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8 過去と覚醒

実は今、出したくて出したくて仕方ないキャラが何人かいます。


まだ名前も容姿も決まっていないような段階ですが、たぶん近いうちに深く関わってくると思います(`_´)ゞ

私は美月が運転する車で一旦家に帰り、着替えて一泊分の荷物を持ち再び光達のもとへお邪魔している。

せっかくだから泊まってと誘われたのである。家にいても特にやることなど無いので、甘えさせてもらった。

驚いたのは、お互いの家の距離である。実は一キロもなく、充分歩いて行ける距離だった。



「すみません。車まで出していただいたのに」


「いいのよ。荷物だってあるんだから」



リビングに入ると、光と渚がテレビに向かって吠えていた。



「コノヤロォ!!!」


「へ!!悔しかったら一発でも当ててみな!!!」


「あ!!卑怯だぞ!!爆弾なんて使いやがって!!!」


「これが卑怯なら最初から設定されてねぇよ」


「少しは顔にあった行動しろよ女顔!!」


「女じゃないから関係ないね。はは!!!お前プレイキャラまでツルンツルンじゃねぇか!!!」


「あ!!俺の○ッシー様を侮辱しやがったな!!」



どうやらスマ○ラをやっているようだ。



「ホントに仲がいいんですね」


「そうなのよ。光が中学一年生の終わり頃から一緒にいるからもう2年ちょっとになるかな」


「それまでは光と美月さんのお二人で?」


「私が光と出会ったのは光が小学5年生の時なの。光が通っていた小学校に研修生として入ったんだ。その時は手袋でアイサーを隠していたんだけど、光にイタズラされてね。手袋を盗られちゃったのよ」



なんてやんちゃな・・・。



「その時に光の目を間近で初めて見て、テイワズのルーンが浮かんでるのに気づいたんだ。それで、光が小学校を卒業した後に引き取ったの。親戚は数回しか会ったことのない叔父が一人で、他に行くところもなかったしね。んで、この光の家に二人で越してきたんだ」


「光の家?・・・ここがですか!?」


「光のご両親が建てたんだよ。今はさっき言った叔父の名義になってるけど。成人したら光のモノだよ。渚はその一年くらい後に友達を通して知り合って、すぐに一緒に住むことになったんだ。ちょうど実家出るところだったから」



ここが光のモノになっちゃうんだ!!!


驚きすぎて、たった今座ろうとしていた四人掛けのフカフカソファーに足をぶつけてしまった。



「・・・あれ?光のご両親って・・・」



そう聞いたとたん、美月の顔が心なしか曇った気がした。


もしかして・・・。



「あの子・・・私が引き取る前は孤児院にいたの。小学校に上がってすぐにご両親が―――――」


「美月」



美月は突然聞こえた低い声に怯えたように、ビクッと肩を震わせて光を見た。

相変わらずテレビ画面に向かっているが、手が止まっている。画面では、赤い帽子の髭男が黄緑色の生き物に食べられている。



「・・・ごめんなさい」


「・・・」短い沈黙のあと、赤帽子が歩く爆弾を黄緑色の生き物に投げつけた。



「あ!?また爆弾投げやがったな!!」


「ボーっとしてんのが悪いんだよ!!」


「ふざけんな!!○ッシーがあと1人になったぞ!?返せ!!今すぐ俺の○ッシー様を返しやがれ!!!」


「そんな機能はございませぇん」


「テメェコノヤロォ!!!」



・・・後ろ姿で顔は見えなかったが、きっとすごく怖い顔をしていただろう。

だが同時に、泣いているんじゃないかとも思った。


光・・・。









その後も2人は楽しそうにゲームをしている。しかもさっきの出来事が嘘のように、「昼飯はぁ?」と子猫のように甘えた声でなんとも可愛い顔をしたりしている。それにつられてか、美月も子供をあやすように「ハイハイ」と言ってキッチンに向かう。


手伝おうとしたが、「お客さんは座ってて」と止められてしまった。

1人暇になってしまったので、何となく二人掛けのソファーを独占している光の隣に飛び込んだ。



「わっ!?林檎!?」


「失礼」


「失礼じゃねぇよ!!びっくりしたぁ。もっと広いとこあいてるだろ?」


「だって寒いんだもん」


「ん?寒いのか?」



そう言うとコントローラーを膝に置き、着ているパーカーを肩に掛けてくれた。



「まだ寒いか?」



実際本当に寒かったわけではなく、一人で座っているのが嫌だっただけなのだ。だが、自然な優しさが嬉しくて、心が温かくなった。



「ううん。ありがとう」


「ん」



何故か恥ずかしがっているようだ。微妙な返事のあとは目線を逸らしてゲームに戻ってしまった。


そっか、きっと光は女の子とこうして座ったことがないんだ。


試しにコロンと光の方に倒れて肩に頭を乗せる形になる。

すると、赤帽子がジャンプを止めてマグマに落ちた。何回か飛び跳ねたあと、なんとかしてステージに戻る。



「さ・・・寒いのか?」


「うん。寒いの」


「・・・そ」



今度は、一旦体を起こして光にぴったりとくっつく。そして表情を見ることが出来るように顔を覗き込んだ。


ガシャン!!!


コントローラーの落ちる音だ。

光はそのままの格好で固まってしまった。顔は真っ赤になって瞬きするのも忘れてしまったようだ。

腕が宙に留まっているので、ちょっとつついてみた。全く反応がない。


・・・面白い。

スマ○ラよりも遙かに楽しい。


気が済んだので、最初に座った位置に体を戻した。

やっと頭が再起動したようで、慌ててコントローラーを拾い上げる。



「光っていじりがいあるよね」


「林檎・・・俺で、遊んでたのか?」



光はなんだか不機嫌そうな声で、下を向いたままゆっくりと立ち上がった。



「へぇ・・・この俺で、遊んでた。・・・ふ〜ん?」



ん?何だろう・・・?光から発せられるオーラがだんだん黒くなっていくような・・・いや、実際には見えてないけどね。



「俺を・・・玩具に、ねぇ?」


「えっと・・・怒ってるの?」



不安になって恐々聞いてみたが、間違いだったようだ。

次の瞬間、満面の笑みを貼り付けた光の顔がこちらに向いた。・・・なんかいやな予感。



「ぜぇんぜん☆林檎が楽しめたんなら俺も嬉しいよ?―――――でも、ね?」


「な、なぁに?」



明らかに学校での光の口調である。しかし言葉は可愛くても、中身は多分、林檎が知らない彼だ。



「さっきは林檎が楽しんだんだろ?じゃあ今度は―――――――」



光はそう言いながら近寄って、私をソファーの隅まで追い詰め、覆い被さる。

そして、少し乱暴にアゴを持ち上げられ、耳元に唇を寄せる。


「俺、だよな・・・?」


「ストーッッップ!!!」



突然、目の前が明るくなった。

見ると、渚が光を羽交い締めにしている。光はなにが起こったかわかっていないようで、目をパチクリさせていた。



「何だよ」



自分があまり良い格好ではない事に気づいて渚をにらみつけるが、そんなことはお構いなしに渚は続ける。



「ここはマズいっしょ。やるんなら部屋でお願いしますよ、先輩」



そこで光が慌ててキッチンの方を見る。美月は全く気づいていないようで、黙々と作業を続けている。しかし、それでも光の頭を正気に戻すのには十分だったようだ。顔からはだんだんと血の気が引いていき、口はワナワナと震えている。



「あ・・・林檎・・・ごめん!!!」



どうしたらよいのだろう?

目の前で光がこちらに向かって土下座をしている。

さっきの光との変わりように、ただただ光を見下ろすことしか出来なかった。



「悪気があったわけじゃないんだ!!その・・・何だか突然、苛めたくなって・・・」


「い、いじ・・・?」


「そうか、光はドSだったのか・・・」



渚を見ると、納得した顔で頷いていた。



「・・・悪いかよ」


「いや?男はちょっとくらいSじゃないとやってらんねぇからな」


「おまえさっき“ド”って言ったよな」


「ん〜。俺は“ド”ではないが・・・いや、気持ちはわかるぞ?いやでも“ド”ではないからなぁ―――――」


「結局ドSに引いてんじゃねぇか!!」


「引いちゃいないさ。女の子弄るのは愉しいよなぁ?いやでも“ド”じゃ―――――」


「てめぇは黙ってろ!!」


「ん?“てめぇ”?“てめぇ”って誰のことかなぁ?“ド”S君」


「ドSはてめぇだぁぁぁああ!!!!!」



・・・結局ドSvsドSの漫才が始まってしまい、林檎は“ドS”についてつっこむ機会を失ってしまった。





四人でミートスパゲッティを食べている時も光はイライラしているようで、何も言わずにものの数分で完食し、再びソファーに深く座り込んだ。

渚は渚で、ニヤニヤと光の様子を観察している。

状況が読めないらしく、美月が小声で問いかけてきた。



「ねぇ・・・何かあったの?」


「渚さんに“ドS”と言われたのがイヤだったみたいです」


「え?ヒカちゃんが“ドS”?・・・なんで?」



すると、渚が面白そうに説明をし始めた。



「いやぁ、それがなぁ。ひ、光のヤツ・・・ククッ」


「一人で笑ってちゃ分かんないわよ」


「さっき林檎ッチにオモチャにされたのが気にくわなかったのか知んねぇけど、スイッチ入ってよぉ・・・クッ」



思い出し笑いのせいで先が言えないようだ。

自分もあまりハッキリとはわかっていないが、そのときの状況だけ伝えておこう。



「いきなり光からドス黒いオーラが放出されて、私に迫ってきたんです」



カランッ


美月の手からフォークが皿の上に滑り落ちた。



「・・・迫ってきた?どんな風に?」


すると、渚がおもむろに美月に顔を近づけ、顎をグイッと持ち上げてこう言った。



「『さっきは林檎が楽しんだんだろ?じゃあ今度は・・・俺、だよな?』って」



妙に色っぽい声色だ。たぶんあの時の光のマネだろうが、そこまでわざとらしくはなかったと思う。

そのせいか美月は高まりかけていた怒りを忘れて頬を紅く染めた。



「そ、それで?どうなったの?」


「俺が止めた。だってここで始められちゃったら困るだろ?」


「そっか、止めたんだ。なら、よかった。わかったからちょっと離れて・・・」


「ん?なんで?」


「な、なんでって!?それは・・・だから・・・」



あんたの方こそ“始めそう”だ。完全にこの状況を楽しんでいる。

美月はまともに渚の顔を視ることができずに目を泳がせるし、渚の方は少し顔を傾けてこれでもかというくらいに近づいていく。



「ヒカちゃんの再現は理解できたから!!」


「うん、それで?」


「な、なんでまだ近づいてくんのよ!!」


「さぁ?・・・なんでだと思う?」



うん。

光と渚はレベルが2つくらい違うな。


光は突発的なものだったが、コレは理性と相談した上での行動だからタチが悪そうだ。

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