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第43話「決行!!!」

 01時03分、ジョー・アルシュの邸宅の外壁にトラックがぶつかった。邸宅と言っても昔の貴族の家のように広い。壁は壊れ、トラックはひしゃげていた。邸宅の2階の窓にジョー・アルシュの影が映っている。その影が動き、そして、消えた。

「ジョー・アルシュは中にいる!なんとしても、ここで仕留めるのだ!」

 指揮官の声が無線で鳴り響く。

 作戦に参加する12名の戦士が正門前に集まり、強襲をかける為に動き出した。





「何事だ!」

 ジョー・アルシュが声を上げ、ミハエルを呼ぶ。

「アレクシーナの最期の賭けです。お気をお静め下さい。」

 黒衣の男、ミハエル・コーターはひざまずいて言った。

「最期の賭けだと?」

「そうです。戦争以外であなたを止める最期の賭けです。」

 ミハエルは落ち着いた口調だった。

「おびき寄せたか・・・・・・・」

 ジョー・アルシュはミハエルの声から、状況を把握した。

「左様で。ここで決着をつけてしまえば、あなたを脅かす者は存在しなくなります。ここが、正念場です。」

「私を餌にしておいてよく言うものだ。」

 ジョーは不敵に笑う。

「は!しかし、まとめて始末するにはこの方法しかありませんでした・・・・・・・」

「そう・・・・・なのだろうな・・・・・・・・」

 ジョーは少し困惑した表情をし、その後、顔を引き締めた。

「ならば、負ける事は許さん。絶対に勝つのだ。」

「は!前方はシーザーとアリス、それと33体の人形で固めてあります。まず、破られる事はありません。連中は、大きな騒ぎになる前に撤収しなければならない。それを考えれば、こちらにまず、負けはないという事になります。」

「後方は?」

 ジョーが抜け目なく聞いた。

「私と、レー、そしてジークで番にあたりますれば、まず大丈夫かと。」

「あの男・・・・・・・リューヤ・・・・・・リューヤ・アルデベータも参加しているのか?」

「情報はまだ入っておりませんが、ここで戦力の出し惜しみはないと思われます。」

「なんとしてもリューヤを始末しろ。あの不確定要素をなんとしても始末するのだ!」

「は!御期待にお応えします。」

 そう言ってミハエルは消えた。

 最期?最期の賭けと言ったか?フフフ。もう遅い。例え、私を殺した所でこの流れは止まりはしない。もっとも、おびき寄せた以上、防備は万全だろう。この機にリューヤを始末できればそれに越した事はない。違う。違う?何がだ?万全な防備を潜り抜けあの男が来る。リューヤ?リューヤ・アルデベータか?いや、この防備は抜けれまい・・・・・・最期まで煩わしい男だった。最期?違うわ。始まり。新たな始まりをこの手に。私は・・・・・・・・・私は世界を征服する・・・・・・・・・・





「いくぞ!小夜子!」

「ああ。これがジョー・アルシュとの最後の戦いだ。」

 リューヤと小夜子が裏門目掛けて走り出す。トラックの激突に気を取られたガードマン二人を、素早く気絶させ、裏門を潜り抜けようとした。その瞬間、三つの殺気が突然現れる。リューヤと小夜子は左右に転がって、身を隠した。

 覚えがある殺気が二つ。そして見知らぬ殺気が一つ。その殺気から、三人ともが凄腕の能力者である事がひしひしと伝わってくる。2対3・・・・最初の2対6の条件に比べれば、遥かにましだ。各国の協力がこの勝ち目のある状況を作り出していた。だが、簡単には動けない。契約を行った能力者3人を相手にするのは、やはり厳しいと言わざるをえない。

「隠れていれば、貴重な時間を無駄にするぞ?リューヤ!サヨコ!我々の読みと手順がお前らに一歩勝ったのだ。諦めて勝負をつけろ!」

 前方から聞こえていた声と殺気が消え、リューヤの背後に殺気が現れる。リューヤは、前回の判断同様、前方に転がって回避しようとした。銃声の響きと共に足に軽い痛みが走る。銃弾がかすった痛みだった。

「さすがに勘がいい。だが、何度も無傷で逃げられはせんよ。」

「ミハエル・・・・・・あんた、本気でジョー・アルシュの味方をするつもりか!」

 リューヤが油断無く身構えたまま言った。

「ジョー・アルシュの味方?ちょっと違うな・・・・・・・お前、ジョー・アルシュ、β能力者、ナンバーオブビースト、そして、世界の壊滅・・・・・・その絵図を描いたのは私なのだよ・・・・・・・」

「馬鹿な!なんでそんな事を!!!」

 リューヤは周りに気を配りながらも叫んだ。だが、確実に注意はミハエルに絞られつつある。

「ケモノには神を穢す名が冠されている・・・・・・・ジョー・アルシュのどこがそんな名だ?」

「まさか・・・・・・・・・」

「ミハエルとはミカエル・・・・・・・大天使長の名を借りた私こそが・・・・・・真実の・・・・・・・・・」

「嘘だ!!!!」

 リューヤが拳銃を発射する。ミハエルは造作も無く避ける。一瞬我を失ったリューヤの手をレーとジークが抑えた。一瞬の隙を見逃すほどここにいる能力者は鈍くはない。

「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 小夜子が飛び出し、三人を一太刀で斬れる軸線上で刀を振る。ミハエル、レーは飛びのき、ジークが小夜子の刀を剣で受け止めた。それでも、リューヤは開放され、刀を止めるジークに向けて弾丸を発射する。ジークがかわすと同時に、小夜子が刀を振り払った。

 ジークの片袖から血が零れ落ちる。

「息はピッタリという事か・・・・・・」

 ミハエル・コーターはそう言って、銃口をリューヤに向けた。

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