15 すれ違いの憤怒
お久しぶりです(^-^;
テイワズを書くのはやっぱり大変ですね。
到底オンナのコとは言えない私でも、男の子の心情は謎だらけなので(*´д`*)
女子たちが体重を気にする中、実はそんな所はあまり問題視していない男子が多いらしいですし。よくわかりませんが・・・。
でも確かに、友達と「理想の彼」について話しているときにはそんな奴いねぇだろって感じの人物像が次々と浮かんでくる反面、実際につきあっている人はあまり引き締まっていなかったりしますよね(..)
まぁ見た目が良ければいいわけじゃないってことです。
男性陣はどうなんですかね・・・(`・ω・´)
とか言ってるクセに今回はテイワズ編じゃなかったりします(汗)
長々とスミマセン;
でゎでゎ→
「・・・いた」
「だろ?」
人が多すぎてよく見えないが、あのしかめっ面は十中八九、否、間違いなく光だ。どうやら連れの行動にあきれているようで、また眉間にシワが集まり始めている。
それを知ってか知らずか、金髪の細マッチョは竹蔵との腕相撲に集中してしまっていた。
「行ってみる?」
「見つからないように近づこう。せっかく光のお友達に会えたんだから」
早速山根のおばちゃんに挨拶をして自分たちも群に加わった。
人をかき分けてようやく光の表情が確認出来る距離まで近づいた時、丁度決着がついた。
バンッ
「あぁああぁぁぁ・・・・・・」
「へっ!!!おとといきやがれだ坊主!!」
どうやら予想通り竹蔵が勝利を収めたようだ。
金髪君は相当ショックを受けたようで、腕相撲ステージとなっていた丸椅子にうなだれた。
「なんだよぉ。今日こそはと思ってたのにぃ!!」
「悔しかったら特訓でもしてくるんだな!!」
「そうなんだよな・・・だから今朝ちょっとした特訓をと思ってある人に喧嘩売ったら吹っ飛ばされちゃうし・・・」
「・・・は?」
先程まで他人のフリをしていた光が不快そうに金髪君を睨みつけた。
「ちょっとまて。お前今特訓って言ったか?」
「へ?あ、いやぁ・・・あははは」
「そのちょっとした特訓とやらのために俺は遅刻させられたのか?」
「いや!!そんなまさか!!だから、その・・・ねえ?」
「・・・」
光は他人に自分のリズムを崩される事を極端に嫌う。林檎にオモチャにされた(?)時も、一瞬頭のネジが飛んでしまったくらいだ。
渚が相手の場合はなんだかんだで勝ち目がないのですぐにおさまるのだが。
しかしこの場合はどうなるのだろう?
明らかに光の方が優位に立っているが、男相手にSっ気を出したところで引かれるだけな気がする。
「違うんだよ!!まさかコウちゃんがこんなにいい子だとは思いもしなくって!!」
「・・・へぇ」
必死で取り繕おうとする金髪君だが、光の応対は至極冷たいものだった。
ゆっくりと右手を腰に当てて首をかしげ、目尻を下げた。微笑んでいるようにも見えるが、どう考えても穏やかではない。
「じゃぁ、俺がいい子に育っててよかったなぁ?もし悪い子に育ってたら・・・いやぁ、アブナイアブナイ」
おそらく金髪君の脳内は恐怖でいっぱいになっているに違いない。少し日に焼けた健康的な肌は青く変色し、目にはあふれんばかりの涙がうかがえる。
「ご、ごめ・・・なさ・・・」
「ん〜?どうして謝るの、南君?」
これは止めた方がいいのだろうか?
集まっていた人達も金髪君に同情し始めている。
「肴山って・・・見かけによらずダークだね」
「ま、まぁね・・・」
「コレって止めなかったらどうなるの?」
「あの人の精神が破壊されるんじゃ・・・」
彼のトラウマを作ってしまう前にやめさせなければ。早恵も思うことは同じらしく、林檎の目を見て頷いた。
「ひ・・・光!!」
何も考えずに飛び出してしまった。
しかしこれで光の気を散らすことはできるはずだ。現に光の注意は金髪君から林檎に移っている。
「・・・林檎・・・?なんでここに・・・」
「あ、あれで撒けるとでも思った?ずぅっとつけてたんだから!!」
なんとかひねり出した言葉がこんなハッタリとは・・・。早恵の顔色をうかがうと、想定外だったのか、目を大きく開けてこちらを見ていた。
「・・・何?そんな暇なの?君たち」
驚いて取り乱すだろうと思っていたが、いたって冷静に呆れているようだった。
「ひ、光がお友達いじめてるから止めに来たんだよ!!」
「・・・いじめてねぇよ」
「ハタから見りゃいじめてるように見えるのさ」
「今の聞いてた?今日遅刻したのこいつのせいなんだぞ?」
「だからゴメンってば!!」
一瞬金髪君を睨みつけた後、商店街の人達に見られるのがいやなのか彼を引きずって歩き始めた。金髪君は泣きそうな顔で渋々連れられていく。
林檎はまだ怒り足りないのかと不安になり、早恵と共について行くことにした。
「ねぇ光、かわいそうだよ。制服も伸びちゃうし・・・」
「知ってる」
知ってるって・・・。
いや、たぶん光は気づいてはいないだろう。
小さい人に胸倉を掴まれながら歩く大きい人。これはなかなかの恥ずかしさだ。
「コウちゃん・・・どこまで行くんだよ・・・なんかいやんなってきた・・・女2人に見られてるよ、恥ずかしいよ!?」
「わぁかったっての!!デカいのが両手で顔隠してる方が恥ずかしいんだよ!!普通に歩けバカ!!」
「今バカって言った!?引きずられてちゃんと歩けるわけないだろ!?コウちゃんのがバ―――――――――」
金髪君が最後まで言い終わる前に立ち止まってしまったのは、目の前に般若のごとく顔を凄ませた光がいたからだった。
「待って!!ストップ!!タンマ!!」
このままでは光がまた爆発してしまうかもしれない。その前になんとか静めないと、お肉屋さんの目の前にクレーターが出来てしまう。
意を決して光のあいている方の腕に飛びついた。しかし何の考えがあるわけでもなく、林檎は困惑したまま光の顔を見上げる事しかできなかった。
するとどうしたことか。
顔が赤い事に変わりはないが、怒りの表情はどこかに消えているではないか。
よくわからないがチャンスだ。
「ちゃんとお話、しよ?ね?」
光はごり押しで放った林檎の言葉を聞いたとたん、金髪君から手を離し、林檎と反対方向に顔を逸らして手で顔面を覆った。
「え?コウちゃん?」
「光?」
返事がない。
それに、心なしか息づかいも荒いようだ。
もしかして発作か何かだろうか?
だとしたら大変だ!!
心配になった林檎は急いで光の正面に周り、安否確認を行った。
「ひ、光!?どうしたの?苦しいの????」
「わっ!!バカ、くんな!!」
「!!!」
どうやら非常事態ではなさそうだ。
では何故自分は「バカ」呼ばわりされたのだろう?
バカって・・・心配してるのに・・・バカ?
「・・・そう。わかった。そんなに嫌なら寄らないよ。ごめんなさい?気がつかなくて」
「え?り、林檎?」
「じゃあまた明日。さようなら」
「え、ちょっ、違う!!林檎!!待って!!!!」
そんなに必死で呼び止められても立ち止まるつもりはなかった。
「さ・よ・う・な・ら!!!」
「おい、待ってって!!なぁ林檎!!」
「〜〜〜〜〜〜〜しつこい!!」
あまりのしつこさについ叫んでしまった。
振り返った光の顔は蒼白で、動揺しまくっているようだ。
それでも今の林檎の怒りはおさまらず、光の目を見てはっきりと言った。
「ついてこないで」