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第13話「可変」

「一体どういう事なんだ?」

 リューヤは紫炎に詰問した。

「アレクシーナ様が、ラスア・エラーラを暗殺したという噂がたっていますね・・・・・・」

「誰が見たってそう見える。これ程あからさまだと、返ってアレクシーナ様を罠に嵌める為だとさへ思えるよ。」

「そうでしょうね。それが、彼の狙いですから・・・・・・」

「彼?」

紫炎はゆっくりと口を開いた。

「ジョー・アルシュ、ナンバーオブビースト・・・・・」

リューヤはハッとした顔で、かつて、ここを訪れた白面の青年を思い出した。

「あの時の青年が今回の犯人だと?」

「そうなのですが、もちろん証拠などありません。β能力者を使い、ラスアをそそのかし、アレクシーナ女王を失脚させる。そして、アレクシーナ復帰の目を完全に潰す為のラスア暗殺。やり過ぎとも言える程、完璧です。」

「どうあがいても、アレクシーナ様は灰色だと?」

「大衆の目にはそう映るでしょう・・・・・・・」

「証拠がないのが、疑惑の象徴となるという事か。」

「もちろん、アレクシーナ様への罠だけではありません。アレクシーナ派にはアレクシーナを陥れる為に仕組まれた罠だと唆し、反アレクシーナ派には、世界平和統一連合の仕業だと吹き込むつもりでしょう。β能力者、インターネット、マスメディア、ありとあらゆる手段を使って争いを煽るでしょう。」

「まさか、戦争って事は・・・・・・・・・」

「十分にありえます。」

 リューヤの側に立っていた小夜子の顔が一瞬曇った。

「ありえる・・・・という事は防げるという事なのか?」

 小夜子は詰め寄るように聞いた。

「いえ、恐らく、戦争自体は防げないと思います。ですが、被害を最小にする事はひょっとすると可能かもしれません・・・・・・・・・」

「前に言った時は、戦争を防げる可能性があると言ってた気がするけどな・・・・・・・・」

「時期が過ぎ、全ての人々が少しずつ道を誤った・・・・・・そのツケは払わざるを得ないのでしょう。」

「俺達は防げない事をする為に、命を賭けたのか?」

 リューヤは顔を紅潮させた。

「リューヤ・・・・・」

 小夜子がリューヤの肩に手をやる。

「私やあなた、そしてアレクシーナ様の手順より、悪魔の手順が一歩上回ったのです。そして、この先人々の狂騒も加わっていくでしょう・・・・・・あるいは・・・・・私達は勝ち目のない戦いをずっとしていたのかも知れません・・・・・」

「決まっている運命は変えれない・・・・そういうのか?」

「はい・・・・・私には分からなくなってしまいました・・・・・私は役目の上で小さな運命を数多く変えて来たつもりでいました・・・・・しかし、その、変えるという事自体も大きな運命の流れそのものだったのやも知れません・・・・私はあなたに関わる運命を何一つとして変えてあげる事が出来なかった・・・・・幾度もチャンスがあったにも関わらずです・・・・・・・もう・・・・自信がありません・・・・」

 小夜子が一歩前に出る。

「あんたが、迷ったんじゃ私達は動けない。例え、どれ程の運命が待ち受けていようと、私達はなすべき事を成さねばならない・・・・・・例え、明日世界が滅びる運命だとしても・・・・・・・・・明日という未来が確実に来るまでは、あがき続けるのがこの世に生まれた者の努めじゃないのか?・・・・・・あんたにこんな事を言うのは釈迦に説法だろうけど、あんたが、未来を知る事が出来るという事にはきっと意味がある・・・・・・・ただ単に絶望の未来を知るだけの事が、あんたの能力だとは思えないし、思いたくない。そして、小さな事であろうとも少しでも運命を変えれたのならば、それは可能性を示してる・・・・・・・私達は絶望する為にこの世にいる訳じゃない・・・・・・少なくともそう思いたい・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「小夜子・・・・・・・確かに俺達だけじゃ役不足かもな、アレクシーナ様を含めたって、たったの4人だ。それで、世界を変えようってのは調子がよすぎたのかもしれない・・・・・・・だけど、確かに諦めるのはまだ早い・・・・・・まだ、戦争が起こった訳じゃない・・・・・・・・まだ、何か出来る事があるはずだ・・・・・・・・・」

「・・・・・・・そうですね・・・・・あなた達の意思の強さには驚嘆させられます・・・・・・・ひょっとすると、何か隠された手段があるかもしれません・・・・・・まだ見ぬ運命を見る事を試して見ましょう・・・・・・・私の運命になかった事・・・・・・・リーン・サンドライト、ジョー・アルシュを含めた7者会議を開きます・・・・・・アレクシーナ様へのその旨の手紙、預かって貰えますね?」

「開催はアレクシーナ様にやってもらうのか?」

 そう言ったリューヤの言葉に、紫炎はこくりと頷いた。


 

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