あの人
ガチャッ
「おお、来たか」
部屋には駐留部隊ほぼ全員がそろっていた
でも、一人来ていない人がいた
「あれ?隊長は?」
いつも召集時には誰よりも最初にいるはずの人物が居ない
「さあ?。トイレにでも行ってるんじゃないのか?」
まあ、居ないのなら隊長が罰掃除だね
「さて、今回召集した理由は他でもない。開発部から新しい機体が届いたからだ」
部隊長が連絡をする
「え、新型?マジで!?」
陌間が声を上げる
「そうだ。この新型機のテストは、先ほどエッタにやってもらった。報告書はあるか?」
「はい。持ってきてます」
ポケットから用紙を取り出して、先ほど書いた感想を読み上げる
「ほ~・・・結構な高性能機じゃないか」
「機体自体の性能は申し分ありません。しかし新型のエネルギーユニットは出力が安定せず
悪ければ機体のパワードアシストが切れます。私の機体は実際にパワードアシストが切れました」
私が体験した事を話す
「それでよく生きて帰って来れたな。流石だ」
「いえ、それは・・・」
あの人のお陰だ
あの人があの時助けてくれなかったら、私は多分今ここに居ない
「機体の稼動データは、改善点も含めて研究部に送る。報告ありがとう」
「で、今回の召集はこの報告の為だけなのですか?」
別の部隊員が質問する
「ああ、そうだった。第三部隊隊長が民間人を保護したらしい」
「民間人?でも民間人の保護ぐらいで召集するような事では・・・」
行き場を失った民間人を保護する事はいくらでもある
でもわざわざ召集するような事ではないはず
「まあ聞いてくれ。その人物はな、生身にも関わらず”ブラック・ウィドウ”を単身で無力化したらしい」
「はあ!?」
「生身の人間が、精鋭部隊員を殺ったのか!?」
「ああ、それも一人でやったらしい」
え・・・それって・・・
「連れて来てもらってるから、少し待ってくれ」
部隊長がそう言った瞬間、ドアがノックされた
「お、来たようだな。入ってくれ」
「失礼します」
木製のドアが開く
入ってきたのは私が所属する第三部隊 朱鷺崎麗奈隊長
強くて大人っぽい雰囲気もあって、私が目標とする人物の一人
「保護した人物を連れてきました」
「ご苦労さん。入ってもらってくれ」
「入って」
ドアが開いて入ってきた人物
やっぱり、あの時の人だ
「自己紹介を」
「メトセラのグローヴァー・ホワイトです。気軽に黒ウサギと呼んでください」
頭を下げるその人は、あの時助けてくれた人に間違いなかった