相性のいい人
昔は、よくわからなかったのですが。
いろいろな人と出会っていくうちに、自分と相性のいい人が存在しているということに、野田は気がついたのです。
初対面でも緊張することなく、ナチュラルに本音を話すことのできる方。
世の中には、そのような方がいらっしゃるのですよ……!
まず、普通の人が野田と会話を始めますとね。
「いい天気ですね」
「そうですね」
「毎日、こうだといいですよね」
「そうですね」
「………」
「………」
みたいな、ぎこちない会話になります。
もしくは。
「趣味は何ですか?」
「岩盤浴です」
「好きな音楽は何ですか?」
「嵐です」
みたいな、当たり障りのない会話になるのですが。
たまーに、ごくたまーに。
「趣味は読書です」と、野田は本当のことを言えるときがあるのです。
そして。
会話を弾ませてくださる奇特な方が、いらっしゃるのですよ。
もちろん、相手のコミュ力が異様に高いから話せることもあるのですが。
そうではないこともあります。
不思議なことです。
ちなみに、文字の上で話せるかどうかとは別の話なのですよ。
普段から文字の上で仲良くさせていただいている方は多いのですが。
直接お会いして、スラスラ話せることは少ないです。
たぶん、野田が目の前にいる場合でも。
SNSを使って、お話しをさせていただいた方がスムーズです。
すみません。
本当の本当に、野田はコミュ障ですから……。
決して、みなさまのことが嫌いというわけではないのですよ。
「好きでも上手く話せない」みたいなことは、よく起こります。
実は、旦那さまとも相性が良くないのですよ。
デートでは毎回、喋ることがありませんでした。
未だに、一緒に出かけると喋ることがなくて困ります。
こっそり、気まずい思いをしています。
結婚してから4年もの月日が流れているのですけどね。
何なのでしょうか。
それでも、夫婦関係が上手くいっているのには理由があるのです。
たまたま、彼が「全く喋らない空気のような人」が好きだからなのですよ。
「話せなくてもいい。そういうのは求めていないから」と言われたことがあります。
どうやら彼は、野田のことを「コミュ障」ではなくて「クールな人」と判断しているみたいなのです。
たまに野田のテンションが爆上がりして、喋りすぎていると怒られます。
普通にして、と……。
もともとの相性は良くないのです。
ただ、野田と一緒に暮らすことができる人間は彼だったのです。
結局のところ、相性とは何なのでしょうね。




