みかんちゃん(お題:みかん/著者:ゆりいか)
私の名前はみかんって言うんだけど、本当はりんごの方が良かった。
ミカンは黄色くて色がちょっとほわほわしすぎ。でも、リンゴは真っ赤っ赤で女の子の色だし!
「お母さん、私ミカン嫌い!」
朝食に出されたミカンに対して私は怒りぷんぷん。
いつも出さないでっていうのに、好き嫌いしちゃダメって。包丁でカットしたものをお皿に載っけてくる。
私以外のみーんなはミカン好きだけど。私はおミカンは酸っぱくて嫌い!
「それはオレンジだよ」
「同じだよ!」
色も形も、ミカンもオレンジも変わんない。大きさが違うだけで、特に変わりないじゃん。
どうして、大人の人はそうやっていちいち煩いんだろう?
「オレンジくらい食べられるようになればいいのにねぇ」
お隣でトーストを咥えたお父さんがそう囁く。そうやって、子供扱いされるのは心外!
じーってお父さんのほうを睨むと、したり顔でパクリとミカンを食べて見せつけてきた。
「ほらほら、美味しいぞ!」
「いーやーだー!!」
得意げにむしゃむしゃと食べちゃうお父さんがとっても偉そう。
生理的になんか嫌なので、いーってしちゃった。
「大人なんだから、グレープフルーツ食べれるようになるといいね」
「いや、あれは苦くて無理だ。甘いほうが良い!」
そんなお父さんもグレープフルーツが嫌いらしい。私も一度食べたけど……絶対食べたくない!
なんでかなぁ、なんでミカンって酸っぱくて苦苦で、食べづらいんだろうか?
「私、リンゴのほうがいいなぁ……」
どうせなら、朝食に食べるならリンゴが良かった。だって、リンゴって美味しいし。
シャリシャリであっさりしてて、甘くて。
「私の名前、みかんじゃなくてりんごのほうが良かった!!」
ぷくぅー!!ってふくれっ面をする私。これは猛抗議!
どうして、りんごじゃなかったんだろう………
「子供の名前には果物の名前をつけようって話になってたんだけどね」
「ああ、本当は【みかん】か【いちご】のどっちかにしようと思ってたんだ。で、【みかん】を選んだんだが……」
「やっぱ、女の子は【いちご】のほうが良かった?」
ああやっぱり分かってない……お父さんとお母さんはとってもわがままだってことは分かった。
だって―――
「イチゴも酸っぱくて嫌い!! りんごがよかったの!!」
私が必死に怒ってるのに、お父さんはガハハと笑って私の頭をなでてきた。
「いいかい、みかん。なんで好き嫌いをしちゃだめか分かるかい?」
「……分かんない」
「成長すると、大人になると良いものと悪いものが分かってくるんだ。でもね、そこで子供の頃から引きずってた好き嫌いがあると、本当に良いものが分かんなくなっちゃう。本当に素敵な物が分からなくなっちゃうんだよ?」
「意味わかんない」
「みかんはオチビだからな~~でも、大丈夫。みかんはみかんのことが好きになる。それは保証してあげよう!」
意味深にそう言われても、今の私には分かんない。
でも、ミカンが、自分のことが大好きになる時が来るのかな? うーん……やっぱリンゴがいいなぁ。




