血の雪が降るクリスマス
ダス・ライヒぃ?誰それ、俺ブラントぉ!!鈍いなっ!俺がダス・ライヒだよぉ!!
12月24日、後数分経過すれば25日のクリスマスであるが、一つのカップルだけは幸福にはなれなかった。
別れたとか、浮気がばれた等ではない。
生命の危機だ・・・!
「ねぇ、どうしてなの・・・?」
男性一人に女性三人しかいない何処か閉鎖された7階建てのビルの屋上にて、若い男女のカップルが一人の若い女性に追い詰められていた。
その追い詰める女性の利き手である左手にはナイフが握られている。
言い忘れていたが、ここは日本だ。
今は通り魔事件の影響でナイフの所持は制限されており、購入するなど容易ではない。
話が逸れたが、続けよう。
「な、何の話だよ・・・!」
男性がナイフを向ける女性に対し、自分の恋人を守る姿勢で身構え、額には汗が滲む。
12月は真冬であり、低気温なので防寒着を着ないとならないのだが、追い詰められる二人の体温は防寒着が要らないほど上がっている。
彼女から来る殺気に恐怖を感じて足が自然と震えており、彼が守る恋人は尋常じゃないほど恐怖し、彼よりも震えている。
「何の話って・・・?どうして私の気持ちを無視してそいつと付き合うの?どうしてそんなビッチと付き合うの?どうして私と付き合うの?」
虚ろな目でナイフを向けながら男に質問する彼女。
近付いてくるその彼女に恐怖しながら、一歩一歩と転落防止の金網のない位置へと下がっていく。
「し、知るかよ・・・!お前が勝手にそう思っているだけだろ!」
「そうよ!あんたが勝手に思いこんでいるだけでしょうが!」
答えを近付いてくる彼女に対して叩き付ければ、男の恋人がそれに便乗する。
だが、この答えが彼女の怒りをさらに上げてしまう。
「そうなんだ・・・私をストーカー扱いか・・・じゃあ、あんなに優しく接して告白してくれたのは嘘だったのね・・・?」
「ハッ!?何言ってんだよ・・・お前・・・!?」
男は彼女を助けた覚えがあったが、彼女に告白したなど覚えがなかった。
朴念仁ならまだしも、男は本当に彼女に告白したなど一切無い。
勝手に彼女がそう受け取ってしまい、身勝手にも男が自分を好いていると思ったのだ。
「ど、どういうことよ・・・!あの女に告白って!?」
「し、知るか・・・あいつが勝手にそう思ってるだけだろう!」
恋人が男に彼女との関係について聞けば、直ぐに男は慌てながら返答した。
その凄まじい動揺ぶりを見ていた彼女は不気味な笑みを浮かべ、ナイフを向けながら近付く。
「さぁ、サンタさんに代わって私からプレゼントだよ~!どういう死に方する?ここから落っこちて死ぬ?それともこのナイフで八つ裂きにされたい?」
「ど、どっちも死ぬしかないじゃない!」
「そうだよ~?私の気持ちを弄んだ罰だよ~あ、貴方も同罪で死んでね」
恋人からの突っ込みに、彼女は狂気染みた笑みを浮かべて答え、確実に二人に近付いてくる。
男は恋人を守ろうとして、彼女に挑む決心を決めた。
「こ、ここで、し、死んでたまるか!うぉぉぉぉぉ!!」
武器を持つ彼女に男は無謀な体当たりを繰り出す。
「へぇ~私の気持ちを無視した挙げ句に傷つけようとするなんて・・・」
表情を暗くした彼女は、男の体当たりを避け、背中にナイフを突き刺した。
「ぐ、ぐあぁぁぁ・・・!」
追い詰められた男には避けられる事など考えもなかった。
解決策となると思って闇雲に突っ込んで、返り討ちにされた。
刺された傷口から血が勢い良く噴き出し、彼女の顔を赤く染める。
「は~い、サンタさんから八つ裂きのプレゼントだよ~!」
おぞましい表情を浮かべて彼女は男を何度もナイフで刺した。
男にはまだ息があったようだが、刺されていく内に息絶えた。
肉が裂ける音や血が床に飛び散る音が、この屋上で鳴り響く中、男の恋人は恐怖の余り倒れ込み、腰を抜かして動けなかった。
「ひぃ・・・ひぃぃぃ・・・!」
恋人の表情は恐怖の余り泣きじゃくって元の顔が想像できないほど変形しており、床に広がる水分を股の辺りが染みていることから失禁していた。
彼女に何度もナイフで刺されている男も同様に吐いているズボンに染みがあった。
どうやら失禁してたらしい。
男の亡骸を見るも無惨な形に変えた彼女は恐怖の余り動けないでいる恋人に近付いてきた。
利き手である左手に刃こぼれして、血塗れのナイフが握られていた。
「さぁ・・・今度は貴方の番だよ~?貴方はは落っこちて死んで貰おうかな~?」
「た、助け・・・」
目の前で凄まじい目付きで笑いながら聞いてくる彼女に対して、命乞いの言葉を吐こうとするが、恐怖の余り舌が回らず、上手く伝わらない。
そのまま彼女は髪の毛を掴まれ、無理矢理絶壁へと立たされた。
確実に転落死する程の高さからまさに落とされようとしていた。
「はい、サンタさんからのプレゼント・・・転落死だよ・・・」
彼女は言い終えると、恐怖の余り動けないでいた恋人の背中に蹴りを入れ、恋人を地上へ蹴り落とした。
数秒後、肉が落下して裂ける音が彼女の耳に入った。
恋人の死を確認する為に彼女は昇降口を通って下へと降りて行く。
皮肉にも時計は0時丁度、つまり25日の日付を指しており、殺された男女のカップルはサンタの代理人から死のクリスマスプレゼントを貰う羽目になったのだった・・・
ヤンデレ増殖企画である、ヤンデレマスとして書かせていただきました。
そう言えばここで書いてるの恋愛ばっかだな、うん。
さて、マリとルリのクリスマスの性夜を書こうかな?