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ブラッドサースティヴィーナス  作者: 檜鶯盈月
第3章 暴かれた黒幕
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新情報入手

 ビジネス街のあるメルロアドリオ地区に世界民間保護団体(WCPO)の建物はあった。


 この組織の一員であるジュリアナが資料室に(こも)ってからおおよそ二時間以上が経過しようとしていた。


 高齢の資料室長――コラッド・モンデスバーグに疎ましそうに睨まれながら、ジュリアナはWCPO が敵対した闇に潜む凶悪な犯罪組織に関するファイルを徹底的に調べていた。


 今回同時多発襲撃事件に及んだ《黄昏の粛清者(エピュラシオン)》は汎用人工知能(AGI)である渾沌(こんとん)の女神エリスを〝神〟と崇拝していた。だが、ここまで確認した犯罪組織で似通った思想を持つものは一つとして見当たらなかった。ジュリアナは肩を落として落胆した。


「もう!」

 苛立ちからワイヤレスのキーボードとマウスが置かれた机に両手を叩きつける。その行動を見かねたのだろう。コラッドは遠くから大きく咳払いをした。


「どうしよう。このまま手ぶらじゃ帰れない」

 スマートフォンを手に取ると、つい先ほどパルマンからの送られてきた返信のメールを読み返した。そこには自分の行動を思い止まる旨の文面が書かれていた。だが、事ここに至っては手遅れとしか言いようがない。


「あいつらはAGIを〝神〟だと崇めている。神……そうよ! 神よ!」


 抜群のひらめきだと思った。調べる資料が間違っていたのだ。ジュリアナは検索欄に自分が思いついた言葉を入力した。カルト教団と。


 WPCOではいかがわしいと思われるカルト教団に入信してしまった家族を救い出す活動も行っていた。特にジュリアナと同い年ぐらいの若者の入信は年々上昇傾向にあった。


 一度洗脳された信者を脱退させるのは著しく困難を極めた。その有様をジュリアナも自分の目で見てきた。それ以降カルト教団に対して物凄い嫌悪感と憎悪を抱き続けている。


 まずは破壊的なカルト教団だけに絞り込んだ。それにより、随分と調べる数を減らすことができた。残るは何を〝神〟として(たてまつ)っているか、だ。


「見つけた!」

 秘密結社と同じ信仰対象のカルト教団が存在した。教団名は《鋼鉄の聖華(ヴァンジャンス)》。今度はそれを設立した主要人物一覧を表示させた。


 初めに教祖の顔と宗教思想が表示され、画面を下にスクロールすることで幹部たちの顔が次々と表示されていく。その中の一人にジュリアナは思わず声を上げてしまった。


 年齢は幾らか若かったが、今朝自分を誘拐した者たちのリーダーに間違いなかった。


「確か、こいつの名前はゴルティモアだったはず!」

 これだけでも有力な情報だが、肝心なのは秘密結社とこのカルト教団との繋がりについてだ。


「おい、もうここら辺でいいだろう? さぁ、出て行ってもらおうか」

 唐突にコラッドが肩を叩いてきた。資料を調べるのに集中していたジュリアナは驚きで飛び上がりそうになった。


「え、もうそんな時間?」

「そうだ。分かったら、パソコンの電源を消し、早く荷物をまとめるんだ」

「今とっても大事なところなんです! もう少しだけ時間をください!」

「わしは規則を順守する人間なのでね。ほら、出口はあっちだぞ」

 ただ単に早く帰りたいだけの窓際職の分際でありながら、偉そうに命令する口振りに段々と腹が立ってきた。ジュリアナは先ほどよりももっと強い力で机を叩いた。


「私は重大な調べ物をしている最中なの! 分かったら、向こうに引っ込んでてちょうだい!」

 凄まじい剣幕で怒鳴りたてられたコラッドは「はい」と怯えながら床に尻餅を着いた。


「ったく!」

 ディスプレイに向き直ったジュリアナはすぐに今目にした資料に視線を戻す。何としてでも価値ある情報を掴み取るために。

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