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ドラゴンの加護ありて   作者: 如月マルコ
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〜銀髪と赤髪と〜



「後1時間で開場!!もうシュートいくよ!マイクは20分後!」

俺の日常、俺は舞台を任されている、舞台監督と役者を兼任して行っている。

時間を気にしつつ、周りに気を配らればならない。

シュートは要は照明さんが光を作る仕事の事だ、それが終わればマイクチェック、サウンドチェック、それをしている時間にはもう開場が迫ってきている。

準備に時間が限られているがゆえ、シュートの後半にマイクが重なることもしばしばだ。


お客さんは子供達。

いつも通り小学校での公演、体育館を劇場に変えて舞台を創る。

今日も同じように、でも見てくれてる子供達には新鮮に、舞台の幕が上がる。

俺は光の中に入っていった。



「んん…大丈夫です!あっしの身体はワラで!できてますから………らら??…………………………どこだ?ここ?」

見慣れない天井、いや天井と言うかテントのようだった。


ゆっくりと視界がクリアになっていく、どうやら俺は六角形のテントのベットに座り込んでいるらしい。

なかなか使い込まれたようにみえ、所々縫って直した後が見受けられる。

俺は右から左に目線を泳がせていると、丁度真左を向いた所でピタリと止まった。


「ども」


とりあえず声をかける。

そこには、1人の女の子が椅子に腰掛けていた。

一見子供にしか見えない、と言うか子供だと思うのだが、おかしい?

出るとこがちゃんと出ている…だと?

髪の色は銀、天然なのはわからないが全体に軽くウェーブがかかっている、目はクリッとしていてとても愛らしい、服装は随分軽装でスタイルが丸分かりになっている。

俺が彼女の出るとこを確認出来たのもその為だ。


「大丈夫…?」


少し警戒しているのか、腰が引けている。

そのせいも合ってか、かなりの上目遣いになっていて、とても、その、可愛い。

俺は2〜3秒は惚けていたと思う、はっと息を飲み自分を見下ろした。

靴は脱がされているが、先ほどの格好のままだ、怪我もないように思う。

手を何度か握ってみるが、あの時感じた熱く、だるい感じは消えていた。


「うん、大丈夫だよ」


俺は出来る限り優しく声を返した。

気をつけなければ、壊れてしまうのではないかと思うほど彼女は繊細に見えたからだ。


「そぉ……」


気の無い空返事、どうしたのだろう?

何かを言いたそうにこちらをチラチラ見ている。


「どした?」


気になったので聞いてみる事に。

すると、少し間をあけて。


「あなたは、あ、あなたの身体はワラで出来てるの?」


と、不思議そうに聞いてくる。

俺は一瞬、は?となったが、さっき自分が何と言って起き上がったかを思いだした。


「あれは、違うよ。俺さ、劇の役でカカシをやっててさ、それのセリフなんよ。オズの魔法使い、知ってる?」


彼女は小さい声で答える。


「知らないと、思います。そぉ…お芝居」


と、最後に1人事のようにつぶやき、うつむいてしまう。

沈黙。

話が続かない、なんでだろ?と思うと、あっ!と思いついた。


「あー、自己紹介してなかったね、俺は、トシヤ、瀬田敏也。君は?」


「アリサ、アリサ・ルルカーデ」


「アリサちゃんか、俺を助けてくれたんだよね、ありがとう」


ベットから足を下ろし、アリサに向き合い頭を下げる。


「えっと、ちょっと体力回復の魔法かけただけで、たいした事はしてないです」


ん?魔法?と思ったが、それよりお礼を優先させる、それにこの子が謙遜していないのが伝わってくる、すごく正直な子なのだろう。


「それでも、ありがとう」


もう一度礼を言うと、少し質問をしようと口を開こうとする、がそれより先にアリサが口を開いた。


「あなたすごいです、あんな大きなボアを持ち上げて、こう、ポイっと」


両手を前にして横にポイっと何かを投げ捨てる仕草をしながら話す。

いやいや、ポイっとはしてないから、と口を開こうとした俺は、はっと息を飲みこんだ。

そうだ、俺はさっきまでデカイイノシシと戦っていたんだ、それで。

頭がやっとさっきまでの出来事を認め始めたらしく、イノシシの映像とドワーフとエルフの映像が頭に浮かぶ。


「っあ、アリサ!エルフの女の子はどうなった?大丈夫なのか?」


俺はアリサの肩を掴みながら聞く、アリサは一瞬ビックリしたような顔を見せたが、優しく俺の手を包み、俺の質問に答えてくれた。


「大丈夫、エレはもう元気になって、さっきまでここにいたけど、もう団長の所に行きました」


「そうか…良かった」


アリサの肩から手を外し、俺は肩をため息と共に下ろして脱力した。


「あなたも、元気、みたいですね。よかった!あ、これから団長の所に行ってほしいんです、聞きたい事があるって、ランドが言っていました」


話によるとランドはあのドワーフの事らしい。

緊張が解けたのか、表情をコロコロ変えて喋ってくれる、俺もそんなアリサを見ていると笑みをこぼしてしまう。

俺はベットの横に置いてある靴を履くと、団長の所まで案内をしてくれると言うアリサと共に、テントから出ていった。


ここのキャンプはなかなかの大所帯のようだった。

他を全く知らないが、おそらく20人を超えるの人数がこのキャンプで生活をしている。

あのドワーフやエルフを見て、多分この2人は冒険者なのだろうと当たりを付けていた俺としては少々驚きを隠せない。


俺の中では冒険者と言えば、5人前後のパーティで行動していると思っていたからだ。

これなら冒険者と言うか、傭兵団と言ってもいいくらいだな、と思う。

幾つかあるテントの中、やはり1番大きなテントに案内される、形はやはり六角形のテントで、俺が寝かされていたテントよりも大きい作りだ。

天幕には赤や金で刺繍が施されており、白一色だったさっきのテントとはえらい違いがある。

白いテントは医療施設なのだろうから、まぁそんなものか、となんとなく納得しておくことにした。


先ほどの服装の上に白の外套を羽織っているアリサが立ち止まる。


「失礼します」


と、一言声をかけると、テントの中から「おう、やっと来よったか」と言う野太い声に続き、「入れ!」と女性の声が響く。


天幕同様、刺繍の入った幕を開きアリサが入っていく、俺もそれに習うように声をかけ入り口の幕をくぐる。


中にはあの時のエルフとドワーフ、その2人に挟まれるように座る1人の女性が座っていた。

またも人間ではない。燃えている、と思うような紅い髪を腰まで携え、その髪からは猫の耳ような物が出っぱっている、ようなと言うか…猫耳だ、服装は踊り子の様な服装の上に羽衣を身に纏っている、そのうえ、眉や目尻が炎の様に釣りあがっているので、全身が燃えているように見える。

一言で言うなら、豪快!と言う言葉が似合う女性だ。

俺は、なんとなく織田信長を女性にしたらこんな感じかなーと思い、凄みを持った雰囲気をしている彼女に気後れを感じた。

俺を睨み付ける様に見据えると、女性にしては低い声で唸るようにして喋る。


「おぬしか!!あれ程までに大きなワイルドボアを投げ飛ばしのは!?んーむ、…一目見ただけでは、それほどの者とは思えんのじゃがな〜」


デカイ声で言い放つ、ちなみにこの人胸もデカイ!!

そのまま俺に「どうやったのだ?!」と聞いてくる。

俺がその質問に答えようとするよりも早く、エルフの女性が口を開いた。


「団長!その質問より先に、まず自己紹介をさせてほしいんですが!!」


至極当然の事を言ってきた。

俺も、助けてくれた彼女に早くお礼を言いたかったので、話が止まった事に感謝する。


「さっきはジャイアントボアから庇ってくれてありがとね!アリサから聞いてるかもだけど、結構ギリギリなラインだったらしいわ。私はエラルテレル・モノラス、みんなはエレって呼ぶわ!貴方もそう呼んでくれると嬉しい」


そう言って、右手を差し出さてくる。

俺もすぐに返して、握手を交わす、こちらの番だ。


「俺は、瀬田敏也、仲のいい奴は敏也とか、トシとか呼ぶかな。そんでもって、ごめん!それから、ありがとう!!俺が最初動けなかったから、その、エレに大怪我をさせてしまった。本当に、助けてくれてありがとう!」


握った手を離さないまま、まくしたてる。

おっと、と思い手を離しながら、怪我の具合を聞いてみると、エレは「アリサから聞いてない?彼女が魔法で治してくれたの」と返ってきた。

魔法、そういえばさっきもアリサが回復魔法とか言っていたなと、今更ながらに思う。

ゴホンッ!

と咳払いがテントに響く。


「そろそろいいかの?」


どうやらドワーフは待っていてくれたらしい。すいません、と心の中では手を合わさる。


「わしはランドグリーゼルと言う、本名はもっとずっと長いのだが、どうせ覚えられんだろう。わしもランドでえぇ。小娘を救ってくれて感謝するぞい」


小娘と言われた事に目尻をギラっとさせるエレだったが、何を言う事もなかった。

次の人物に気をつかったのだろう。

最期の人物がゆっくりと立ち上がった。


「我はこの傭兵団《六天破軍》の団長、名を、ララ・ドゥと申す。我を知ると言う事は我の野望を知ると言う事、おぬしにも教えてやろう!」


と、そこで一間空けると彼女、ララ・ドゥはこう言った。


「我の野望はこの世界、最強の傭兵団を作ることじゃ!!」


天幕を飛び越え、キャンプ中に声がこだました。

エレはやれやれと頭を振り、ランドはうんうんと何度も頷いていて、話をずっと黙って聞いていたアリサは、パチパチと拍手をしている。

どうやら、みんな思うところはあるようだが、ララを見る目は皆、尊敬の念を抱いているように俺には見えた。

ララは俺を今一度見据えると


「どれ、我の野望を聞いたからには、もう逃げられんぞ!おぬし!我の仲間になれ!」


「なっ…へ?」


俺は話の流れの斜め上を行く予想外の出来事に身体を凍らせてしまうこととなった。

書き溜めていたのを出してるので、連投しておりますー。

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