儚い結末
「ははっ、私どもはあなた様が死ねと命じなさるのなら、いかなるときでも身を捧げる覚悟でございます!」
ベルハラートは頭を下げた状態で宣誓した。
「隊長、僕らはどうすればいいのか、命令してください! もうAGIは人間にとって危険な存在となりました! 破壊するなら、今しかありません!」
銃身の長い二丁のプラズマ銃を構えながら、ミハエルが指図を仰いだ。
「ミハエル、お前の意見はもっともだ。だからと言って、破壊命令は出せない。ここで壊してしまえば、その時点でこの巨大都市は機能停止に陥るからだ!」
ボルファルトは苦々しく返した。
「一時的な機能停止はこの際やむを得ないよ。だって、そうしないと――」
ヴァネッサは言葉を詰まらせた。
機械で造られたにしろ、〝神〟という存在と対面し、誰もが恐怖した。しかも、正常な人間からすれば、明らかに悪神に違いなかった。
今まで人間が世界の支配者だった。その至って当然の構図がAGIの覚醒によって覆ろうとしていた。
【これから貴様ら人間どもは我に尽くすのだ! 我の命ずるままに下僕として生きていけ!】
AGIは高らかに笑い声を上げた。正真正銘の勝者宣言だった。
「なんなりと私どもにお命じください! 手始めに何から始めましょう?」
ベルハラートは〝神〟の従順な下部と成り果てていた。
この世界がどんなに変わり果てたとしても、パルマンは絶対にあんな無様な姿はできないと思った。
どれほど人間よりも超越していたとしても、機械の命令の下で生きていくなど考える余地もない。
【まずは我の手足となる尖兵を用意しろ! 我に刃向かう……不遜な……反逆者どもを……】
不意にAGIの話し方に異変が生じた。言葉が途切れ途切れになる。
「〝神〟よ! いかがされたというのです?」
問いかけるベルハラートの声は不安そうだ。
【これは……これは……どういうことだ? 我の力が……また封印……されていく……】
誰が見ても明らかに先ほどまでとは様子がおかしかった。神秘的に光り輝いていた眩い光は徐々に衰え始めていく。
「長官だ!」ボルファルトは思い当たることを口に出した。
「お前から内臓ストレージを預かったとき、活動期に入ったAGIの機能を無力化するための何らかの細工を施したのだろう。もうすぐあれは〝神〟ではなくなる」
パルマンもあのときのことを思い出した。ランドロスは既に最悪の事態を頭の片隅で考えていたのだ。当然、そのときの対策法も講じていたに違いない。




