絶対にやってはいけない
「絶対にやってはいけない」と言われたら。
やってみたくなってしまうことって、ありますね。
うちの1歳児が、まさにそんな感じです。
何でもかんでも投げるのですよ。
常に、おもちゃが家のなかを飛び交っております。
「絶対にやってはいけない」と言われたとき。
やることによって何が起きるのか、わからない場合。
一層、やりたくなってしまいますね。
「投げるとどうなるかは、いい加減わかったやろ!」と、娘には突っ込みたくなるのですが。
気持ちはわかりますよ。
臆病者のため、自分自身が行動に移すことは少ないのですけどね。
絶対に開けてはいけない箱。
絶対に押してはいけないボタン。
そういったものがあるとしたら。
間違っても開いたり押したりしないように、クローゼットの奥へしまいこむタイプです。
そういったものが存在していることさえ、疎ましく思えてしまいます。
しかしながら。
独りだったら、絶対に開けないのですが。
「開けてみようよ、気になるじゃん」と、誰かに言われたら。
断ることができない性格です。
小学生のとき、そのようなことがありました。
熱田神宮でお友だちと遊んでいたときのことです。
お友だちが立ち入り禁止の札を見つけましてね。
「奥に何があるんだろう。行ってみようよ」と言いました。
正直、野田は行きたくなかったのですが。
性格的に断れないタイプでしてね。
「うーん」と曖昧な返事をしておりました。
すると、空から一粒の砂利石が落ちてきましてね。
お友だちの頭に直撃したのです。
「痛っ」と言って、空を見上げるお友だち。
つられて、野田も空を見上げたのですが。
木々の隙間から、きれいな青空が見えただけで何もありませんでした。
突然、砂利石が空から降ってくるのは初めてのことです。
「絶対に行ったらダメ。こういう私の勘、当たるんだよね」と、お友だちは言いました。
行かずに済んでよかった、と野田は心のなかで安堵しましたよ。
思い返してみると、不思議なできごとです。
立ち入り禁止の札があった位置は、熱田神宮の本殿の真横にあたる場所でした。
あのとき、立ち入り禁止区間へ足を踏み入れていたらどうなっていたのかは謎のままです。
案外、本殿の横塀が見えてくるだけだったのかもしれませんが。
千と千尋の神隠しのような、神々の領域が広がっていた可能性もなきにしもあらずかもしれません。
一般人は入れないとされる神聖な場所に、間違って足を踏み入れずに済んで良かったと思う今日この頃です。




