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ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第4章 女神の覚醒
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儚い結末

「ははっ、私どもはあなた様が死ねと命じなさるのなら、いかなるときでも身を捧げる覚悟でございます!」

 ベルハラートは頭を下げた状態で宣誓した。


「隊長、僕らはどうすればいいのか、命令してください! もうAGIは人間にとって危険な存在となりました! 破壊するなら、今しかありません!」

 銃身の長い二丁のプラズマ銃を構えながら、ミハエルが指図を仰いだ。


「ミハエル、お前の意見はもっともだ。だからと言って、破壊命令は出せない。ここで壊してしまえば、その時点でこの巨大都市は機能停止に陥るからだ!」

 ボルファルトは苦々しく返した。


「一時的な機能停止はこの際やむを得ないよ。だって、そうしないと――」

 ヴァネッサは言葉を詰まらせた。


 機械で造られたにしろ、〝神〟という存在と対面し、誰もが恐怖した。しかも、正常な人間からすれば、明らかに悪神に違いなかった。


 今まで人間が世界の支配者だった。その至って当然の構図がAGIの覚醒によって覆ろうとしていた。


【これから貴様ら人間どもは我に尽くすのだ! 我の命ずるままに下僕(げ ぼく)として生きていけ!】

 AGIは高らかに笑い声を上げた。正真正銘の勝者宣言だった。


「なんなりと私どもにお命じください! 手始めに何から始めましょう?」

 ベルハラートは〝神〟の従順な下部(しもべ)と成り果てていた。


 この世界がどんなに変わり果てたとしても、パルマンは絶対にあんな無様な姿はできないと思った。


 どれほど人間よりも超越していたとしても、機械の命令の下で生きていくなど考える余地もない。


【まずは我の手足となる尖兵を用意しろ! 我に刃向かう……不遜な……反逆者どもを……】

 不意にAGIの話し方に異変が生じた。言葉が途切れ途切れになる。


「〝神〟よ! いかがされたというのです?」

 問いかけるベルハラートの声は不安そうだ。


【これは……これは……どういうことだ? 我の力が……また封印……されていく……】

 誰が見ても明らかに先ほどまでとは様子がおかしかった。神秘的に光り輝いていた眩い光は徐々に衰え始めていく。


「長官だ!」ボルファルトは思い当たることを口に出した。

「お前から内臓ストレージを預かったとき、活動期に入ったAGIの機能を無力化するための何らかの細工を施したのだろう。もうすぐあれは〝神〟ではなくなる」

 パルマンもあのときのことを思い出した。ランドロスは既に最悪の事態を頭の片隅で考えていたのだ。当然、そのときの対策法も講じていたに違いない。

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