プロローグ
「ど…どうし…て…」
しなやかな綺麗な手が俺の首を絞める。
力いっぱい絞められ息ができない…俺はこのまま意味も分からないままここで死ぬのだろうか?
「ごめんなさい…」
そんな一言を言いながら学校一の美少女は俺の首を絞めていた。
なんで、どうしてこんなことになってんだろう…?
そんなことを思いながら俺の意識は遠く遠くへと消えていった。
俺こと風渡史也どこにでもいるアニメ、ラノベ、エロゲが好きな、
いたって普通で平凡な高校3年生だ。
どうして、こんな状況になったかというと…正直自分でもさっぱりわからない。
その日は普通の日だった、いつもどおりに起きて学校へ行き
いつもどおりに授業を受けて、いつもどおりに家に帰る…つもりだった。
しいて、違うことがあったとすればそれは、下駄箱に入っていた手紙だった。
綺麗な字で俺の名前が書かれている、ピンク色の可愛い封筒。
あけてみると中も可愛いピンク色の便箋に綺麗な字で
「今日の放課後、教室で待っています。」
とだけ書かれていた。
誰が俺に宛てて書いたのかは分からないが…でもこれは…!
いわゆるラブレター!恋文!そういう類のものだと俺は思い即座に教室へ足を戻すことにした。
…まあ、これが今となっては間違いだったわけだけど…
普通、あんな内容で教室で待っていますなんて書かれていたら健全な男子ならばすぐに教室へいくだろう?
きっとそうだ、そうに違いない。
教室に着き、深呼吸をしてどんな娘がまっているんだろう?
なんて考えていた、俺の名前は書いてあったが、相手の名前は書いてなかった。
ぶっちゃけ、女子と連携した男子のいたずらとか。
女子同士のおふざけ、罰ゲーム的なものなのかとか、そんなことも考えたが。
それはそれ、そうだったときに考えればいい、なんて考えていた。
でも、そんな考えは一気に吹き飛んだ、それはもう綺麗さっぱり。
だって、教室の扉を開けて目に映ったのが…学校一の美少女と名高い、
羽田由香ちゃん、だったからだ…。
「え、えっと…あの…」
言葉がでてこなかった、夕暮れの教室、窓際に立つ美少女。
え…これなんてエロゲ?
なんかそんな気分だった、こんなに可愛い子が俺にラブレターを?
まさかそんなことは…とか考えてると、由香ちゃんが先に話しかけてきた。
「史也君…待ってた、待ってたよ…」
そんなことを言いながら俺に近づいてくる。
なんかもう、わけが分からない、胸がどきどきいってる。
心臓の音がこんなに綺麗に聞こえたことはいままでにないくらいに、
鮮明に聞こえる。
「あ…あにょ…」
噛んだ。
思いっきり噛んだ。
いくらなんでも緊張しすぎだ俺。
「ふふっ、緊張でもしてる?」
かわいらしい笑い声。
あー、俺にもこれでようやく春が訪れるんだな…
「こ、この手紙をくれたのって羽田さん…?」
「うんっ、そうだよ?待ってたんだよ?史也君のこと…」
ま、待ってた!!待ってただってよ!
うわー、やばいすげー、なんだこれー!
とか、心の中ではものすごく狂喜乱舞してたけど、顔に出したらかっこ悪い
そんな気がしてちょっとクールぶってみたりなんかして…と、とにかく用件を聞かないとな…。
「そ、そうだったんだ?で?俺に何か用事?」
「うん、ちょっと史也君に伝えたいことがあって」
「伝えたいこと?」
伝えたいこととか、もう決まったようなものだよね?
完全に告白だよね!?
俺、もうゴールしてもいいよね?
「うん、えっとね…あの…そのね…?」
照れた笑顔に潤んだ瞳。
可愛いよ由香ちゃん可愛いよ!
「えっと…だからその…」
一歩また一歩と少しずつ由香ちゃんが近づいてくる。
あー、もうやべー、すげー緊張してきた。
「い、いきなりでごめんね?えっと…死んで?」
「へ?」
ん?ちょっとまって、今、由香ちゃんは何て言った?
うん、よーく聞こえなかった。
「えっと?今、なんて?」
「だからね…いきなりでごめんね?でも…死 ん で ?」
そういって、にっこり笑う由香ちゃん。
いやいやいや、意味がわからない、俺がいったい何をしたっていうんだ?
ちょっと良く考えてみろ俺。
ぶっちゃけ、今まで由香ちゃんとは一度も喋ったことは無い、接点っていう接点だってない。
そんな俺に由香ちゃんは死んでって言ってる?
「聞こえなかったのかな…?」
「あ、あはははっ、なんかの冗談でしょ?じゃなかったら罰ゲームか何かで言わされてる?」
「ううん?そんなことないよ?私がそう思って言ってるよ?」
うん、どうやら聞き間違いじゃないらしいし、罰ゲームでもなんでもなく。
この娘は俺を殺そうとしているらしい。
いやいやいや、おかしいだろ!?
「ちょ、ちょっとまってよ!お、俺が何かした!?」
「ううん?何もして無いよ?」
「じゃあ、なんで死んでなんてそんなことを…」
おかしい、どう考えたっておかしい。
でもまぁ、そりゃそうだよなぁ、俺にこんな可愛い子が告白なんかするわけがないんだよなぁ。
いやでも、だからっていきなり死んでってなんだよ!?
「んー、なんでって言われてもね…?ごめんね…?」
一言あやまって由香ちゃんは俺の首をその綺麗な手で力いっぱい絞めてきた…
苦しい、苦しい。
分けがわからねぇ、なんだこれ…こんなの意味がわからねぇ。
「ど…どうし…て…」
しなやかな綺麗な手が俺の首を絞める。
力いっぱい絞められ息ができない…俺はこのまま意味も分からないままここで死ぬのだろうか?
抵抗…しない…と、本当に死ぬ…でもなんでだ…なんで抵抗できねぇんだ…。
「ごめんなさい…」
そんな一言を言いながら学校一の美少女は俺の首を絞めていた。
なんで、どうしてこんなことになってんだろう…?
そんなことを思いながら俺の意識は遠く遠くへと消えていった、
そしてそこで、俺の意識は途絶えた。
―――きて―――
声が聞こえた。
お―――きて―――
俺を起こそうとする声。
「っ!?はぁっ!?」
声になってないだろう、そんな音をだして俺は目覚めた。
えっと…?何がどうなってたんだっけ?
俺、家に帰ってきて寝てたんだっけ?
ってかココどこだ?
あーでも、なんか見覚えあるなぁ、この天井…
どこだっけ…って…あ―――
そうだそういや俺、由香ちゃんに首絞められて…
「あ、おっはよー。おきたねぇ!史也君!」
「………」
え…なに、なにこれ。
なんで、首絞めてた相手がこんな軽い挨拶して来るの!?
え、っていうか、俺死んでるの?生きてるの?
「え…あ、え?」
「あー…そうだよねぇ、混乱しちゃうよねぇ、とりあえず下向いてみよっか?」
え?下?下って床しかな…え!?
アレェ?オカシイナー、オレガヨコニナッテルー。
んじゃ、今ココにいる俺はいったいなんなんだろー。
「おわかりいただけただろうか」
なにをホラー特集の心霊写真コーナーみたいな言い方してるんだろう。
まったく分からないんだが。
「うん、まったく理解してなさそうだから、詳しく説明するとね?史也君は死んじゃいました!」
…あー。あっさり言ったなー。
そう思いたくない方向性のほうに簡単にいっちゃったなー。
「ちょっとまってくれ、どういうこと?ってか何で俺が殺されなくちゃいけないわけ!?」
「これも天命ですよ。」
「天命って何だよ、天命って」
よりにもよって天命ってなんだよ、三国志とかにありそうな天命は我にあり!
みたいなアレか???
いやって言うか、まてよ、俺がもし死んでるって言うんだったら、
目の前にいる由香ちゃんはなんなわけ!?
「あ、私のこと?」
…なにあっさりと俺の心の声を読んじゃってんだよこの娘は…
「あ、私はそうだなー、女神…かな!」
うわー、女神とか言っちゃってる。
学校一美少女だと思っていた女の子は実は痛い子でした…とか。
なんだか、もう本当に分けがわからないな…。
「痛い子とかどういうことかなぁ、一応これでも本当に女神なんだからね?」
「いや、分かったから…」
「信じてないなぁ…っていうか、死んだって言うのに案外冷静なんだね…?」
「冷静っていうかなぁ…もう、状況が状況で飲み込むしかないというか…」
こんな、死んでる自分を見せられたら、もう信じるしかないよなぁ…。
それにしても、本当に死んじゃったのか俺…。
彼女とかほしかったなぁ…アニメとかゲームとか…
気になることだらけなんだけどなぁ…あー、このままだとあれかな。
未練だけすさまじいから、地縛霊っていうんだっけ…?
そういうのになるんだろうか…。
「んー?そういうのにはなら無いよ?だってこれから史也君はある世界に行ってもらうんだもん。」
ん?またこの痛い子は分けの分からないことをいってるぞ…?
ある世界ってなんだ、ある世界って…。
いわゆるあれか?異世界とかいうやつか…?
「あー、そうだね!そんな感じ!史也君、君にはとある世界に行ってその世界を救ってもらいます。」
「………」
え、なにそのベタな展開。
「ベタな展開とか言わないでほしいなぁ…こっちは真剣なんだよ?」
「真剣な割には軽いノリでいっちゃってるよね…」
「そこはほら、えっと、天命ですよ?」
「天命…ってな…」
「それじゃ、早速転移しますねー!」
「え…ちょ、ちょっと!ちょっとまった!」
とかいってる隙にまた俺の意識は遠のいていった。
こうして分けの分からない状態のまま俺は、異世界へ転移された。
これから、途方も無い旅や戦いが待ち受けているなんて、当たり前だが、
この時の俺はまだ知らなかった…。
初めて投稿いたします。
高槻燈弥と申します。
この度は拙い文章に目を通していただきありがとうございます。
文章を書くのは初めてで話が繋がっていない所やめちゃくちゃな所、
多々あるとは思いますが、少しずつでも上達していければと思っております。
時間つぶしの片手間にでも読んでいただければ幸いです。
書き方などのご教授等ありましたら遠慮なく行っていただければうれしいです。
それでは、長文乱文失礼いたしました。