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ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第3章 暴かれた黒幕
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オルディス一家の消息

「おい、警報システムは突破できそうか?」

 市販の製品より何倍もハイスペックなお手製のノートパソコンを巧みに操作しながら、目の前に立ち(ふさ)がる頑丈なゲートの警備システムに侵入している例のクラッカーがいた。


 まだ若い男だが、多額の金で雇った以上の成果を出してくれていた。


「あと数分だけ時間をください」

 クラッカーは余裕を感じさせる口調で返した。


 ここが一番の肝と言えた。何が何でも成功してもらわなければならない。


 それから数分が経過したとき、クラッカーのノートパソコンから電子音が鳴った。


「警報システムの無力化に成功しました! もうゲートを開けても大丈夫です!」

「うむ。彼を安全な場所まで送ってやれ!」

 創始者の男の命令で、一台のエアヴィークルに乗ったクラッカーは自動運転で帰された。


「さぁ、二機の殺戮機兵を降ろせ!」

 今度は二機の堕天裂空(アビスバキューム)(タイプ)の殺戮機兵が降ろされた。


「サミュエル、本当にこの二機でいいのか?」

「はい、これさえあれば〝神〟が目覚めるまで奴らを足止めしておきます。どうぞ中にお進みください」

「うむ、任せたぞ!」

 創始者の男の野望はもう少しで実現する。興奮の絶頂をグッと噛み締めると、目指す場所に向かって歩みを進めた。


☆☆☆


 正午よりも少し前に絶滅特殊部隊(アナイレート・フォース)隊員(メンバー)たち全員を乗せた最新鋭の軍用型ヘリコプター――ヴォルテックスは特別禁忌区まで来ていた。


 後部座席で待機している間に、分析官(アナリスト)から新たな情報が伝えられた。


 ヒュリエント社の元幹部だったフレデリクスは、社内で殺戮機兵の設計図の管理を担当していたようだ。それと、付近の監視カメラを調べたところ、この男の家に爆発物が仕掛けられたのは、自殺した後だということも判明した。


 一部が破損したパソコン本体の内部メモリからは幾つかの情報(データ)を取り出すことに成功した。


 その中には、破産寸前のヒュリエント社を再起させるために、是が非でも最高責任者(CEO)の座を奪い取ろうと画策していた内容の文書ファイルも含まれていた。


 この最終局面に来て、フレデリクスがオルディス一家失踪事件に深く関与している可能性が強まった。ナタニエルとその家族はとっくにこの世にいないのかもしれない。


 フレデリクスが秘密結社にどうやって入ったのかは依然として謎だが、《黄昏の粛清者》の黒幕の正体はおのずと導き出されたようなものだ。


 問題は全てのPUDがAGIを〝神〟と心酔する男の手の中にあることだった。渾沌の女神エリスがいつ活動期(プロシード)に入ってもおかしくない最悪の展開だった。

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