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ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第1章 人質救出作戦
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状況逆転

 突如先頭を歩く男に背後から襲いかかると、力強く首を絞め上げ、腰のホルスターから抜き取った大口径のプラズマ銃を脳天に押し付ける。そのままの状態で背後に振り返った。


 機械(アーマード)化して途轍(と てつ)もない鋭敏さで動くパルマンに、残りの見張りたちは意表を突かれた。


「こいつを殺されたくなかったら、今すぐ武器を下に置け! 早く!」

 威圧的な口調でパルマンは声を張り上げた。


 立場の逆転と言うべき急展開に、他の見張りたちは一様に困惑していた。


 ゴルティモアの指示もない状態で勝手に反撃するわけにもいかず、全員が持っていた銃器を乱暴に投げ捨てた。その直後、立て続けに四発のプラズマ粒子の銃弾が無防備になった見張りたちを次々と撃ち抜いた。二秒もかからない素早さだ。


 単独行動の上、多勢に無勢の現状ではやむを得ない手段と言えた。


「お前は道案内だ。さぁ、案内しろ!」

 四つの死体が地面に転がる中、パルマンは最後の一人を解放した。


 首を絞められていた男はゲホゲホと咳き込むと、恨めしそうに睨み返してきた。ただ、抵抗する気はないようだ。


 生かしておいた見張りに道案内をさせながら倉庫跡地を進んで行くと、視界の先に一つだけシャッターが開いたままのテント倉庫が見えてきた。


 その倉庫の間近まで来た瞬間、生き残った見張りが助けを求めるように逃げ出した。


「ゴルティモアさん、このガキが他の見張りたちを、俺らの同胞たちを殺しやがった!」

 開かれたシャッターの前で、手下はパルマンを指差しながら大声で叫んだ。その目は怯えた野犬のようだった。


「状況は分かった。お前の恨みはこの俺が晴らしてやる! まずは中に入れ!」

「はい!」

 手下の気持ちを思いやるゴルティモアに命じられると、その男は倉庫内に姿を消した。


 先ほどの件をバラされる前に殺しても良かったが、敢えてそうはしなかった。見張りの姿がなければ、どっちみち異変に気付かれたはずだからだ。


 ジュリアナを人質に取られてはいるものの、パルマンにはAGIを活動期(プロシード)にする組み込み式内臓ストレージの最後の一個がある。


 ゴルティモアが短絡的な人間でなければ、見張りたちを始末した件は目を(つぶ)るだろうと推測できた。


(これからが勝負だ!)

 戦いはまだ始まったばかりだ。パルマンはより一層気を引き締めた。

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