花を持たせる
花を持たせる、という言葉が野田の辞書にはないのですよ……。
ゲームをするとき。
いつでも全力投球。
手を抜くなんて相手に失礼だ、と思ってまいりました。
その結果。
得意なゲームでは遊んでもらえなくなることも、しばしばでしたが。
歯牙にもかけなかったのです。
シューティングゲームが大の苦手ですから、逆に野田もシューティングゲームは避けさせていただいておりました。
しかしながら。
「ゲームをするときは全体を見る」
「ずっと誰かが負け続けていないか気にする」
「みんなが楽しめるようにわざと負けることもある」
というような意見に出会ったとき。
接待ゴルフか……! とは思ってしまったのですが。
衝撃を受けました。
基本的に、野田は自己中心的な人間でしてね。
いつも自分のことしか考えていないのです。
ゲームは勝ったほうが楽しいですから。
いかに自分が勝つかしか考えておりませんでした。
どうしたら周りのお友だちと楽しい時間を共有できるか、ということが抜け落ちていたのです。
道理で、お友だちが少ないわけであります。
たまには、相手に花を持たせることも大切ですね。
わざと負けることが必要なときもあるのですよ、と。
今となっては、頭では理解しているのですが。
冒頭で申しましたように、花を持たせるという言葉は野田の辞書にないままです。
プライドが高すぎて、わざと負けられないのですよ。
つまらないプライドなんて、さっさと捨てちまうべきなのですけどね。
そして。
正々堂々、真っ向勝負。
逃げも隠れもしないという暑苦しさが、野田にはあることも自覚しております。
別に、誰からも暑苦しさは求められていないのですけどね。
なかなか変えられません。
それに加えて。
わざと負けるのって難しすぎませんか? という問題もあります。
ギリギリで自然に負けるためには、器用さが必要不可欠でしてね。
わざとらしくならないように、わざと負けるなんてことはできないのです。
しかしながら。
子どもが大きくなったら、たぶん一緒にゲームで遊ぶこともあると思うのですが。
正々堂々、真っ向勝負!
逃げも隠れもしない、野田は負けない! というスタンスでは、いろいろ問題がありますよね。
そういうのを「大人げない」と人は言うのだと思います。
娘や息子に嫌われたくはないのですが。
わざと負けるなんて高度な芸当はできなそうですよ。
「子どもだからって容赦しないよ」というのが、野田の基本的なスタンスになってしまうのかもしれません。




