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Henntaiの最期

 ………もう、500年も前の話しだ。


 俺はこう言った。


『い!嫌だ!こんなところに生まれるなら俺は転生なんてしなくていい!』


 と。



 それもそうだ、500年前この場所にあった家はぼろっぼろのおんぼろ屋敷。


 家は土壁が崩れており内装が見えていて、木材の部分は腐食し、白かったであろう壁は茶色く変色、さらには植物の(つた)のようなものが張り付き。


 庭は、荒れ放題だった。

 所々土が捲れており捲れた部分は水溜まりができていたし、更には大量の雑草が辺り一面を覆い尽くしている上に大きな石がゴロゴロ、挙句の果てにはゴミが参列。


 そして辺りの耕作地、いや耕作地らしき痕跡、長らく掘り返されていないなかった土は固くなり草が生え放題、しかも(うね)は崩れており水路も土や岩や石で塞がり、水車小屋は廃墟と化していたし、水なんて流れていない状態だった。


 住んでいる住人を見てみるがみすぼらしい服を着ていた、服を着ているだけましかもしれないような感じだ、髭も生え放題で地面に寝転がっていた。


 そこで俺は考えた。


 自分に残されている転生までの500年を使い転生先の家を立派な豪家に仕立て上げ、異世界無双とかしてやる!


 と。


 あれだけボロボロだった家は今では東京ドーム3つ分ほどの敷地を持つ程の豪邸へと変化している。

 壁は腐ってないし、屋根だってちゃんとある。

 白い壁に最近流行りの茶色い屋根にはこの前したばかりだ。


 家の中には図書館が備え付けてある。

 この図書館は俺がここ300年間で読みたいと思った本を置いてある、生後の楽しみにな。

 まあもちろん300年前の代物がそのまま置いてある訳じゃない、腐食して読めなくならないように何回か複製して新しくしてある。

 あぁ、そうそう、これまた勿論で一般公開して金をふんだくっている、あまり高い金額は取っていないがそこそこの収入源だ。

 生後の楽しみと言ったが産まれてから暫くの間はあまり活発にに動けない筈なので、産まれてから3年間の間は時間を無駄にしないようにとの意味も込めている。

 主に読んでいない、と言うか読む暇が無く読みきれなかった物を置いてある。


 そうだ、庭の話しもしておこう。

 この庭はビニシオの遺言で当時のまま残っている。

 確かビニシオの父親の設計だったか、それを元に大きくしたような感じだ。

 白と赤の薔薇を基調として芝生と白一色の建物を織り交ぜ茶会なども開けるようにしてある。


 庭の管理はベアトリス家に任せている。

 ベアトリス家は何代か前にオールディスの所有する貿易船に乗って他大陸から逃れてきた所謂(いわゆる)熊の獣人の一族だ。

 頭に丸い耳がついていること以外は人間と大差ない、ただ少しだけ力が強いだけだ。


 ベアトリス家には墓地の管理も任せている。

 因みにその墓地はダルシアの街郊外に位置している。

 ビニシオとフィルの墓を中心としてその息子のレム、その嫁のウル、孫のカイリにサティア…………。

 オールディスの系譜に関係のあるものは殆どがこの土の下に眠っている。

 まぁ、『殆どが』だがな、何人かの子供たちは俺のやり方に納得できずにオールディスの名を捨てて出ていってしまったりある日突然姿を消して戻ってこなかったなど理由は様々だ。


 因みに屋敷の中心部に最も頑丈に作られていて尚且つ強力な魔法障壁によって守られている部屋がある。

 その部屋にはオールディスの家系図がある。

 今までの当主――初代当主ビニシオから元当主ラギンス――に至るまでの凡そ250代の家系図だ。


 なぜここまで頑丈に守られているのかと言うと、俺の目論見の通りにオールディスが発展したからだ。

 貴族ではないが大きな権力をもつ一族として国内外で広く知られている、まぁ、多少の情報操作もしたんだがな。

 そんな訳でオールディスは国内外でかなりの影響力を持っている。

 そんなオールディスとの繋がりは誰でも欲しがる、こちらも相手が権力の強く、またメリットが大きいと判断した場合は政略結婚ではないが似たようなことをしている。


 が、時たま何世代も前に繋がりがあると嘘をついてオールディス家の協力を求めてくる奴らがいるのだ。

 嘘ではなくとも繋がりが切れた状態なのにも関わらず協力を求めてくる者もいる。

 勿論全て調べるのも時間がかかるしそこそこ労力がいる、ならいっそのこと家系図を作って予め繋がりをはっきりさせておけば良い、そう言う魂胆で家系図を作らせてもらった。



 ああ、何度か貴族にならないかとのお達しはあったが領地の経営や領民の生活保証などを総合的に考えた結果、全て辞退させてもらっている。

 普通なら貴族入りを断った家など国外追放なのだがこの国の経済はオールディスの恩賞が大きい、フィスラルの王族も馬鹿ではないのだろう。

 それに何度も貴族入りを提案しているくらいだ、よほどオールディス家の本拠地をフィスラルにしてほしいのだろう。

 まぁ、このダルシアの街に『アレ』がある限りは本拠地は移動するようなことはしない。


 そうだ、この街最大の変化を忘れるところだった。

 この街最大の変化とは、ズバリ市場だ。

 街の西側には大きな市場ができている、主にオールディス家が中心となり貿易でいろいろな地域で取引してきた様々なものが

 置かれている。


 因みに街の西側には巨大な市場だが、現在のダルシアは東西南北でエリアが分断されている。


 東側は競技場や武道場などの冒険者達が集まるエリアとなっている。

 最強の肉体を手に入れる、その考え方を元に高名な武術家や、冒険者を引き込んでいった結果『オールディス式戦闘術』なるものが生まれた。

 その戦闘術を教える道場を作った所かなりの大ヒット、今現在は若手の冒険者を中心として凡そ800人ほどの門下生がいる。

『オールディス式戦闘術』の基本はどの戦闘術にも精通する部分があるため基本だけ習得しにくる人もいる。


 街の南側には街の正門があり、また宿屋や鍛冶の店、それに賭博場などがある。

 その他には特に書くことはないが祭りなどは全てこの南地区で行われている。


 そしてダルシアの街一番の目玉が街の北側、北地区だ。

 ここにはオールディスの屋敷を含めた数々の建物がある、例えば先程も言ったが図書館、他には博物館や美術館、研究所など、また東地区との境界線近くにはオークション会場があり、南地区に近いところには温泉付の旅館がある。

 つまり、北地区は観光スポットなのだ、因みにマッスコットキャラクターなんかもいたりする。


「全部回り終えたかな」


 この500年間見守り、数々の助言をして発展させてきたダルシアの街。

 恐らくこの街のことに関しては他の誰でもない俺が一番よく知っている。


 今までに全く挫折が無かったと言ったら嘘になる、だがその度にその世代のオールディスが手を貸してくれた。

 少し前まで小さかった少年少女が俺を助けるまでに成長しているのは感動ものだ。


 そんなことを考えて残りの10分ほど、時間制限(タイムリミット)限界まで過ごそうと思っていたら、何やら声が聞こえてきた。


「この街での宗教活動は禁止されている!」

「「「「500年前!彼の者が打ち砕かれたこの地が深淵の始まりとなるだろう!」」」」


 黒いローブで体ごと覆い隠した四人の不審者達が一斉に声を上げ、叫び始める。


 あぁ、またか。

 最近の話だが宗教の宣伝が増えてきた、しかも『世界の終幕がもうそこまで迫っている』などと語り街中を練り歩くのだ。

 観光地としては迷惑極まりない、見つけたら即刻追い出すようにはしているんだがな。


 それに今月に入ってからもう8回目だ、少し多すぎるな…………。

 ここら辺で一斉に取り締まるように言っておこう。

 あぁ、近所の子供達が怯えているじゃないか、そろそろ好き勝手されるのも癪にさわる、最後に一仕事するか。


「「「「深淵から逃れるにはこの地に―――――」」」」

「―――申し訳ないが、ここでの宗教活動は禁止だ、他所でやってくれないか?」


 癪にさわるのでそろそろご退場していただこうとしたら、俺より早く動いた人物がいた。

 元オールディス家当主ラギンスだ。


 緑色の目と茶色の髪はオールディスの特徴、体つきこそ細もののその筋肉の質量はあり得ないレベルになっているのはこの街の『筋肉自慢大会』で皆の知るところだ。

 体の頑強さに勝るとも劣らないその魔法のセンスは水の人形聖霊シズクの折り紙つき。


 間違いなくこの男は歴代のオールディス当主と比較しても最強の称号を得るに相応(ふさわ)しい。


「「「「ラギンス、オールディス、我らの主を汚した男の、末裔!!!!」」」」


 そう叫んだ不審者達はラギンスを逃がさない為かその周を囲む。

 不審者達はモコモコと体が盛り上がっていく、それと同時に感じる瘴気、間違いない魔人共だ。


「「「「死」」」」

「ご退場願う」


「パアン」と言う破裂音、それと同時に魔人共の姿が消える。

 いや、書き消えた、といった方が正しいか。



 流石オールディス最強、俺の父になる男だ。



 え?

 何だって?

 あぁ、言ってなかったか、500年あった転生までの時間は今日、俺の体が消えるまでだ。


 これから数分で俺の体は四散し、次に目覚めた時は転生した後だ。

 今日で俺がいなくなるのはオールディスの皆が知っているので問題はない。


 あぁ、体が光ってきた、もう、後数秒だな。








 ―――――――さて、異世界無双しに転生するか。


今回にておしまいです、他にも作品書いてるので読んでほしいです。

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