5 生徒会専用の食堂!?
ガチャ、という音が聞こえたような気がした。
ドアの近くから。多分、ドアが開いたのだろう。
壱夜先輩が、帰ってきたと考えるべきだろうか。
「唯ー。」
あたしを呼んでいる声がする。
目蓋を開け、身体を起こして、ベットの横にある時計を見る。
19:00
長い針が、時刻告げていた。
ヤバ…寝過ごした…。
あたしは、ベットから離れドアに手をかけ、部屋から出た。
「唯、夕飯食べた?」
唯、と呼ばれると感動しそうになる。
誰でも、この声で名前を呼ばれたらそうなるだろう。
「んー、まだ。」
眠気がまだ、覚めてはいなくて、目を擦りながら言う。
先輩に対して、んーとはと後で思ったが、どうでもよかった。
「じゃあ、今から食べに行くか。」
「わぁ」
思わず声が出た。食堂は高級レストラン並に綺麗だった。
話によれば、食堂は男女にわかれているらしい。
寮は別れて無いのだが、何故か食堂は離れている。
「この時間、混んでるんだよね。」
見渡す限り席は埋まっていた。
再び壱夜先輩に手を引っ張られた。
すぐ手前にあった階段を上った。
階段の所には貼り紙がついていた。
関係者以外立ち入り禁止
どっからどこまでが関係者かわからない。
まぁ、壱夜先輩が通るなら壱夜先輩は関係者ならしい。
階段を上って行くとエレベーターがあった。上に行けるらしい。
食堂は、寮のエントランスの先にあって食堂の上は無い。
という事は上があったら屋上になる。
エレベーターに入るとボタンは1と2の2つだけ合った。
ちらりと隣にいる壱夜先輩の顔を盗み見をした。
壱夜先輩は会計さんの顔を見るなり、小さくため息をした。
小さなカフェテラスのドアを開けて、あたしと壱夜先輩は中に入った。
カウンター席が9席と5人用のテーブル席が2席あった。
「あ、縁。コチラは唯ちゃん。新一年生で生徒会の会長の書記をやってもらうらしい。壱夜によれば。」
会計さんが、勝手にあたしの事を紹介した。縁、という会計さんの隣に座っている人は会計さんと違ってかなり、落ち着いている人だ。
縁先輩があたしの事を見た。しかも目も合ってしまったので、挨拶をした。
「…今の会計さんの紹介でわかると思いますが、香月 唯です。」
皆があたしの事を見て、笑いを堪えようとしている。
あたし…何かした…?
「唯、今何を言ったかわかる?」
壱夜先輩の言葉が理解できずに、考え込む。
「随分と面白い奴が来たな。」