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12 宣戦布告

お久しぶりです(汗)


学校の行事があってなかなか更新できませんでしたが、また感想などございましたら一言でも二言でもいただきたく。。。

(-_-;)

「林檎〜遅いじゃぁん。もう昼休みちょっとしかないよ?」


「ゴメンゴメン」



お弁当、間に合うかな?



「・・・光は?」


「あそこ」



早恵が指差した先には、机の上にあぐらをかいて弁当をかき込んでいる光がいた。

それをイスに座って眺めているのは新井慎二。光と同じくクラスのムードメーカーで、2人はよく一緒に行動している。



「お前お行儀悪いぞ?」


「んんんむ」


「うるさくないやぃ。かぁちゃんから教わらなかったか?ご飯はちゃんと座って食べなさいって」


「ん―――――ゴホゴホッ」


「ほらぁ。行儀悪くするからぁ」


「か、けぇ―――ゴホッ、ねぇ」


「関係あるもんね」



なんで会話が成立しているんだろう?

バイリンガル?


少し拗ねているようだ。

なんだかわからないが多分、何か気に障ることをしてしまったんだろう。

逃げたから?まだイジメ足りなかったと言うのだろうか。

光の性癖は特殊かもしれないが、それに巻き込まれているのは林檎の方なのだ。文句を言われてもしょうがない。



「うん。私、悪くない」


「なにがよ」


「あ、いや。何でもないよ」


「何でもなくはないと思うな」


「え?」


「だってあいつ、落ち込んでるように見えるよ?」



落ち込んでる?拗ねてるんじゃなくて?



「ジュース買いに行ったんじゃなかった?」


「・・・」


「ま、いいけど。そんなに気になるなら声でもかけてやれば?」


「気になんか・・・」


「してない?ウソ。ずっと見てた」


「う・・・はい、話してみます」



5限目。

開始一分で光は眠りについてしまった。先生が何度も起こそうとしていたがびくともしない。

いつもなら一応の反応はするのだが、本当に機嫌が悪いようだ。


早く何とかしないとまた暴れはじめるかも・・・。



“キーンコーンカーンコーン”



チャイムの音でも起きない。

いや、起きてはいるのかもしれない。うつぶせになっていてわからないが、とりあえず声だけでもかけてみよう。



「光」


「・・・」



返事はしてくれないが、目線だけはよこしてくれた。



「あの、さっきは・・・気を悪くしたのならごめんなさい。でも・・・」



私はMじゃありません。

そう言おうとしたのだが、何やら光がもの言いたげに頭を少し上げて呟いた。



「ん・・・謝んなくていいよ。俺が勝手に盛り上がってただけだから」


「え?盛り上がってたの?」



テンション下がってるようにしか見えなかったけどなぁ。


ふてくされているようではあるが、どうでもよさげな口調である。

こちらは心配していたというのに、気にせず盛り上がっていたというのだろうか?



「あ、いや・・・そっか、林檎にこういう言い回しはいけないよね。・・・要するに、林檎は悪くないってことだよ」



にこやかにそう告げた後、脱力して机に突っ伏した。

何かがぶつかり合う鈍い音がしたが、光が起きあがる気配はない。

たまに頭がピクリと動いたり、人差し指がくるくる回ったりしている。

やはり林檎が逃げた事に拗ねているのだろうか?

もう一度謝ろうとしたその時。人差し指の動きが止まり、机にすりつけていた顔がグルンとこちらを向いた。



「林檎」


「―――――――!?・・・・・・・・・なに?」



まるでホラー映画の様だったが、赤くなった額と鼻を見ると一気に緊張感がなくなっていった。



「ちょっと耳かして」


「う、うん」



自分が動けばいいじゃないかとも思ったが、渋々光の隣にしゃがみ込んで耳を傾ける。



「あのさ、今からキャラの修正ってきくと思う?」



・・・は・・・?キャラ?

何の話をしてるの?



「・・・え?話が読めないんだけど・・・さっきの話はもういいの?」


「ん。いいの」



いいんだ・・・。

こちらが“ドS”行動に妥協しまくって謝っているのに、全く気にしていないようだ。

・・・人騒がせな。



「俺が今おとなしめなキャラに方向転換したらおかしいか?」


「うん」



当たり前じゃないか。

中性的なやんちゃキャラとして定着しきっているのに、今更静かになったりしたら保健室に連れて行かれるに決まっている。



「今じゃクラス1のキャピキャピボーイだからね」


「・・・そんなに目立ってるか?」


「当たり前じゃん。・・・ていうか自覚がなかったことに驚きだよ」



やっちゃった。みたいな顔をしてるけど、自分で考えてやってたんじゃなかったっけ?



「なんで?どうかしたの?」


「・・・意味もなく笑い続けることに限界を感じた」



なるほど。光らしいと言えばらしい答えだ。

そう口にした彼は、どこか遠い目をしていた。光なりの落ち込み方だろうか。



「・・・・・・・ぷっ」


「あ゛?」


「ゴメンナサイ」



その時、背後から突然肩をたたかれた。光の肩にも同じく手が乗っていたので、別の、第三者がいるということだ。

その人物はサラサラのショートカットヘアで林檎よりも背の高い、気の強そうな目をした女子・・・早恵だった。



「ふぅん?・・・で?どんなキャラにしたかったのかな?」



え・・・もしかしてずっと聞いてた?


光の方を見ると、血の気の引いた青白い顔で早恵を見上げていた。



「あぁ。大丈夫。私口は堅い方だから」


「早恵・・・」


「なに。別にとって食いやしないさ」



そう言って早恵は、なんとも楽しそうに再び光の肩を叩いた。

周りの人達には聞こえていないようだ。

不幸中の幸いだろうか。バレたのが早恵でよかった。光には悪いが、彼女なら力になってくれるかもしれない。

光は相変わらず魂の抜けた様な顔をしている。彼にだけ聞こえるように、また耳元で囁いた。



「光。私、早恵には話してもいいと思うな」


「・・・やだ」


「え?」


「コイツだって、俺が毎日ケンカばっかりしてたって聞いたら引くに決まってる。せっかく作った“肴山光”が台無しだろ?」


「でも、ホントの性格には気づいてるみたいだよ?」


「それとこれとは話が別だ。性格がバレてようが、過去がバレるとは限らない。黙ってりゃ平気さ」



ならみんなにもそうすればいいのに。

別に性格が原因でケンカをしていたわけじゃないし、自分から向かっていったんじゃないなら人を睨まないようにすれば良いだけの話なのだ。



「まっつん。放課後、五分ぐらい時間もらえるかな?☆」


「もちろん」



二人とも満面の笑みだ。“ドS”っぷりはどっちもどっちである。

不定期ではありますが、これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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