表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第3章 暴かれた黒幕
49/69

本会議前

 翌朝、パルマンはいつもより早い時間帯に簡易ベッドから起き上がると、昨晩と同じく電子レンジで温めるパスタを食べてから指令室に向かった。


 他の隊員(メンバー)が来るにはまだ早い時刻だ。ただ、思考を巡らせるにはここがいいと思った。


 昨日隊長に電話した後、スマートフォンからネットに繋いでベルハラートの創設したカルト教団について調べてみた。当然ながら、《鋼鉄の聖華(ヴァンジャンス)》という名の新興宗教団体は既に活動をしていなかった。ベルハラートに関する記事もほとんどが削除されていた。


 推測だが、権力のあった父親のモスリーニャが一家の恥とでも言うべき次男に関する記事を揉み消したのだろう。さらにこの男は汎用人工知能(AGI)の生みの親の子孫でありながら、その力を全く信用していなかったようだ。逆に、人類こそが進化が遂げられると信じ込み、後に狂気の所業と批評される超人化計画を推し進めた。言うまでもないが、彼が生きている間に成功することはなかった。


 皮肉な話だが、その研究で作り出した産物が自分の顔に泥を塗ったベルハラートの手で悪用されている可能性があった。


(だが、秘密結社の連中にベルハラートは殺されてしまった――)

 問題はもう一つあった。仮にベルハラートが生きていたとしても、殺戮機兵(カルネージ)との線が繋がらなかった。


「もうここに来てたのか」

 不意に呼びかける声が聞こえてきた。視線を向けると、ボルファルトの姿があった。

「ちゃんと体は休めたのか?」

「はい、いつでも出撃できる準備はできています!」

 すぐに立ち上がったパルマンは質問に元気よく即答した。


「まぁ、座っていろ。全員が集まるまでは楽にしてていい」

 ボルファルトは苦笑しながら歩み寄って来た。


「俺もあれからパルロデミオ家のことをネットで調べてみた。特に、超人化計画と都市警察に射殺された長男の不審死についてだ」

「何か分かりましたか?」

「父親の証言だと、長男は長年精神疾患を患っていたようだ。それで突然ナイフを持って暴れ回ったという話だった。だが、よくよく調べてみたところ、長男は温厚な人間で、あのような暴挙に走ったのを初めて見たという使用人の証言を見つけた。しかも、父親は長男を溺愛していたようだ。飽くまで推測だが、父親は長男を愛し過ぎたために超人化させようとしたのかもしれないな」

 モスリーニャの狂気の所業の最初の犠牲者が精神に障害のある長男だった。災難とも、悪夢とも言うべき真実だ。


(隊長も死んだベルハラートが黒幕だと睨んでいるのか)

「ですが、隊長。あの男は既に死んでいます」

「ああ、問題はそこだな」

 二人は少しの間沈黙した。


 それから十分が過ぎる頃にはミハエル、アリシア、ヴァネッサが順々に姿を見せた。最後にロマーディオが眠たそうにやって来た。


「よし、全員を席に着け!」

 ボルファルトの言葉に全員が速やかに自分の席に座った。巨大画面には数人の分析官(アナリスト)の顔が映し出されている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ