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ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第3章 暴かれた黒幕
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依頼成立

「まぁ、お前らじゃ、何十人束になってかかろうと勝てねぇよな。奴らも改造人間(レプリカント)だし、俺らみてぇに砕珠(サイマナ)も使えるからよ」

 オズモンドは酒が入った上に、(おだ)てられて気分が良さそうだ。


「その通りなんです。我々は銃器を使えても、砕珠という不可思議な武器は誰一人使える者はいません。そこで、抹殺者の中でも群を抜いたお二方なら、絶対にやり遂げられると期待しているんです。いかがでしょう? 依頼を受けてもらえませんか? 何でしたら、我々の手下を二十人ほどお渡し致します。他の奴らの足止め程度にはなるはず。どうぞ好きなようにお使いください」

「使い物にならないお前らの手下なんていらねぇよ!」

 酔いが回ってきたロズウェルが提案を突っ返した。


「それなんですが、我々も何一つ〝武器〟がないわけではありません。手下たちの肉体能力を著しく強化する人体増強剤を個々に持たせてあります。瞑想(トランス)状態と呼んでますが、これを使用することで、改造人間とも互角に渡り合えるほど肉体が強靭化します。手下たちが他の奴らを封じ込めている間に、お二方はパルマンだけを狙ってください」

「人体増強剤? そんなので俺たちと対等に戦えるって言うのか?」

 オズモンドは不審そうに訊いてきた。


「膂力と俊敏さだけならほぼ互角に近いと断言できます。もう一度お願いします。この依頼を引き受けてくれませんか?」

 双子の抹殺者は同時に顔を見合わせた。


「分かった。やってやろうじゃねぇか!」

 オズモンドは力強く承諾した。


「ありがとうございます! これで私も肩の荷が下りました!」

 サミュエルはスーツの内ポケットからマネーカードを取り出した。


「前金の百万リブラです。どうぞお受け取りください。依頼の成功報酬として、さらに同額をお渡します」

 オズモンドはテーブルに置かれたマネーカードを掴み取ると、カードリーダーに差し込んで金額を確かめた。それから、満足そうに笑みを浮かべる。


「それと、奴らが次に現れる場所とだいたいの時間を伝えておきますので、それより少し前にそちらで待機しておいてください。場所は――」

 サミュエルは小声で場所を伝えた。


「その話、本当に信じていいんだろうな?」

「もちろんです。以前にこの男の恋人を誘拐したことがありまして。残念ながら、計画自体は失敗したのですが、恋人のスマートフォンに盗聴器を埋め込んでおいたのです。その通話から奴らが次に向かう場所が特定できました。なんでしたら、もう一度その恋人を連れ去ることもできますが、どうしますか?」

「それは俺らのポリシーに反する! それに、そんな卑怯な手を使うまでもない!」

 酔いが回ったオズモンドは苛立ちを剥き出した。


「これは私としたことが差し出がましいことを言いました。それでは、私はここで失礼させてもらいます。それと、ここでのお金も全て我々が持ちますので――」

 深々と頭を下げ、サミュエルは席を立つと店を後にした。


「しっかりと頼みましたよ」

 その冷笑を浮かべる顔は先ほどまでのサミュエルとは別人のようだった。

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