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ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第1章 人質救出作戦
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人質交渉

「パルマン、もっと近くに来たらどうだ? 我々に刃向かったガキの顔が見てみたい」

 言葉尻から余裕さが見て取れた。この優勢な状況を崩せるはずもないとでも言いたげだ。


「思ってもないことを言うのは止めろ」

 パルマンは全く応じなかった。

「それより、早く取引を始めたらどうだ?」

「それもそうだな。それじゃあ、まず手始めに俺のかわいい手下たちを(ほうむ)った武器を捨ててもらおうか? それから、両手を上げたまま近くまで歩いて来い」

 ゴルティモアは手振りでさらに歩み寄るよう促した。


 パルマンは言われるがまま、手に持っていた大口径のプラズマ銃を目の前のコンクリートの地面に投げ捨てた。ただ、両手も上げず、前に歩こうともしない。

「どうした?」

「見てのとおり、銃は捨てた。しかも、俺には逃げる場所も隠れる場所さえもない。あんたの一声で、取引する前に始末することだってできる。それに、俺はれっきとした絶滅特殊部隊(アナイレート・フォース)隊員(メンバー)だ。おいそれとお前らに例の物を渡す気はない。なぁ、ここはフェアな取引をしようじゃないか。本当に物が欲しいなら、お前が俺の恋人を連れてここまで来い」


 人数的にも、状況的にも不利なのは明白だ。ただ、相手はこちらの切札を是が非でも欲しいはず。これを生かすか殺すかで自分とジュリアナの生死も決まるのだ。


「フン、お前の言い分も一理あるか。分かった。その提案、聞き入れてやろう」

 ゴルティモアは思案の末に要望を受け入れた。ゆっくりと立ち上がると、先ほどから必死にもがき続ける人質の恋人を強引に立たせた。次いで、「お前が連れて行け」と背後で直立していた側近にジュリアナの身を委ねた。


 倉庫内のあちらこちらに潜んでいる手下たちが警戒する中、ゴルティモアとその側近に引き連れられた恋人が近寄ってきた。


 お互いの距離が二十メートルぐらいのところで、相手側は足を止めた。


 金色の短髪に刈り揃えた顎鬚を生やしたゴルティモアの着るスーツが高級ブランドものだと判別がつく距離だ。歳は三十代前半。手には何かのリモコンだけで、銃器などは持っていない。


「取引をする前にお前に見せておきたいものがある」

 余裕ありげに宣告すると、不意にゴルティモアは「シートを全て剥ぎ取れ!」と大声で命令した。

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