6 微笑み
久々の投稿です(≧ω≦)b
何とかなりませんかね、この怠け癖(泣)
それでも続けて読んでいただければ助かります←
現在林檎は、美月に言われてシャワーを借りている。
お湯ははっていないが、湯船もなかなかの広さだった。これは・・・大理石というやつだろうか?
「なんか・・・面白い人達だったなぁ」
光の家族構成が未だにわからず、すっきりしない。
あんなに騒いでいて他の人が来ないのはおかしいので三人家族だと思われるが、それなら光の両親はいないのだろうか?
まさかあの二人という事はないだろう。美月が母親なら小中学生ぐらいの時にうんだことになる。それを考えると渚など論外だ。
三人とも兄弟か親戚の可能性が高いが、それにしては似ていない。
「光に聞いてみようかな・・・教えてくれるかはわかんないけど」
光の両親がもう亡くなっているのであれば光も話しにくいだろう。
風呂からあがり、脱衣所で濡れた体をタオルで拭きながら着替えを探す。
美月があとで置いておくと言っていたのだが、見つからない。
「??」
その時、誰かがドアをノックした。
「林檎ちゃん、遅れてごめんね。着替え持ってきたよ」
美月の声だ。
「いえ、ありがとうございます」
「入るね」
“ガチャ”
美月が手に服を持って入ってきた。
「やっぱりサイズが合うのが見つかんなくてさぁ。光の服持ってきたんだけど、いい?」
「大丈夫ですよ。小さい頃はよく兄の物をおさがりで着ていたので」
「お兄さんいるんだ。いいなぁ〜。あたしは一人っ子だったから兄弟って憧れてんだよね」
「みなさんは兄弟じゃないんですか!?」
驚いて着替えていた手が一瞬止まった。
「え?光と渚のこと?違う違う。あいつ等は・・・そぉね・・・同じなのよ」
「同じ?」
「そう。コレよ」
美月はそう言って左手の甲を見せた。
そこには黒い刺青のようなモノがあった。しかしただの一本線だ。
「コレはアイサー。ルーン文字よ」
「え!?美月さんもルーンを持ってるんですか?」
「うん。んで、渚はあたしのコンフォーマーなの。背中の真ん中あたりにアイサーがあるわ」
「そうなんですか・・・同じってそういう意味なんですね」
「そう。なかなかルーンを持つ人は見つかんないからね。独りよりは気が楽でしょ?」
「じゃあ三人で相手側の人と戦ってるんですか?」
「へ?」
美月が口をポカンとあけてこっちを見ている。
なにか変なことを聞いただろうか?
「なに?光、ちゃんと話してないの?」
「え?神様の戦争じゃないんですか?神様達が暇つぶしに兵隊さんを作ってゲームしてたら喧嘩になって戦争になっちゃったんじゃ・・・」
いきなり美月が笑い出した。
「な、何ですか?」
「あはは、光、そこまでしか話してないの?」
「そこまで???続きがあるんですか?」
「うん。実はその戦争、もうとっくに終わってるの」
「そうなんですか!?」
「神様の中でも偉い人が止めに入ってやめさせたらしいの。そのあと地球に残った兵士達はコンフォーマーの人間と子供を作って楽しく過ごしたそうよ。私達はその子孫ってこと」
「なんだ、よかった。光が話してたことは全部過去の事なんですね」
「そういう事〜」
全く、人騒がせだ。
そうならそうと言ってくれればよかったのに。
「さ、あたしは朝ご飯作んなきゃ。ご両親にはもう連絡したでしょ?」
「はい。さっき電話しました。だけど1日いないくらいで騒ぐ人達じゃありませんよ。兄が3日間彼女の家にいて連絡してなかった時もそんなに怒られていませんでしたから」
「そう・・・マイペースなお兄さんなのね・・・。じゃああとで呼ぶからそれまでくつろいでて。昨日食べてないからおなか減ったでしょ」
「はい。あの、お手伝いできることがあれば何でも言ってください」
「まぁ、林檎ちゃんはいい子ね。あたしあいつ等からそんなセリフ聞いたことないわ。でもいいわよ。すぐできるから」
美月はそう言って脱衣所から出て行った。
林檎は髪を乾かしたあと、とりあえず光の部屋に戻ることにした。
部屋のドアが少しあいている。そこから誰かの声が聞こえた。
「いってぇ・・・」
「お前なぁ〜あんな事言ったら美月が怒るのわかってんだろ?」
光と渚の声だ。
「当たり前だ。わざとだよ。あそこで認めちまったらマジで男物着そうだろ?ああいうのはたまにしか見れないからいいんだよ。常に着てたら見慣れちまう」
「・・・エロガッパ」
「んだと!?お前こそ鼻血なんか出しやがってムッツリが!!」
「誰がムッツリだハゲカッパ!!!」
「はげてねぇ!!ちょっと髪が多いからって調子乗ってんじゃねぇぞ女顔!!!」
「俺は男だ!!」
「オカマ野郎!!」
「うすらハゲ!!」
「うすら言うな!!」
なんだか小学生のケンカみたいだ。
面白いのでしばらく見ていたが、ふとあることに気がついた。
(光ってこんなに口悪かったっけ?)
光の印象はとても明るくてかわいく笑う少年だったのだが、今目の前にいる光は不良と対等に口喧嘩できる程に口が悪い。
目つきもそれなりに悪い。
(これで金髪だったりしたら・・・)
それを想像してクスクス笑っていたが、腕が扉に当たってしまった。
その音でこっちに気づいた2人が林檎を見る。
「あ、ごめんなさい!!盗み聞きするつもりじゃなくて、じゃましちゃ悪いと思ったから・・・」
林檎がなんとか言い訳を考えようとしていたが、2人は聞いてもいないようだった。渚は林檎を見るなり光に目線をやっている。
光は目を見開いて口もポカンとあけていた。そしてみるみるうちに顔が赤くなっていく。
「あの・・・どおしたんですか・・・?」
「いや、何でもねぇよ。あ!!えと、ちょっとごめん!!」
渚はそう言って慌てて光を部屋から連れ出した。
一人部屋に残された林檎は状況が読めないまま閉められた扉を見つめた。
しかし何もすることがないので部屋の中を探索することにした。
部屋の壁一面分を覆い隠している背の高い本棚。これがさっきから気になっていた。普段光はどんな本を読んでいるんだろう?
本の表紙を見てみると、参考書や、辞典、いろいろな図鑑、医学書、六法全書まである。それに、林檎にはなんて書いてあるのかわからない外国の本が本棚の半分程を占めていた。多分ほとんどは置いてあるだけだろう。
隅の方にやっと高校生の男子らしい漫画やゲームの攻略本が数冊あった。
光は一体なにを目指しているんだろう?
医学書から考えると医者だろうか?
次に机を見てみた。シルバーの板に脚が四本つけてあるだけのシンプルなものだ。机の上にはペン立て、電気スタンド、学校の教科書などが立てられている小さい棚、携帯電話の充電器があった。とてもきれいに整理されている。
その横には先ほどまで林檎が寝ていた大きなベッド。普通のモノより少し高さがあり、飛び込むには持って来いの低反発っぷりだ。真っ白なシーツに白い枕。そして青いフカフカな羽毛布団。高級感あふれるベッドだ。
背が低く、横に長い焦げ茶色のタンス。
その上には手のひらサイズの四角い箱と写真立てがある。
写真には楽しげに笑う若い男女と、2人の間で両手を広げて得意げに笑う三歳ぐらいの男の子が写っていた。
幸せそうな家族の写真だ。
よく見ると真ん中の男の子はペンダントを首に下げていた。透明な青いプレートだった。そこにはなにか文字が書いてあるようだが小さくて読めない。
四角い箱には南京錠がかけられていた。今まで気づかなかったが、箱の影にはフワフワのウサギのキーホルダーがあった。林檎はウサギが大好きだ。目が離せずにずっとウサギを見ていた。
そこに光が帰ってきた。
「林檎?どうしたんだ?そんな格好で」
光が林檎の目線をたどってウサギを見つけた。
「・・・欲しいならやるよ」
「え!?でも・・・」
「趣味じゃないから。それに、そういうの好きそうだしな。林檎」
「うん。ウサギは大好きだよ」
そう言って笑った林檎を見て光は軽く目尻を垂らす。
その表情がいつもの光とは違う気がした。
「光」
「ん?」
「さっきから変だと思ってたんだけどさ。光、学校にいるときとなんか違うよね。今は可愛い感じしないもん」
「な!?か、可愛い…!?ま、まぁ…学校の時と素の俺が違うのは事実だよ。中学の時には素でやってたんだけど、そしたら頻繁に不良に絡まれた上に学校では問題児扱いされたからさ。平和に高校卒業するにはちょっと芝居する必要があったワケよ」
「不良に絡まれる様な事した覚えないのにってこと?」
「ない。でも目がガンとばしまくってる様に見えるらしい」
なんて悲惨な・・・それでよくケンカになるから問題児扱いされたワケか。
「今の学校での俺からじゃ想像もつかないだろ?」
そう言った光ははにかみながらも、学校での笑顔を作った。
「光はいい子だよ」
林檎は笑顔で光を見る。光は拍子抜けして変な顔をしている。
「こんなに優しく笑えるんだもん。性根は曲がってるかもしれないけど」
すると光は林檎の頭を軽くポンポン叩いてため息をついた。
「それはどぉも」