3.会計さんは仕事を増やす!?
1人、知らない場所に取り残されたあたしは、荷物を全てしまうと、する事が無くなってしまった。
「勝手に弄って、どうこうう言われるのは…嫌…だな。」
と1人でいるのに、返事を求めてしまう。
何の前ぶれも無く、後ろから誰かに抱きしめられた。
「えっ?」
「はじめましてっ、生徒会会計2年・閠城 千景ですっ。」
後ろから、抱きしめてる状態で初めましても何も無い。
あたしは、驚く事に気がいって、生徒会会計というところには気が行かなかった。
「本当に…男の子?女の子みたいだね。」
まぁ、確かにあたしの顔を男と見ろ、という方が無理なのだ。
「あの…ええと…」
「あ、ごめんね。」
といい、抱きついていた腕を離した。
ようやく、あたしはその人の顔を見る事が出きた。
…まつ毛長いっ。髪綺麗っ。
壱夜先輩に負けないくらい整った顔。
「何?俺の顔になんかついてる?」
「いっいえいえ…、何か用ですか?壱夜先輩に。」
あたしに用があるはずが無い。
壱夜先輩に、用事だ。
「壱夜…?あぁ、あいつ今校長の所行ってるでしょ。さっき会った。
実はさ、壱夜にルームメイトが出来たって聞いたからさ見に来たんだ。
壱夜、そろそろ帰ってくると思うんだけど。」
会計さんが、話しているとドアが開く音がした。
どうやら、壱夜先輩が帰ってきたらしい。
「千景、お前、また面倒な事をしてくれたな…」
ひきつっている笑顔な壱夜先輩。
何?とニコリと笑っている会計さん。
…この笑顔の意味がわかりません。
「お前が、やった事なんだからお前が全部、片付けろよ。」
「えー、壱夜ひどーい。」
壱夜先輩の笑顔が崩れ、会計さんの顔を睨みつけた。
会計さんの笑顔は、崩れない。
「仕方が無いから、片付けてくるよ。」
会計さんは、ソファから立ち上がり出て行った。
「先輩、あの人何をやったんですか…?」
気になったので、聞いてみた。
更に、また、というのも気になる。
「あぁ?後で、千景に直接聞いてみなよ。
…学校でも、周ってくる?一緒に。」
一緒に、というのを壱夜先輩は強調した。
此処で断ったら、どうなるのかと思っても断らない。
「いいですよっ。」
さすが、暇人のあたし。
「じゃあ、行こうか。」
妙に、輝いて見える壱夜先輩の笑顔。
その裏に、何かが隠されてると思うと顔がニヤける。
エレベーターの中に入って、1階のボタンを押す。
「櫻木せんぱーいっ。」
背後から、声が聞こえる。
壱夜先輩の事を呼んでいるのだろう。
ぴた、と壱夜先輩の足が止まった。
「守狩…。どうしかした?」
「閠城先輩が、またやりましたよっ。」
「はぁ?」
また、というとさっきのと同じ事なのかもしれない。
この守狩さんは、知っているのかもしれないが、あたしは先程ああ言われてしまったので、聞く事が出来ない。
「ごめんっ、唯、また後で周るの一緒に行ってやるから今は待ってて。
………千景、自分で片付けろよ。俺の仕事を増やすな…」