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嘘の代償  作者: 鉄まめ
2/5

第2話

(!?!?)

不意に頭に衝撃を受け夢に揺蕩う意識が、覚醒へと向かう。

現実に戻る意識が最初に聞いた音、それは…。

「早く起きろ!」

不機嫌に呟かれた女性の声を聞き、半覚醒状態の意識のまま、「あぁ…。」と龍真は素っ気なく返す。

その言葉を聞く前に女性は去って行く。

この女性は龍真の姉で藤咲円ふじさきまどかである。

銀髪に染め上げたショートヘアの小柄な女性だ。

円は龍真の心を最初に砕いた人物でもある。


追撃を喰らうのも嫌なので渋々ベッドから起き上がりリビングへと向かうと、

「おはよう」と話してきた女性。藤咲澪ふじさきみおだ。

黒髪ロングの女性で円の妹であり、龍真の姉だ。

「あぁ…。」とこちらも素っ気無い返事をして済ませる。

人と話すのが億劫で関わりたくなかった龍真にとっては、姉が2人いる現状はとても息苦しく耐えられなかった。


キッチンに目を向けると調理中の母親がいる。

藤咲彩ふじさきあやだ。

ショートヘアの黒髪で現在は専業主婦をしながらボランティアなど様々な活動に参加する社交的な性格の持ち主である。

父親の藤咲真一郎ふじさきしんいちろうは既に出勤していて居なかった。

何の仕事をしているのかは、そもそも興味がないので知らないがそこそこ偉い立場の人間であるようで、これまた母親同様ボランティア活動など様々な社会貢献をしているらしい。


朝の日常に憂鬱さを滲ませたまま、龍真は学校に向かった。

龍真の通う学校はごく普通の高校だ。

ラノベであれば、学校の権力を握っている生徒会が居たり謎の美男美女の転校生が登場したりと話題に事欠かないが、これは現実でつまらない世界の物語…。

(何か心が高揚する事でも起こらないかな…。)と考えていると、

「おはよー!!」

声とともに、本日2度目の頭に軽い衝撃が走った。

振り返ると満面の笑顔でこちらを見ている九条凛くじょうりんが追撃をしようとしていた。

「凛か…。」

無機質な声で返事をすると、ムッと顔を紅潮させながら、

「朝の挨拶はおはよう!でしょ?」

長引くと面倒臭いので、

「おはよう。」

と変わらぬ声音で呟く龍真だったが、挨拶が出来た満足感か凛の機嫌はすぐに良くなった。

凛は龍真の幼馴染で、ダークブラウンのショートヘアで性格は龍真とは真逆。

明るく社交的、嘘が苦手ですぐ顔に出る。

相手をするのは面倒臭いが幼馴染だけあって、龍真の考えている事は大体分かるらしい。


「今日一緒に帰ろう。」

上機嫌の凛は唐突にそんな事を言ってきた。

「あぁ。」

長引くと色々と面倒臭いのですぐ承諾すると、笑顔のまま凛が「じゃあ終わったら迎えに来てね〜」と言いながら教室まで走って行ってしまった。

高校生というお年頃、更に幼馴染という素晴らしいシチュエーションなのに関わらず龍真は無関心のまま教室に向かった…。



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