【異世界からようこそ】
ゲラゲラコンテスト用の作品です。
二人
「はいどーも」
ツッコミ
「そういえば最近、異世界がトレンドらしいですよ」
ボケ
「異世界。現実逃避したい方が、沢山いらっしゃるって事ですね」
ツッコミ
「おい。そういう事を言うんじゃないよ。俺らも恩恵受けてるんだからさ。そういう設定として物語を愉しむものなの。話の幅が広がるんだよ」
ボケ
「あーそういう事か。だからね」
ツッコミ
「だからって何だよ」
ボケ
「俺らの話が広がらない原因」
ツッコミ
「いや、広がるよ。むしろ、広げるのがお前の役目だろ。頼むよ」
ボケ
「異世界、いいなぁ。俺も逃げ出したいもんなぁ」
ツッコミ
「どこから?」
ボケ
「この舞台から」
ツッコミ
「おい、逃げるなよ。時間も文字数も全然足りてねえんだよ」
「異世界に召喚されるって話が最近多いけど、異世界から現世に召喚するって話は昔からありますよね」
ボケ
「そうなの?」
ツッコミ
「例えば、ドラキュラなんてのも、異世界から召喚されたお話かもしれませんよ?」
ボケ
「あぁ、ドラキュラさんね。そういえばこないだ、現世に呼び出し食らったって言ってましたわ」
ツッコミ
「呼び出しって、何かやらかしたの?っていうか、知り合いなの?」
ボケ
「現世に無一文で飛ばされたから、バイトしたいって面接に来てたのよ」
ツッコミ
「え?なんか思ったよりまともな設定だね、それ。どんな感じだったの?」
(面接場面)
ボケ
「あのう。面接に来たんですけども…」
ツッコミ
「あ、お電話いただいた。ちょっと元気ないね。大丈夫?」
ボケ
「ちょっと、昼に弱くて…」
ツッコミ
「ごめんね。面接は昼なんだ。えーと、名前は『吸血どらきゅら君』ね。あれ?鬼の字が抜けてるよ?」
ボケ
「僕、鬼じゃないんで…。アイツらは、普通じゃない…」(怯え)
ツッコミ
「いや、君もだいぶ普通じゃ無いと思うよ?」
「前の仕事は、何をやってたの?」
ボケ
「献血センターで働いてました」
ツッコミ
「え?ピッタリ天職じゃん。なんで辞めたの」
ボケ
「若い娘の血しか吸えなくて…」
ツッコミ
「おい。犯罪者来たよ。警察呼べ」
ボケ
「あと、僕、B型で…」
ツッコミ
「へえ」
ボケ
「A型の血が、相性悪くて吸えないんですよ」
ツッコミ
「知らねえよ!」
「ああもう、仕事の内容説明するから。夜勤希望なんだよね。工場内の軽作業なんだけど、やれそう?」
ボケ
「あ、はい…暗闇でも大丈夫です」
ツッコミ
「そんなに暗かったら作業できないから。ごめんね」
ボケ
「そうですか…残念」
ツッコミ
「簡単な仕事だから、今から少しやってみようか」
ボケ
「はい…」
ツッコミ
「ウチは、機械を入れる外側の枠を作っていてね。君にはロット番号の確認と、蓋を閉める作業をやってもらうから」
ボケ
「はあ…」
ツッコミ
「じゃあ、このドライバー使って、番号を確認したら蓋を閉めて」
ボケ
「はい…」
「ぎゃあぁぁぁ」
ツッコミ
「どうしたの!」
ボケ
「すみません。プラスのネジが十字架に見えてしまって…」
ツッコミ
「え?何言ってるの?ちょっとよく分からないんだけど」
ボケ
「すみません。マイナスのネジなら大丈夫なんですけど…」
ツッコミ
「君のために交換なんてできないからね」
「じゃあ、発注作業をやってもらおう。この注文書に書いてある数字を足して、一番下の合計ってところに記入してくれれば良いから」
ボケ
「わかりました」
「ぎゃああぁぁぁ」
ツッコミ
「なになに?どうしたの?」
ボケ
「足し算する時、プラスが頭に浮かんでしまって…」
ツッコミ
「なんでだよ!神経質すぎるだろ!トラウマでもあるの?」
ボケ
「トラウマじゃないんですけど、イップスで…」
ツッコミ
「違いがわからないよ!」
ボケ
「あ…」
ツッコミ
「なに?」
ボケ
「引き算と掛け算と割り算はできます」
ツッコミ
「役に立たないよ!」
「ああもう。じゃあ、夜間の警備に空きがあるから、それならできそうでしょ?」
ボケ
「はい…この周り、薄気味悪いですもんね」
ツッコミ
「君も十分、気味悪いけどね!」
(翌日)
ツッコミ
「あ、君。おととい面接に来た吸血君。昨日一緒だったろ。どうだった?」
ボケ
「アイツなら、もう辞めましたよ」
ツッコミ
「え?なんで?イジメ?」
ボケ
「そんな事しませんよ。挨拶したら顔が引き攣って『一緒に働けません』って言われて。失礼な奴ですよ」
ツッコミ
「何て言ったの?」
ボケ
「『よろしく。十文字です』って」
ツッコミ
「あー、十かぁ。でも、シフトに穴が空くと困るんだよ。呼び戻してきてよ」
ボケ
「えぇー。『僕にはもっと、合う職場がある筈だ』って、行っちゃいましたよ」
ツッコミ
「どこに?」
ボケ
「並行世界に」
ツッコミ
「もうええわ」
おわり
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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