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テイワズ2

再び光目線です。純粋な男の子なので、多少エロくなります。今後もそうなると思いますがご了承ください。

“スパ―――ン!”



いきなり廊下からスリッパが飛んできて渚の頭にヒットした。


驚いた三人は廊下の一斉に奥を見る。

そこには投球後のピッチャーのようなポーズをした美月がいた。



「いい加減にしなあんた達!!」



二人とも美月に逆らって無事ですんだ覚えがない。下手をしたら朝食にありつけなくなるのだ。

とっさに2人は土下座で謝った。



「「すんません」」


「毎日毎日喧嘩して!!いつになったら飽きるの!?・・・・・・・・・あら、林檎ちゃん、おきてたの」


「あ、おはようございます」



渚と光は扱いの違いにムッとしたが、美月は気にしない。



「林檎ちゃん、シャワーあびといで。服はあたしが貸してあげるよ」


「ありがとうございます・・・」


「美月のはでかすぎるんじゃねぇか?身長全然違うだろ」



確かに、美月と林檎では全く体型が違う。

美月は背の高いモデル体型だが、林檎は比較的小柄な方だ。



「そうねぇ。でもあたしの小さい頃のはないし・・・」



それはそうだ。

この家は元々光の両親の家で、五年前、光は通っていた小学校で研修をしていた美月がいつも手袋をしていたのを不審に思い、好奇心で美月の手袋を外したところ、傷痕にしては黒く、きれいすぎる模様を見つけた。

美月は最初ははぐらかしていたが、光の瞳の中にうっすらとテイワズの文字があるのに気づき、自分の痣がアイサーというルーンである事を教えた。

その後光が学校を卒業し、今まで孤児院で過ごしていた光を美月が引き取り、光の両親が残したこの家で一緒に暮らすことになったのだ。



そんな事を思い出してしばらく感慨にふけっていたが、美月と渚の視線がこちらに向いているのに気づいた。

光はその意味をすぐに理解してため息をついた。



「男物着せてどうすんだよ」



確かに光が一番身長が近い。しかし体系は全く違う。光は細身だが、身長は168センチ。筋肉も同年齢の平均ぐらいはある。

そんな人の、しかも男の服を少女に着せるのは少し気が引けた。そこで美月がこちらに近寄って耳を貸せと合図したので、美月に耳を傾けた。



『バカねぇ。小柄な少女の林檎ちゃんがダボダボな男物の服を着てるの想像してみなさいよ』



光は言われた通りに想像してみた。


光が持っている灰色のパーカーと長いベージュのズボンを林檎が着ている。

光が着るときはそうでもないのだが、サイズが違うのでとても動きづらそうに思えた。

パーカーの襟は広く開き、首筋がよく見える。

袖からは細くて小さい指先。

ズボンの裾からはちょこんと足先が出ている。

それが光にはとても幼く見えて、今すぐ抱きしめたくなった。


不意に鼻の奥が温かくなる。それが鼻血だとわかって急いで鼻を押さえたが、数滴垂れてしまった。

横で美月が腹を抱えて笑い、それを見ていた林檎は慌てていた。



「ひ、光!?どうしたの!?」


「い、いや!!これは別にそういうことじゃなく!!!」



光は変態と思われるのがいやなので言い訳をしようとした。しかし林檎は状況がわかっていないようで、少しほっとして渚が持ってきてくれたティッシュで鼻血を拭いた。幸い鼻血は少しだけで、すぐに止まった。



「???」


「ヒカちゃん、林檎ちゃん意味わかってないよ。あたしが教えてあげよっか?」



美月が笑いをこらえながら言った。そんな事をされてはもちろん困るので、光は全力で阻止しようとする。



「オイ馬鹿!!ヤメロ!!!」


「美月、そのへんにしてやれよ。男のサガなんだから」



渚がフォローしながら笑いをこらえている。



「ふ〜ん?じゃあ渚もあたしがそういう格好したら鼻血出す?」



美月が渚にニヤニヤしながら聞いた。渚は少し考えて答える。



「・・・さぁ?」



これはまずい。

明らかに美月の表情が変わった。

こういう修羅場はまだ林檎に見せたくなかったので、両手で林檎の目をふさいだ。



「ふぇ!?」


「林檎、自分の耳ふさげ」



林檎は素直に従ったが、おそらく完全には防げなかっただろう。



“ドカッバキッメキメキ”



「ギャー!!助けてくれ光!!!」



そんな事出来るわけがない。

渚が必死で逃げようとするが、美月がそれを許さない。



「乙女の心踏みにじってんじゃねぇよ」



美月が低い声で渚を脅している。

渚はだんだんと抵抗する力を無くしていき、最後にトドメの一発。美月のかかとがみぞおちに入った。

渚が床に力尽きて倒れる。

美月も気が済んだようで、光の机の横にあったローラーつきの椅子に座り、くるくる回っていた。


もう平気だと確認してから両手を林檎から離した。林檎はなんとなく意味がわかったようで、苦笑いしていた。

光は渚の安否を確認しに渚の横にしゃがみこんだ。


大丈夫だ。息はある・・・。

さすがにそこらへんは美月も手加減したのだろう。

だがあそこで美月を怒らせたのは間違いだった。



「うーん・・・今のは渚が悪い」

どうでしたか?みなさんもなんとなく光の性格が掴めてきたんじゃないかと思います。これからもテイワズ編がたまに出てきます。

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