2 疑問
だいぶ間が空いてしまいました。次からもこうなると思いますが、それでもいいいという方はどうぞ(。・_・。)ノ
「遅れてすみませーん」
「まぁたお前か肴山」
「今日は重い荷物を抱えたお婆さんを助けててさぁ」
「わかったからはよ入らんか」
あれから毎日と言っていい程このやりとりを聴いている。
大抵は一限目の途中に入ってくるのだが、二限目になってしまうこともあった。ホームルーム中に登校してくればまだいい方だ。
「林檎、ノート見せてくんない?」
「・・・いいよ」
「サンキュー」
コレも毎日。
まったく、何しに学校に来てるんだかわからない。
「光、なんでこんなに毎回毎回遅れてくるの?」
聞いてどうにかなるわけでもないが、何となく聞いてみた。
「だから言ったっしょ?お婆さんを助けてたって」
「そう毎日ハプニングなんておこるわけないでしょ?こないだだって車に引かれそうになった猫を助けてたとか言い訳して。しかも嘘くさいし」
「そんなことないよ。俺が心優しいから誰でも助けたくなっちゃうだけさ」
「あっそ」
少しイライラしてきた。
すぐにわかる嘘なのにそれを突き通してる。
一体なにを隠そうとしてるんだろう?
その日の体育の授業。
私達女子は更衣室でジャージに着替え、体育館へと向かった。
その途中、男子の群れが猛スピードで横を通り過ぎた。
「野郎ども〜!!ついてこ〜い!!」
「イエッサァ〜♪」
クラスでムードメーカーになりつつある新井慎二が先頭になって引っ張っている。そのすぐ後ろに光がいた。
「小学生か?あいつ等は」
女子は呆れてため息をついた。
今日は女子の担当の先生が出張で休んでいるらしく、代わりの先生が来ていた。
担当の先生がいなくて授業を進めることが出来ないので、とりあえずドッヂボールをすることになった。
最初はほとんどがだらけていたが、1人の女子生徒が力一杯投げたボールが相手側の子の顔面に当たり、それにキレたその子がこれまた力一杯投げ返した。そこから先は女の戦争状態で、手が付けられなくなっていた。
「やぁっと終わった〜」
「もう体力残ってないよ〜」
「さぁ弁当弁当♪」
力を使い果たした女戦士達はへとへとになりながらも教室にたどり着いた。
弁当を取りに席へ向かうと、誰かに肩をつかまれた。
「お疲れ、林檎。すごかったねぇ〜女子のドッヂボール。男子がみんな震えてたよ」
「なんだ、光か。誰かと思ったよ」
「なんだとはなんだ。人がせっかく心配してあげたのに」
「ハイハイ、ありがとうございます・・・ん?」
いじけた光の目を見て、私は違和感を覚えた。
「どうした?」
「光、どっか外国の血混ざってる?」
「なんで???」
「なんか目が青いような・・・」
「!?」
私がそう言った途端、光は私の肩から手を離し、目を背けた。
「そ、そぉ?そんなことないよ。じゃあ飲み物買って来なきゃいけないから、また後でね」
そう言って光は走り去ってしまった。
彼の机に目をやると、飲みかけのオレンジジュースが転がっていた。