表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第4章 女神の覚醒
66/69

カラクリの内幕

 エルデンバルト地区まで来ると、絶滅特殊部隊の本部の屋上にあるヘリポートに突風を巻き上げながら最新鋭の軍用型ヘリコプター――ヴォルテックスは着陸した。


 地面に降りると、建物内に通じるドアの近くにランドロスが待っていた。長官が直々に自分たちを迎えることなど異例の事態だった。ランドロスとはそういう人物なのだ。


「ボルファルト君にパルマン君、ちょっと話がある。長官室まで来てくれ」

 それだけ言うと、ランドロスは建物内に消えた。


 事件解決の報告なら先ほどボルファルトがしたはずだ。それとは別に何か話したいことでもあるのだろうか。しかも、呼ばれたのは二人だけだ。


「AGIを無力化したカラクリについて聞きたいと前もって伝えておいた。パルマン、お前も一緒に来い。どっちにしても、これの処分方法についても聞かなければならないからな」

 ボルファルトは両手で持った八個の特殊な組み込み式内臓ストレージ――PUDを見せた。


 数分後、他の隊員たちと別れた二人は長官室のドアをノックした。


「入りたまえ」

 ランドロスの声はとても穏やかだった。長官だけが開けられるドアが開く。


 中に入ると、ランドロスは背もたれに全体重を預けて椅子に腰かけていた。

「ボルファルト君から事件解決までのだいたいの話は聞かせてもらったよ。パルマン君、良く説得してくれたね。君のおかげでこの巨大都市(メガシティー)の人たちは死なずに済んだようなものだ」

「ありがとうございます!」

 ねぎらいの言葉をパルマンは謙遜(けんそん)することもなく受け入れ、深々と頭を下げた。


「君たちがここに来なくても、この謝意は伝えようと思っていた。それと、ボルファルト君が言うには、活動期(プロシード)に入ったAGIが何故元の状態に戻ったのか知りたいと言うのでね。事件が一件落着したことだし、もう伝えてもいいと判断したまでだ」


「どうして自分たち二人だけなんですか? 隊員全員にお話しされてはどうでしょう?」

 パルマンは素朴な疑問を投げかけた。


「それはだね。あまり公にする話題でもないからだよ」

 その口振りから、ランドロスは本来なら誰にも話す気がなかったのだと理解した。


「ボルファルト君、昨日君と貧困区に行ったのは覚えているかね?」

「もちろんです」

「あの建物に都市警察の手から逃げのびている凄腕のシステムエンジニアがいてね。その男が内臓ストレージの中身を暴き出してくれたんだよ。その上で、最悪の場合に備えて少し細工を施してもらったというわけだ」

「どんな細工ですか?」

 ボルファルトが訊き返した。


「そう急かさなくても全て話すから安心したまえ。解析の結果、内臓ストレージにはAGIの義脳(ぎ のう)を制御する装置の解除プログラムが書かれていることが分かった。さらにそれを実行するメイン装置はAGIの本体に組み込まれている可能性が高いこともね。だから、最後の切札も敵の手に渡った場合に解除プログラムを作動させるメイン装置の実行を阻止するための新たな実行ファイルを作ってもらったんだよ。これで仮に活動期になったとしても、すぐに休眠期(サスペンド)に戻る。これがカラクリの中身だ。理解してくれたかね?」

 長々と話した長官の問いかけに、パルマンとボルファルトは「はい」と素直に頷いた。


 ここまで話を聞くと、今回の事件解決の手柄の半分はランドロスの機転によるものだと思い知らされる。〝神〟のままだったら、自分たちは何も打つ手がなかったのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ