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ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第3章 暴かれた黒幕
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ベルハラートの死体

「昨晩メールでも知らせたが、もう一度伝えておく。既に始末した《黄昏の粛清者(エピュラシオン)》の一人が以前汎用人工知能(AGI)を〝神〟と心酔するカルト教団の幹部だったことが判明した。しかも、その教団の教祖が渾沌(こんとん)の女神エリスの義脳(ぎ のう)を設計した天才脳科学者の末裔に当たるベルハラート・パルロデミオだと分かった。だが、この男は同時多発襲撃事件の際に殺されている。この件で分析官のほうから何か情報はあるか?」

 ボルファルトが分析官に向かって問いかける。


「このカルト教団についてですが、複数の信者たちが徒党を組み、AGIの未知なる可能性に批判的だった市議会議員を撲殺した事件がきっかけで既に解散命令が出されています」

「そのときに教祖や幹部たちは逮捕されなかったのか?」

「はい、撲殺を裏で指示したかどうかが焦点になったのですが、逮捕された信者ら全員が口を揃えて否認し続けたため、嫌疑不十分で立件には至りませんでした。解散後の教団幹部たちの動向についてはまだ探れていません」

「そうか。引き続き調べてくれ。次はフレデリクスの自宅の爆破事件についてだ。何か新たに分かったことはあるか?」

「実は破損したパソコンの本体とその周辺機器はまだこちらに届いてません。もちろん、何か分かり次第すぐに報告します」

「頼んだぞ!」

 その言葉の後、突然巨大画面に都市警察の刑事の顔が表示された。


「取り込み中のところに顔を出してすまない。今から少し前に検死解剖で重大な報告が届いたので、そちらにも知らせておこうと思った」

「別に謝ることはない。ぜひとも聞かせてくれ」

 年配の刑事に対しても、ボルファルトの口調は変わらない。立場的にはこちらが上なのだ。


「年齢、体形、性別の点でベルハラート・パルデロミオと思われる死体が見つかった。うちとしてはこの死体をベルハラート本人と断定することにした」

「なるほど。それで、もう検死解剖は終わってしまったのか?」

「まだだが、これ以上は――」

「だったら、もっと詳細に調べてくれるように頼んでくれないだろうか? その死体が本当にベルハラート本人だと断定する証拠が出るまで」

 ボルファルトの言葉は懇願しているようにも聞こえた。まるで死んでもらっては困るとでも言いたげな話し方だ。


「……分かった。そう伝えておく」

 それだけ言い残すと、その捜査官の顔が巨大画面から消えた。


(隊長――)

 パルマンも気持ちは同じだった。自分の推測が正しいならば、だ。


「俺たちは全員でベルハラートの自宅に向かう。都市警察では調べきれてない情報があるかもしれないからな。装備が整ったら、屋上に向かってくれ!」

 今回はボルファルト自ら捜査に出向くようだ。


 屋上にはヴォルテックスという名前の最新鋭の軍用型ヘリコプターが停止していた。


(何でもいい! ベルハラートが黒幕かどうかの手がかりを見つけなくては――)

 もし、ベルハラートが白なら、今度はナタニエルを重点的に調べ尽くす。本当の黒幕を暴き出すにはそれしかなかった。


 この暗雲立ち込める漆黒の暗闇に一筋の光明が差すのを切実に願った。

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