遅刻
何年か前の冬に、車のタイヤ交換の電話予約をしたときのことでした。
「時間に遅れないでくださいね」と、なぜか店員さんから強めに注意されたことがあります。
「大丈夫ですよ、5分前には行きますね」と野田が応えましたところ。
「5分前じゃ遅いんです。20分前には来てください」と言われてしまいました。
なぜか店員さんがキレ気味だったので、すごく引っかかりましてね。
内心、穏やかではなかったですよ。
20分前に行って、ちょっとでも野田を待たしてみろ? 文句言ったるからな! と正直、思いました。
どっちにしても作業の時間は待たされるので、よくわからないのですけれども。
しかしながら、野田は昔から人に怒られやすいタイプでしてね。
「何でも受け入れてくれそうなオーラがある」と言ってもらえることが多いので、少しは野田の性格にも原因があるのかもしれません。
美容院に行けば「必ず毎日ドライヤーで髪を乾かしてください」と怒られて、眼医者に行けば「もっとがんばって目薬を差してください」と怒られて、歯医者に行けば「もっとがんばって歯を磨いてください」と怒られるタイプなのですよ。
いろいろ諦めの境地に達しておりましてね。
いつもと同じように「はい、わかりました」とだけ答えたわけであります。
それ以来、タイヤ交換やオイル交換の予約をした際には必ず20分前に行っております。
普通に早すぎです。
だから、ある日。
旦那さまが不思議そうに聞いてきたのですよ。
「早すぎじゃない? ちょっとくらい遅れていっても大丈夫でしょ」って。
……少しは旦那さまの性格にも、こうなった原因があるのかもしれません。
きっと彼のような性格の人で遅れを取った分を、野田のような性格の人で巻き返そうとした結果がコレだと思うのです。
流れてしまった時間は2度と巻き戻りませんからね。
遅れた分は人力で巻き返すしかないですよね。
野田も高校生のときは、寝坊したらバス停まで200メートル走していましたし。
社会人になってからは、常に名古屋走り……。
めちゃくちゃ危ないので、普通に諦めるべきかもしれません。
個人的な見解ですが、多少の遅刻ならば個性だと思うのですよ。
野田の仕事内容を例に挙げますとね。
10時にご予約のお客様が、みんな10時ぴったりに来たら1人で対応できないのです。
10分前と10分後に来てくださるお客様がいるから、野田が1人で対応できるというものですよ。
みんなちがって、みんないいです。