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ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第4章 女神の覚醒
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これからも人類が世界を動かす

「長官、この八個の内臓ストレージはどういたしましょう?」

 ボルファルトは長官のことを少しでも疑ったことを恥じ入りながら尋ねた。


「問題はそこなんだがね。私もどうすべきか判断に苦慮しているところだ」

 渾沌(こんとん)の女神エリスを設計した八人の天才脳科学者の末裔のうち、生存するのはガリエラ一人だけ。しかも、活動期の状態を元に戻す実行ファイルを追加できたということはその逆もできなくはないのだ。


 また悪人の手に落ちれば、再び同じ犯罪が繰り返される危険性があった。


 現時点で、あらゆるマスメディアにはPUDの存在とその用途について伏せてある。それがいつまで維持できるかは不明だ。


「こんな空恐ろしいものは一思いに破壊してしまってはどうでしょう? そうすれば、二度とAGIは活動期になりませんし、〝神〟にもなりません。我々人類が平穏に暮らし続けるためにも、それ以外には考えられないと思います」

 ボルファルトはきっぱりと断言した。


「パルマン君、君も同じ意見かね?」

「はい。いずれこれら内臓ストレージの情報がどこかから漏れ出るかもしれません。その前に破壊してしまったほうが無難ではないでしょうか?」

「うむ、それが最良の手段と言えるな。では、私が行政機関の方々を説得した上で、全責任を持って廃棄処分とする。ただ、一つだけ問題がある。これから先、AGIと会話できないのは相当な不便を要するだろう。ここは消え去った休眠期のときのエリスの意思を復活させ、この事件が起こる前の状態に戻そうと思う。この点は聞き入れてもらう」

 有無を言わせない私見を付け加えながら、ランドロスも提案を受け入れた。


 別段問題はなかった。パルマンとボルファルトは力強く頷いた。


「それと、ボルファルト君。緊急の要請がない限り、明日はゆっくりと体を休めてくれと隊員たちと分析官(アナリスト)全員に伝えておいてくれたまえ。私からの話は以上だ」

「はい。では、これで失礼します」

 大方納得したようにボルファルトが一礼したので、パルマンもそれに従った。


 通路に出ると、二人はエレベーターホールに向かって歩き出した。


「これで良かったよな?」

 AGIを活動期にさせる内臓ストレージを全て破壊することに対して、ボルファルトはもう一度同意を求めてきた。

「はい、あれはもう俺たち人間にとって、ただの懸念材料でしかありませんから」

「ああ、そのとおりだ。人類の未来は人類の手で切り開けばいい!」

 そのままエレベーターに乗り込むと、二人は指令室に向かった。

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