表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

企て。そしてテスト

改稿にて話数が減ってしまい、皆さまにご迷惑をお掛けしていまい、申し訳ありませんでした。


これからはちゃんとプロット作ってから書きたいと思います!

「け、結構きついっすね……」



練習メニューの八割程をこなした時、佐々木はポツリとこぼした。



「ああ。もともと、今井監督が考案した練習メニューはかなり効率のいいメニューだったんだが、チーム状況から量を少なくせざるを得なくてな。神野監督が練習量を増やしたのは間違ってないよ」



それを狙ってやったのかはわからないけど、と付け加える。



「にしても浅村と高槻。君らは大分余裕そうだね」

「新垣さんもですけど」

「……このくらい余裕だろ」

「荒羽シニアの面々もちゃんと着いてきてるし、やっぱりレギュラーは1年がほとんどになりそうだね」



言葉の割に、新垣はやや険しい表情で呟き、サーキットトレーニングをこなす。



「それってダメなことなんですか?」

「ダメって訳じゃないけど、やっぱり3年と1年では違うからね」

「最後の夏……」

「そう。まだ先がある1年と、もう後がない3年。気持ちの入りかたが違う。無意識の内に来年がある、再来年があると思ってしまうんだ」

「確かに、実際そうですからね」

「そう。だから、オレはあの3年を主軸に君たちを加えたオーダーを組みたい。そのためにも、協力してくれ」

「「「はい!」」」

「……うす」



佐々木と室井、小峠と高槻が返事を返すが、瑞穂は見向きもせずに腕立てを行っていた。



「浅村?」

「……俺も協力しろっていうなら……無理です。3年にとって俺は、なんの刺激にもなりませんから」

「おいおい、謙虚になるのはいいことだが、時には自信も必要なんだよ?」

「……無理です」



陰のある瑞穂の表情を見て、何かを察した新垣。



「……なるほど……君も、訳ありか」

「あなたもでしょう」

「……お互い、頑張ろう」

「……できる限りは」



新垣と瑞穂の会話は、そこで終わった。









翌日。



「浅村、これからテストやるみたいだぞ」

「……野球のだろうな」

「当たり前だろ」



室井が放った単語に過剰に反応する瑞穂。頭の良くない瑞穂にとって、テストという単語は恐怖だった。



「どうやら今年から始めたらしいだが、月イチで体力テストのようなものをやるらしい」

「……野球部がやるようなものだから、種目は50メートル走、遠投、ロングティーってところか」

「ああ、ドンピシャだ。そんなところらしい」


アップが終わると、すぐに50メートル走計測が始まった。特に順番はないらしく、最初は小峠だった。


シニア時代、韋駄天とまで言われた足を生かし、6.1秒を記録した。



「よっしゃ! 絶好調!」



ちなみに結果としては、佐々木は6.9秒、高槻は6.8秒、瑞穂は7.0秒だ。室井は7.8秒だった。



「お前、足遅くね?」

「うるさい」



瑞穂に指摘され、かなり傷ついた様子の室井。8秒というと小学生レベルなので仕方ないが。



「この屈辱は遠投で返す」

「高槻もいるがな」

「……くっ」



続いて遠投。

ついに、その高槻の番がきた。

やはり中学No.1投手なのか。3年も2年もざわつき始める。



「ふっ!」



柔軟かつ繊細なフォームから放たれたボールは50度ほどの角度で上がり、フェンスに直撃した。

このグラウンドのホームベースからレフトフェンスまでの距離は100メートル。計らずとも、距離は明らかだ。



「さすが、荒羽(ウチ)のエースだわ」

「くっ……俺90だったのに」

「……不満だ」



だが、本人はあまり納得いっていない様子だ。



「……?」



そんな高槻の視界に、白い軌跡が映った。それは重力に逆らうように真っ直ぐ進み、レフトフェンスなど優に越えて、20メートル先の校舎の柱に直撃。跳ね返ってフェンスに当たった。



「な……!」



あわてて振り返ると、揃ってポカン口を開けてフェンスの向こう側を見る上級生と、投げ終わった体勢の瑞穂が居た。



「…………」



その光景を見た高槻は、驚くでもなく、悔しがるでもなく……



「…………ふっ」



笑った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ