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Henntai転生

「おめでとうこざいます」

「はい?」


 気が付くと、いや、声をかけられて初めて意識が戻った。

 辺りは真っ白な空間で目の前にいるのはモザイクのかかった人形の何か。

 意識が戻るなり何なりそいつにいきなり「おめでとうございます」との祝詞を頂いた俺は困惑混乱。


 いやつかまじ何なんだここは、そしてあのモザイク野郎は?いや女郎か?

 関係ないけどモザイクって響きが卑猥じゃね? っつーのはどうでもいいか、一種の現実逃避だ無視してくれ。


「……あ~、とりあえず―――そこなモザイク」

「はい」

「知っている情報を全て吐け!」

「良いでしょう」


 ………何だ、ノリが悪い。

 こうゆう場合はもう少し勿体ぶっても良いだろうに。

 わざわざそれらしき雰囲気を醸し出してやったのに………さてはこいつKY族だな?


「貴方はお亡くなりになりました、そして生前の善行により転生される事が許されました、おめでとうこざいます」

「……………面白いジョークだ!」

「事実です」

「…………マジでガチでマジガチなやつ?」

「マジでガチでマジガチなやつです」


 ふんふん、へぇ~。

 へぇ~。

 へぇ~…………――――


 ―――What's it to you!

 Are you crazy!!!???


(訳:はぁ?お前何言っちゃってんの!?笑笑

 頭おかしいんじゃね?爆笑)


「私はおかしくありませんし、それにその英文だとケンカ腰ですよ」

「…………そうさせてんのはテメーだ!

 つーかサラリと人の心を読むんじゃねえ!!!

 プライバシーの侵害で訴えるぞコラァ!」

「死んでいますので、恐らく不可能かと」

「…………っ、こっ、コラァ!」

「はい」

「…………………ま、まぁ、、い、いいや………」


 おぉ、なんと言うことだろう。


 この俺が初対面のやつに論破され…………っ、い、いや偶然だ!

 いきなりの死んでいます発言で「コラァ!」しか出てこなかったのは一生の秘密にしよう。


「駄々漏れですが?」

「…………で、俺が死んだから転生するんだっけ?」

「今のがスルー、と言う物でしょうか、貴重な体験ですね。

 さて、まずは質問にお答え致しましょう。

 そうです、貴方はお亡くなりになりました、そして転生して頂きます」

「俺が死んだ死んでないはさておき、転生できる証拠は?」

「今お見せしましょう」


 モザイクが手を振ると真っ白な空間の中に黒いモヤができ始める。

 そしてそのモヤの中で何かが動いている。

 人だ、キャンプファイヤーの様に大人数が火を囲っている。

 そして段々とズームしていく、ズームした中心にいる1人の女性。

 ―――え? あれ? 見覚えのあるような…………?


「婆、ちゃん?」

「そうです、貴方の実のおばあ様だった人です」


 そこには確か数年前に老衰で死んだ筈の祖母の姿があった。

しかもいつの日か「若い頃はぷれいがーるだったんじゃ!」と写真で見せられたピチピチの若々しい姿で、だ。

 しかも薄い布をつけている以外は他はほぼ裸で踊っているためポヨンポヨンと……………!


「ど、どうゆうことだ?」


 男を囲んで満面の笑みを溢している祖母に突っ込みたいのを我慢し、鼻から紅い何かが滴り落ちてくるのを手で押さえてモザイクに質問する。


「はい、貴方のおばあ様は生前の善行により転生されました」

「善行…………?………あぁ」


 確か婆ちゃんは1日1善とか言って他人のためになることをしていた、そして―――


『こうしとけばイケメンの『神様』か『えんじぇる』が迎えに来てくれるかも知れないからねぇ!』

『生い先短いババアが何を言うか』

『御釈迦様はインドの王子様だったっけ?

なら御釈迦様で我慢するかのぉ』

『御釈迦様、今です、このババアの頭上に雷を落してください』


婆さんは後100年は生きそうな勢いだったが一応人の子だったらしい。

 数年後に他界した、お迎えは誰が来たのか気になる所だ。

どうやら天国じゃなくて違う場所に転生して乳を揺らしているので話を聞きに行けそうだ。


「なぁ、正気か?」

「はい」

「……………うん。

 所で俺は何で死んだんだ?

そこら辺の記憶が、てゆうか殆ど記憶が無いような気がするんだが?」

「記憶に関しては不都合な部分に関しては飛ばさせて頂きました。

 知識に関しては残しましたが、秘密保持のためにこれ以上はお話しできません」

「…………そうか」


 秘密保持のために、か。

 普段ならばそんなものは関係ねぇ!と言うところだが、この状況だ、俺のたちばな圧倒的に不利。

 大人しくしておくのが最善だろう。


「死んだ証拠は…………貴方のその体ですかね」

「は?………っ!?」


 自分の体を見てみる。

 すると手がない足がないさっきまであったのにだ!

 つまりだ、俺は見てみると所謂人魂って感じのやつになってる。


 この姿を見て、まだ俺は死んでなんかない!


 ドッキリだ!


 カメラはどこにある!


 何処の番組だ!


 等とほざけるのは一部の上級者くらいだ。

 勿論俺には言う勇気と根性、そして愛はねぇ。

 なんだか、某有名な喋るあんパンのような台詞だったな。


「でぇ?何で転生なんてさせるんだ?

詳しいことはわからないが、転生ってそれなりに労力がかかるんじゃないのか?」


普通に考えればそう簡単に転生ができるとは思えない、ならばそれなりの労力が必要なはず。


「えぇ、確かにかなりの労力がかかります、が、私は子らの成長を望むのです」

「はぁ?」

「つまりは貴方に私の世界に転生して頂いてその世界に発展をもたらして欲しいのです」


 子らの成長を望むのです、とか意味わからないことをほざいてやがりますが。

 さてさて、要約すると転生先でその世界に新しい何かを産み出せ、的な感じか?


「その通り、誰とは特定しませんが、かのエジソンも貴方のお仲間ですよ」

「……………マジかよ………!」


 と。

 まぁ、一通り驚いた所で本題に入ろうか、うんと言うかさっさと本題に入ってくれないと俺の頭がヤバイ、さっきからフルスロットルしまくりだったから疲れてきた。


 そしてまだ説明してもらいたいことがあるし、そっちにも説明、またはやらなくてはならないことはあるはずだ。


「話が早くて助かります、普通魂だけだと皆様興奮してしまって10年くらいはまともに話ができないのですがね」

「10年?」


 おいおい、待ってくれ10年だって?

 まさかここでは地球と時間の流れが違うだとかそんな感じか?


「いいえ、体感で言えば地球と同じ時間で10年です」

「は?」

「そうですね、分かりやすく言いますと、まず私達は会話をしています」

「あぁ」

「ですが、貴方のおばあ様を例にあげると、あの方はこのレベルで会話できるまでに41年かかりました」

「つまり?」

「貴方の精神力が凄まじいお陰でマトモナ会話ができて嬉しく思います」

「………そうか」


 ふむ、会話からすると俺は魂だけでこの空間に来たらしい、さっきの人魂の体を見てみると見れば一瞬で理解してしまうがね。


 そして魂だけだと精神力がひどく低下してしてしまう、もしくは感情が抑えられない、が俺の場合は精神力が強靭らしく最初からまともに話ができると。


 まぁ、強くて困ることはないだろうから放っておいても別段問題はないだろう。


「ってこんなまともに考えるのは俺じゃない!

 そこなモザイク!俺に何をした!」

「話を続けます、貴方は複数の世界からどの生物に転生するか選ぶ事ができます、貴方は何になりたいですか?」

「話を聞けぃ!」

「………聞いておりましたので再度質問させて頂きます、貴方はどの様な生物に転生したいですか?」

「テメーっ!」

「はぁ、話が短ければ短かく済むほどやれる事が増えるのですがねぇ」

「人間がいい」

「了解しました」


 仕方がない、本来ならばキレる所だが仕方がないので話を合わせてやる。


「では次に転生する世界ですがご希望は?」


 さてさて、そうだな俺も男だ。

 冒険とか魔法とか剣とか魔族とか異世界無双とかしてみたい。

 そう、危険な魔物と戦い、剣を振るって敵を薙ぎ倒す、魔法を使って世界を操り無敵の力を。


 何故か詩のようになってしまったがはっきり言えばファンタジーな異世界がいいと言うことだ。


「了解しました、検索します」

「あぁ、頼むよ」

「……………出ました、該当するのはいくつかありますが………、貴方はここがいいですね」

「あぁ、説明はいい、俺は目で見たことしか信じない質でね」

「えぇ、わかりました、そして生まれる家は、こちらですね」

「……………は?」


 またもや黒いモヤができ始めて映像が浮かぶ。

 そしてそこには………………――――――――


「―――――な、何なんだよこの………」


 家の外見は元より、庭の管理、辺りの耕作地の状態、住んでいると思われる住人、全てを見ても。


「ボロボロやんけ………ッ!!」


 家は土壁が崩れており内装が見えている。

 木材の部分は腐食し、白かったであろう壁は茶色く変色、さらには植物のつたのようなものが張り付いている。


 ついで庭、荒れ放題である。

 所々土が捲れており捲れた部分は水溜まりができている。

 更には大量の雑草が辺り一面を覆い尽くしている上に大きな石がゴロゴロ、挙句の果てにはゴミが参列している。


 そして辺りの耕作地、いや耕作地らしき痕跡、長らく掘り返されていないだろう土は固くなり草が生え放題。

 しかもうねは崩れており水路も土や岩や石で塞がっている。

 水車小屋ももう廃墟と化しているし、水なんて流れていない。


 住んでいる住人を見てみるがみすぼらしい服を着ている、服を着ているだけましかもしれないような感じで保温などの効果は得られそうにない感じだ。

 髭も生え放題で地面に寝転がっている。


「い、嫌だ!こんなところに転生するなら俺は転生しなくていい!」

「決定事項ですお諦め下さい」

「諦めるかっ、つーか決定事項!?本人の意思は?」

「そのようなもの、私は存じません」

「無責任なっ!」

「死んでいる人間が何を言っても痛くも痒くも御座いません」

「う~、くっ、くくくっ!」

「はいっ♪論破♪」


 最近マイナーな所で人気な「論破部長」を知っているとは、中々やりお………、はっ、話がズレる所だった!!


「精神力が予想外に強靭ですね」

「何とでも言うがいい!」


 わざわざ転生してまで苦しい生活を送りたくはない、最低でも豪商位の収入が無ければ転生先とは認めない!


 生き方も分からない世界に転生させるならば最低限の生活レベルを保証してもらわねばな。


それに魔法の才能とか身体能力とか、しつこいようだが転生するならテンプレートに異世界無双とかしたいし。


「贅沢な」

「うるせぃ!」


 だがしかし、やはり転生と言うものはしてみたいし、しつこいが異世界無双とかしたい。


 やっぱり異世界無双とかできるやつは元からある程度の才能とか家柄がなくてはいけない。

 奴隷の子供に転生したから自分も奴隷になって一生奴隷生活なんて俺には耐えられない。


「あ、そもそも新しい何かを広めろっつーなら勿の論で自我はそのままだよな?」

「左様で御座います」

「ふむ………………他の家だとか……」

「転生にも法則があるので無理です」

「…………」


 なら一体どうしろと言うんだ。


 世界に発展を、言い分は分かった、それに俺はその提案を受けるしかないことも今までの会話で何となくだが理解している。

 だが、このボロっボロのオンボロの貧民家から始めて一体何ができる?


 やはり発展を提案するにもそれなりの身分は必要だ。

例えば保険制度、素晴らしい制度だ、考え付いたやつは天才だとしか思えない。


 だけど俺がそれをやったら?ボロっボロの服を着た下民がそれを提案した所で誰も取り合ってくれない。


「…………ぁ」

「どうされました?」

「なぁ、転生までに後どれくらいだ?」

「そうですね、転生するなら今すぐにでもできます」

「いや、そうじゃなくて転生ってタイムリミットがあるのか?」

「タイムリミットですか、そうですね、おおよそ500年と言うところでしょうか」

「500年!」

「貴方のおばあ様を例にあげると大体全てを説明しきって転生して頂くために452年かかりました」

「…………なぁ、さっきも思ったし言ったんだが地球とここは時間の流れが体感と違うのか?」

「体感ですと地球と同じです、と先程申し上げましたが、地球の1日が大体ここでの1年になります」

「そうか」


 やはりな、婆ちゃんが452年かけて転生したなら俺はとっくに墓の下、体感は同じでも実際の流れは違うらしい。

 それなら。


「なぁ」

「はい」

「転生する家はあそこで何代か後にとかできるか?」

「可能です」

「なら俺に500年くれ」


 500年かけて、俺は名実共に完璧になってやる。

 異世界無双の下準備だ。

 500年かけてあのオンボロ家を導いて立派な豪家に仕立て上げればいいんじゃないか?


 例えば政治面なら最初の100年くらいは働きまくって貯蓄して商売を始めてそれを元に有力者に娘を嫁がせたり、有力者の嫁や婿を取って繋がりを強くしてだんだんと家を強くしていく。


 例えば体の面だったら冒険とかがあるなら冒険者がいるはずだ。

 有名な冒険者とくっつけて行けば体の強い子が生まれるに違いない。

 勿論本人達にその気が無ければダメだろうけど、モザイクは私の世界とか言っていたから何かしら干渉する方法はあるはずだ。


 そんな感じで体が強いやつを一族に取り込んでいけば必ず体の強い肉体が手に入る。


 魔法についても同じだ、高名な魔法使いを一族に取り込んでいけば魔法の才能がある子が生まれてくるに違いない。

 こんな感じで一族を導いて行き、最後に俺が転生すれば異世界無双なんか夢じゃない。


「どうだ?どうせ読んでるんだろう?」

「…………魂だけの状態でそこまで頭が回るとは、驚きです」

「で?どうなんだ?」

「できます、ですが許可できません」

「何でだよ、たった500年だけだ。

何も戦争を起こそうってんじゃない、ただひとつの家を発展させようって話だ。

それだけでこの世界は発展するんだぜ?」


 地位と強靭な肉体があれば地球の知識を使って異世界を発展させる自信はある。

 元々そう言うのは好きだ、それに加えて異世界と言うファンタジーなシチュエーション、これで燃えない男がいるだろうか?


「俺は所謂オタクでな、やりたいことができると他のことなんか頭に入らない。

 わかるか?俺が本気になるんだぞ?

 お前に精神力が凄まじいと言わせたこの俺が、本気で世界の発展させようとしてるんだぞ?」

「…………ふむ、そう考えると」

「俺には自信がある」

「……………………………………良いでしょう、貴方に任せます、ですが500年のみですよ」

「了解ぃ♪」


 よし、モザイクからもぎ取った500年、無駄には出来ない。

 まずは農作で効率のいい方法で栽培して、売るときには新しい商法を。

 小物作りや、製鉄などをして、金を集めて、嫁を取らせて一族を増やし、労働力を得て……………!!!


「――――ハッ、燃えてきたぜ!」

「……………」




 転生前に異世界無双を確実な物にしてやんよ………!!!



「うっしゃー!やったるでー!」



 燃えてきた。


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