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第4話「殺し合い」

 リューヤと小夜子が紫炎教の屋敷から外に出ると不穏な気配が、二人を包んだ。

「・・・いるな・・・・」

「ええ、殺気がここまで伝わるわ。」

 小夜子とリューヤはいつでも動ける状態を維持しながら、山道を歩いた。

 紺と言うより黒に近い青のスーツを纏った男が三人現れた。小夜子が身構える。

「リューヤ・アルデベータだな?」

「正面からとは恐れ入るよ。なんで背後から襲わない?」

「同じ事だろう・・・・・・・この世界におかしな力を発現させるのが、お前らの役目か?」

「何を言ってる?」

「知らないのか・・・・・・すっかり紫炎に聞いた物と思ったがな・・・・」

「お前らの事なら聞いたよ。「神」に挑む「悪魔」だってな・・・・・・・アレクシーナ女王も俺達もお前らの思い通りにはならない!」

「「悪魔」か・・・・・・・・無慈悲に打ち据えておいて、いざとなったら「救世主」・・・・・・「悪魔」と「神」どちらが残酷か・・・・・・時代はいずれ勝った者の時代だ。」

「神と悪魔が賭けをする、ヨブがどちらを選ぶのか・・・・・永遠の命題だな・・・・・私達はお前達を選ばない!!!そして我々を弄ぶ者も許さない!!!それが私とリューヤが決めた答えだ。」

 小夜子はそう言って目を細め男を見据える。

「「眺める者」の人形のボディーガードふぜいがふざけた事を言う。」

「だが、今はお前達を排除する。この世界にお前達は必要ない。」

「お前もな!!!リューヤ!!!」

 男がリューヤに飛び掛る。凄まじいスピードの男のパンチをリューヤはとり、合気の技で投げ飛ばした。止めを刺す事を一瞬躊躇する。

「殺せ・・・・」

 男が呟いたと同時に倒れた男の首に足刀を入れた。男は絶命する。

 小夜子は二人の男の猛攻をいなしながらもジリジリと後退する。一瞬の隙をついて小夜子の刀が一人の男の首を跳ねる。その刃に迷いはない。

「ククク、ハハハ信じられんよ・・・・・・・・我々の動きはこの世界における物理限界を極めている・・・・・・・なのに何故こうも我々を圧倒するのだ。たかが人間と人形のくせに・・・・・・」

「人間には直感と言うものがある・・・・・・・・・速さだけでは勝てない・・・・・・」

「眺める者」は我々の知らぬ技術を持っている・・・・・そういう事か・・・・」

「神を気取る者の事など、俺は知らない・・・・・・俺が興味があるのは俺の生まれたこの世界だけだ。滅ぶにせよ、生きるにせよ、それを選ぶのは俺達だ。少なくともお前達の勝手にはさせない。」

「我々もルールは守っている。アレクシーナ・クライがこの世界を導く。彼女にはその力も度胸もある・・・・・・我々のやる事はお前達が選ぶ事の手助けに過ぎない・・・・・・ほうっておけば滅ぶのだぞ・・・・・」

「知っている。」

「先にルールを破ったのは「眺める者」お前らの言う所の「神」だぞ。」

「だからといって、お前らが・・・・・・・外から見ているだけのお前らが・・・・・・この世界で傷つきもせず悲しみもしないお前らが・・・・・・・・俺達に干渉する事は許さない。例えそれがどんな理由であろうと・・・・・」

 リューヤは吐くように言った。

「ならば、「眺める者」のなすがままにされて滅ぶがいい!!!だが、我々も手をこまねいている訳ではない・・・・・必ずこの世界を救う・・・・・」

 最後に残った男は、そう言った。

「滅ばさぬ為に破滅させる・・・・・・最終戦争などがこの世界を救う最後の手段であってたまるか!!」

 リューヤが再び吐き捨てるように言った。

「情理で世界が動かせるか!」

「論理だけで人が救えるか!」

「ならば殺し合うしかあるまい。」

 最後の男がそう言ったところで、小夜子の刀が男を貫いた。

「リューヤは最後の可能性だ・・・・・・・絶対に殺させない。」

 小夜子はそう言って、男から刀を引き抜いた。

「世界の破滅は相互の決定事項だ・・・・・・どうやろうが覆せるものか・・・・・・例え、「特別」な存在であろうとも・・・・・」

 男は血を吐きながら言った。そして、男は絶命する。

「すまない・・・・・・」

 リューヤは呟くように小夜子に言った。

「お前を守る為に私はいる・・・・・・気にするな。」

 小夜子は血まみれの顔でリューヤに笑顔を見せた。

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