襲撃者たち
敷地内に目をやると、戦闘服を着た見張りたちは暗視ゴーグルを装着し、赤外線スコープ付きのレーザー光線式マシンガンを持っていた。周囲を見回しながら、襲撃者たちは注意深く警戒している。
少しの間見張りたちを観察すると、豪邸の敷地内だけあって、お互いに持ち場が決められているのが見て取れた。だが、プラズマ銃だと一瞬で気付かれてしまう。
ここは闇夜に紛れてガリエラの家まで行くしかない。ただ、邸宅まで行くにはここからだと多少距離があった。
パルマンは大口径のプラズマ銃を腰のホルスターに戻してから、砕珠と呼ばれる天威武器を召喚した。その直後、目の前に氷天の力を宿らせた二本の小剣が出現する。そのうちの一本だけを使うことにした。
新たな武器を手にしたパルマンは人気のない場所に向かって二メートルほど跳んで、綺麗に刈り取られた芝の上に着地する。もし、見張りの中に優れた番犬でもいれば、怪しまれたかもしれない。
目指す先には二人の見張りがいた。しかも、それほど間隔は開いていない。それでも、改造人間のパルマンには確実に二人を仕留める自信があった。
ここは並外れた俊敏さがものを言う。気配を消しながら一人目の背後を取ると、空いている手で口を押え、小剣で首を掻き切った。
飛び散る鮮血は瞬時に凍りつき、苦痛に顔を歪めたまま凍死した見張りを地面にゆっくりと寝転がす。さらに次の見張りの死角に入った直後、音を立てずに背後から左胸を突き刺した。
呻き声を上げる間もなく、噴き出した大量の血しぶきとともに凍結した。
その死体を静かに仰向けに寝かせると、パルマンは無音でガリエラの豪邸まで疾走する。
窓のある壁まで来ると、オリーブ色のカーゴパンツのポケットから非常時に備えて常に持ち歩いていた窓の開けるための道具を取り出した。それの吸着面を窓に吸い付けて、伸びる糸の先にある切れ味の鋭い数ミリほどの刃で円弧を数回描いた。
道具を引っ張ると、吸着面にくっ付いた円形をした窓がくり抜かれた。その穴から窓の締め金具に手を伸ばしてこじ開ける。
邸宅内に忍び込んだパルマンは身を屈めて周囲を見渡す。案の定、ここには誰もいなかった。
敷地の警戒に重点を置き、明かりの点いた二階の部屋以外は無防備状態だ。
ガリエラの邸宅には数回来たことがある。それでも、間取り図を全て把握しているわけではない。まずは二階を目指すために居間に向かうことにした。
居間は荒れ放題だった。足下の所々に無残に殺された使用人たちの死体が転がっていた。
これで襲撃者たちはこの邸宅内にいる全員を始末する気なのが容易に窺い知れた。
躊躇なく使用人を皆殺しにしたのは、ガリエラしかお目当ての物の隠し場所を知らないと判断したからだろう。
不意に上の階から苦悶に歪む呻き声と荒々しい怒鳴り声が聞こえてきた。
ガリエラも隠し場所を言えば、即刻殺されるのは十分分かっているはずだ。だが、そろそろ拷問の苦痛から解放されたいという気持ちを抱き始めてもいい頃合いだ。
助けるために残された時間はもう僅かしかない。
パルマンは慎重に階段を上がると、素早く傍の壁にへばり付いた。それから、目的の部屋を盗み見る。
部屋のドアは開け放たれていた。通常の視覚に戻してから再度覗き見る。
室内には見張りたちと同じ銃器を手に持った三人の手下たちが先ほど目にしたとおり、壁を背にして直立不動で立っていた。ただ、この位置からではガリエラと襲撃者のリーダーの姿は見えない。




