表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

はじまり

 私は学校が好き。

 いい友達、いいクラスメート、ほぼ好き。

 ほぼ……うん。

 さて、今日も学校! 教室!

 私はドアを開ける。

 すると、ほぼ、から外れるヤツと目が合う。


「井上、今日もさえない顔だなあ」


 コイツ! 私は少しカリカリしながら、挨拶をする。

 

「おはよう」


 そして警戒心を丸出しで、そいつをみる。

 男子生徒は少しムッとして、私をみた。

 私は少し体が引く。

 怖い。


「なんだよ」


 男子生徒が顔を背ける。

 その隙に、私はその横を通り抜ける。

 ようやく席につく。

 ようやくではないな。

 でもすごく長い時間、束縛された気持ちになった。

 ほんの一瞬だとしても。


 自己紹介が遅れた。

 私は 井上 やよい といいます。

 中学生で来年は受験生。

 つまり二年生です。

 季節は春の終わり、桜はとっくに散った。

 初夏にはまだ早い。

 そんな時季です。


 私はカバンから、タブレットを取り出し学校のパソコンに送信する。

 これをすることで、宿題の送信ができる。

 中学生でも宿題はあるらしく、少し意外だったのは中学生に入った頃のこと。

 少しがっくりだったな。

 なんてことを、思っていたらタブレットが鳴く。

 

 ピロロン、ピロロン。


 これは私の送信が終わった音。

 その後に違う音がする。

 

 キーン、キーン。


 受信の音だ。

 これは学校からの情報が入ってくる。

 いつもは、すぐには開かない。

 だけど私はすぐ、タブレットを開く。

 理由は、中間テストの範囲が指定されているから。

 これは後でもいいんだけど、できるだけ早く知っておきたい。

 

 今回の数学は、かなり範囲がせまい。

 しぼりやすい。

 だけどそうなると、平均点は高い。

 テスト作成する先生は、あの先生か。

 聞いた話だけど、結構難しくする傾向にあるらしいけど。

 今回はどうかな?


 こんな感じで、いつも観察みる

 私はこんなやりとりが好き。

 変な性格と、友達は言うけどね。


「おはー! やよいちやーん」


 ケラケラ笑いながら、一人のショートヘアの同級生が私の前にきた。


「なに、アカネ! 私はいそがしいの」


 この子は、坂本 茜、私の親友であり、一番の友達でもある。


「あははは」


 大笑いしながら、私をみる。

 クリクリとした大きな瞳が、印象的だ。

 

「おはよう、やよい」


 アカネの頭越しから、一人の女子生徒が声をかけた。

 長身でスラッとしたモデル体型、チビなアカネがかわいそう。


「やよいちゃん、大きなお世話」


 アカネが、毒づく。


 長身の彼女は、中西 優子。

 私やアカネとも仲良く、いろいろなお話もする。

 成績優秀、見かけ優秀、性格優秀、三連覇! 


「あの、よくわからないけど」


 優子が笑っている。

 余裕、そんな感じに映る。

 私、なんだか、ひねくれ状態。


「そうか、もう少しでテストか」


 私のタブレット画面をみながら、優子がため息をつく。

 成績優秀な優子のそれは、なんだかすごい嫌みにみえる。

 私だって、私だって……私は私よ。


「やよいちゃん、テスト前から、降参です」


 アカネが冷やかす。

 うるさい、私はアンタよりは成績良いわよ。

 たく!


「ねえ、貴史」


 優子が男子生徒の近くにいく。

 私は少し青ざめる。

 なぜなら優子がよぶのは教室に入った時、私が警戒心丸出しにしたアイツだからだ。

 確か名前は、山田 貴史。


 優子ちゃんの幼なじみで、家も隣同士。

 だからこんなよび方だ。

 少し距離を置いてみると、お似合いの二人。

 山田もなかなか、かっこいい。

 これはアカネの言葉、でも私は全くいけ好かない。理由はコイツ、私に冷たい。それになんだか、いじわる。


 キンコンカンコン!


 あっ、授業がはじまる。


「じゃあね、やよいちゃん」


 アカネが席に戻っていく。

 私は軽く手を振り用意をはじめる。

 カバンから専用プラグにタブレットを付けて、これで電力は確保、これが用意だ。

 そう、勉強の用意。

 家のママ、パパ、びっくりしていた。


 いまどきの学校は紙の教科書とノートがないって。


 へえー、そうなんだ。

 私は気のない返事をいつもしている。

 だって、よくわからないから。

 よくわからないけど、一つわかること。

 今日も学校がはじまる。

 さて、勉強!


 


 






  


 

 


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ