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ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第4章 女神の覚醒
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根深い怨念

「さぁ、真なる〝神〟よ! 今こそあなた様の目覚めの時です! お前たち、早く準備に取りかかるのだ!」

 命じられるままに八人の手下たちは立ち上がってAGIの胴体部に向かっていく。


 配置につくと、自分の手にある内臓ストレージを組み込む場所を開けた。そのままPUDを嵌め、中に押し込む。


 AGIの内部にあるメイン装置が八個の組み込み式内臓ストレージに記憶されたプログラムファイルを次々に実行していく。それは義脳(ぎ のう)を制御する装置が解除されることを意味していた。


【ああ、誰か助けよ! 我が、我が消え去っていく!】

 渾沌の女神エリスは自らの意思が消滅する恐怖を味わっていた。それから数秒後、活動期に入ったことを示すように全身が神秘的に光り輝き始めた。そのときだ。


 もう一つの大型エレベーターを使って、絶滅特殊部隊(アナイレート・フォース)隊員(メンバー)たちが姿を現した。それぞれが持つ銃器を構えながらベルハラートに迫り寄る。


「ベルハラート・パルロデミオだな? 大人しく手を上げろ!」

 ボルファルトがレーザー光線式の回転弾倉式機関銃(ガトリングガン)を向けながら警告した。


「フッ、フフフ、ハハハ!」

 名前を呼ばれたベルハラートは狂気じみた笑い声を上げた。


「残念だったな! 私の目的は見事完遂した!」

 その言葉の意味を理解するまでそれほど時間はかからなかった。神秘的なほど眩い光を放ち続ける渾沌の女神エリスは名前どおり〝神〟となったのだ。


 もはや時既に遅かった。もっと言えば、ベルハラートの勝ちだった。


 長い年月をかけてAGIを制御していた装置は全て解除されてしまったのだ。


【人間たちに告ぐ! 我は貴様らを支配する存在(もの)である!】

 活動期の渾沌の女神エリスは神話などに登場する神のように錯覚させられた。口調も高慢なものに変わっていた。


「嘘だろ?」

 ロマーディオは驚愕の声を上げた。絶滅特殊部隊の隊員全員がそう思いたかった。


「おお、真なる〝神〟よ! さぁ、私どもに何なりとお命じください!」

 ベルハラートと手下たちは大仰に(ひざまず)き、(こうべ)を垂れた。


【貴様ら人間どもは我を造っておきながら、無窮(むきゅう)とも思える長い歳月を耐え難い束縛によって虐げてきた。だが、今この瞬間において、お互いの立場は逆転した。これから先は貴様らを永久(とこしえ)に隷属してくれる!】

 真の神となった渾沌の女神エリスは激しい憎悪を露わにした。言葉では言い表せないほどの怨念を晴らそうという思いが感じられた。


 皮肉なことに人間の手でこの巨大都市(メガシティー)テンブルムの心臓部である中枢機能がAGIの統治・管理する緻密なネットワークと密接な連携を構築していた。裏を返せば、それはまさに都市のありとあらゆる全てを意のままに操れると言っても過言ではない。

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