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手を繋いで一緒に行こう  作者: 那由他
イーリン 心の再構築

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33/35

「メシマズなんていやぁ~」

三日目の学びは厨房でゆっくり朝食を取ってからだった。



ゆっくりの理由は簡単だ。


忙しい朝食時に3人娘の世話が入ると朝食の準備が回らない。


後片付けがほとんど終わる頃合いに、小さな部屋のテーブルを6人で囲んだ。


真ん中に厨房長。

両脇にシスターヴァネッサとコリン。


反対側に3人娘である。


まずシスターヴァネッサ切り出した。

「さてあなた達はこの二日で様々なことを少しずつ学んだと思います」

「「「はいっ!」」」


無駄に元気の良い声でイーリンが返事をした。


「初日はジャガイモの準備。二日目は乳搾りですね」

「「「はいっ!」」」


そしてコリンに声をかけた。

「コリン。3人とも真面目にやっていたかしら」

「はい、厨房長。じゃがいもを洗う時は手が荒れても文句は言いませんでした」


「牛を怖がらなかった?」

「怖がりませんでした。上手い下手はありますが、みんな乳搾りを頑張っていました」

「よろしい」

厨房長は満足そうに頷いて

3人娘に向き合った。


「さてすべての素材を食べられるよう調理する場所が厨房です」

「「「はい」」」


「ではあなた達に質問です。

ここではよくクリームシチューを出していますね。お肉や人参やじゃがいもが入ったシチューです」

3人は真剣に聞き入っている。


「あなたがクリームシチューを作る時に肉と野菜以外に何を入れますか?」


イーリンが口火を切った。

「はいっ!鍋いっぱいのミルクです!!」


ほぼ全員がぽかんとした。


「ミルクだけで煮込むと美味しいと思います」

「………」


マリーは目を輝かせた。

「美味しそう!それなら砂糖とバターを入れたらお菓子のようになるんじゃないかしら」

「………」


イーリンとマリーは目をキラキラさせてスイーツを想像しているが、それはもはやクリームシチューではない。

何か別ものだ。


厨房長は頭を抱え込んでいる。


シスターヴァネッサは顔が引きつっている。


ナタリーは目を点にしたまま沈黙している。


コリンは笑い出さないように手で口を押さえている。


空気を読めない二人の会話はまだ続いていたが、とりなすようにシスターヴァネッサが口を開いた。

「ナタリーは村で料理をしていたのよね。クリームシチューの味付けは何かしら?」

「塩胡椒でした」


一同がホッと胸を撫で下ろした瞬間に、またイーリンが言った。


「ミルクと塩胡椒なのね。そういえば料理には隠し味というものを入れるんですってね」

「私も聞いたことがあります。きっとケチャップとかかしら」

「シナモンかもしれないわ」


疲れた顔をした厨房長が言った。

「もう結構ですメシマズ2人娘」


始めて聞く言葉だが何だか不吉だ。ギョッとして厨房長を見た。

「メシマズっ?!それって何なの?!」


「誰も食べられない暗黒物質を作る料理人をそう呼ぶのです」


「アワワアワ」

イーリンが訳が分からずアワアワし始めた。


「飯マズ?私は飯マズ料理人?!」

マリーはブツブツと呟いている。


「料理には、それぞれ基本的な材料と調味料、手順があります。今のレシピをそのまま作ったら、豚も食べられない料理になります」


『豚を食べない』の言葉でイーリンとマリーはショックを受けた。


「ここはこうした方が美味しくなるんじゃないかという工夫は、きちんと料理が作れるようになってからすることです。

鍋いっぱいのミルクを沸騰させたら吹きこぼれて大変な騒ぎです。

そしてそのまま煮続けると鍋が焦げます。

コゲだらけの食べられないクリームシチューの完成です」


真っ黒なクリームシチューを想像した二人は厨房長の話を真剣に聞いている。


「自分一人が食べるなら全く問題はありません。ても人が食べるとなると話が別です。普通は不味くても無理をして食べてくれるでしょう。でもメシマズと人に思われたいですか?」


「マシマズなんていやぁ~!!」

「私はちゃんと結婚したいし、旦那様と子供たちが笑顔で食べてくれる料理を作りたいです!!」


「わかりました。

先程のクリームシチューですが、具材は先ず炒めますが、それは煮崩れないように食感が良いようにする為です。

下ごしらえ一つにもそれぞれ意味があります。先ずここで料理を作っている人たちが、どのように動いているか下ごしらえから学びなさい」


イーリンとマリーは思わず立ち上がった。

「「わかりました!!」」


その言葉に続くようにナタリーも立ち上がる。

「私も一緒にやります」


「えっ?!でもナタリーは料理ができるんでしょ?」

「ほんのちょっとだけなの。料理ができることと人に美味しいと言ってもらえることは別だもの。お隣のおばさん優しくて、大変だろうといつもおすそ分けを下さってたの。とても有難かったし、とても美味しかった。

私も美味しいものが作れるようになりたいわ」


うんうんと聞いていたイーリンが嬉しそうに言う。

「そーなんだぁ。じゃあ一緒に頑張りましょう」


マリーが不思議そうに言った。

「でもイーリンは、いつかお家に帰るでしょう?料理を学ぶ必要はないんじゃないの?」


「それでも私も人並の料理が作れるようになりたいの」


厨房長は満足げに言った。

「大変よろしい」



そして三人揃って厨房で玉ねぎの皮むきである。


「この茶色の皮を剝いてくと中に白い部分が出るから、剥き終わったら私に渡してね」


「この白いのが玉ねぎの実なの?」

「それは茎ですよ」

「「「茎っ!!」」」

「玉ねぎは地下にできる茎を食べるものなんです。人参は根っこです」


それはナタリーも知らなかったようで、同じくうんうんと頷いて聞いている。


「玉ねぎにはネギ坊主って呼ばれる白い玉のような花が咲きます。なんだか大層な花言葉があるらしいんだけれど、所詮ネギ坊主ですからね」


花言葉に反応したのはマリーである。

「まぁ。その花言葉って何かしら?」

「不死とか永遠だとかですよ」

「玉ねぎの花はそんなに美しいの?」

「ネギ坊主は違うでしょ。この玉ねぎから生まれた花言葉ですよ。剥いても剥いても終わらないから」


皮を剥き終えた玉ねぎをの上を切って断面を3人に見せてから、いたずらそうにニカッと笑った。


その表情に声を上げて笑いそうになって、静かにとコリン人差し指で口を押さえるジェスチャーをされた。


「見習いさんですからね」




千里の道も一歩から(笑)

美味しいものを食べようとお店に入って、ものすごい料理が出てきたことが何度もあります。

チェーン店にはマニュアルはあるはずですか、マニュアルを無視して自己判断適当料理というのもありますあります。

口コミ評価でついつい書いてしまいました。

「メシマズは都市伝説ではありません」

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