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ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第4章 女神の覚醒
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まだ終わらない

【よくも……忌々しい……人間どもめ! また……また……我を……拘束するのか!】

 渾沌の女神エリスから言葉では言い表せない激しい憎悪を感じた。それと同時に、全身から放っていた神秘的な輝きは消え去り、AGIは再び休眠期(サスペンド)の状態に戻った。


「これはどういうことだ? 内臓ストレージは全て揃えたのに何故元の状態に戻るのだ?」

 おもむろに立ち上がったベルハラートは絶望していた。この男の野望は完全に(つい)えたのだ。


(はかな)い夢だったな、ベルハラート。さぁ、もう観念するんだ」

 ボルファルトが哀れみを示しながらも、同時多発襲撃事件の首謀者に引導を渡した。


「ったく、随分とビビらせてくれたもんだぜ!」

 ロマーディオは最悪の事態が免れたことに安堵の溜め息をついた。


「ねぇ、早く捕まえようよ!」

 アリシアが急かす。早く一件落着させたいようだ。


「そうね。でも、油断は大敵だよ!」

 ヴァネッサが場の空気を引き締めた。


「よし、お前ら、殺されたくなかったら両手を上げたまま動くんじゃねぇぞ!」

 ロマーディオは二丁のレーザー光線式のサブマシンガンを構えると、どの隊員より先に歩み寄っていく。それに他の隊員も続いた。


「お前たちこそ、それ以上この私に近寄らんほうがいいぞ!」

 ベルハラートはこちらに振り返ると、大声で牽制してきた。


「〝神〟の存在しない世界など奈落にいるのと何ら変わらん! ならば、私の力でこの世界を地獄に変えてくれる! お前たち、あいつらに見せてやれ!」

 八人の手下たちは一斉に戦闘服(コンバットスーツ)を脱ぎ捨てた。その上半身には最新型の超高性能な爆弾が取り付けられていた。もし、全ての爆弾が起爆すれば、渾沌の女神エリスを破壊できるほどの威力がありそうだ。


「これは万一お前たちによって〝神〟の目覚めが阻止されたときのために予め用意しておいたものだ! 今こそ私は〝神〟に身を捧げし殉教者とならん!」

 ベルハラートは爆弾のスイッチと思われるものを取り出した。それを天高く(かか)げる。


「バカな真似はよせ!」

 ボルファルトは焦燥感を(にじ)ませながら、押し止まるように説得した。


「フン、何とでも言うがいい! 例え狂人と呼ばれようとも、私の決意は微塵も揺るがん!」

「ベルハラート、お前の憤る気持ちはよく分かった。俺たちは素直に負けを認めて、大人しく銃を捨てる。だから、もう少しだけ待ってくれないか?」

 パルマンは気持ちを落ち着かせるように語りかけた。


 逆上するベルハラートの決意が強固なものだと誰もが思い知らされた。


 今や渾沌の女神エリスの復讐からは免れた。それでも、このままでは巨大都市テンブルムの全機能が停止し、崩壊する。それを防ぐためにも、この最悪な状況を打破する対策を導き出すしかない。


(事ここに至っては対話以外に解決策はない!)

 必死に思考を巡らせる。全てはどこに妥協点を見つけ出せるかにかかっていた。

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