「じゃあ、明日の朝くらいに着くと思うから、私が迎えに行って一緒に連れて来るね」

「了解だよ。じゃあ、僕は皆に伝えに行くね。また明日!」



駆け出す勇者を見送る。


上手くいったわね♪

これで王都内への手引きは済んだわ。

まだ準備が残ってるから、急いで帰りましょう!




次の日の早朝……


私は王都から離れた平原に来ていた。


周りに誰も居ないし、こちらへ誘導しようかな。

私は抑えていた魔力を解き放つ。


暫く待っていると、遠くの空に黒い点が見えた。

それは次第に大きくなりその全貌を現した。


アイスドラゴン……

全長30mほどの巨体と体表が真っ白で瞳が青色の特徴を持つ古代竜だ。


『スノウの魔力を感じて来てみれば、何故人間がここに居る?』


いけない!今は人の姿をしてるんだった!


「ハーゲン、もう耄碌したの?私よ、私!訳あって今は人の姿になってるの!」

『この我がワタシワタシ詐欺なんぞに引っ掛かると思ったか!矮小な人間め!骨も残らず食らってやるわ!』


ふ~ん。そっちがそのつもりなら別に構わないわよ。

どちらが上なのか改めてはっきりさせてあげる♪



……………

…………………

………………………



私がボコして気絶したハーゲンの頭の上に座っていると、勇者と衛兵達が来てしまった。

流石にちょっと時間がかかったみたいね。


「……これは一体。スノウさん!大丈夫ですか!?」

「大丈夫です。ちょっと暴れたんでしつけてました♪きっと慣れない土地に来たせいで興奮したんだと思います」

「そ、そうですか……」



勇者とその一行はドン引きしていた……








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