絶滅特殊部隊本部
「こんにちは、パルマン。ボルファルト隊長からの伝言で、制服に着替えたら長官室まで来てほしいそうよ」
受付嬢の一人であるエリノア・オルゼリアは待ち構えていたように話しかけてきた。
「わかった。すぐに行くと連絡しといてくれ」
社会人のエリノアのほうが明らかに年上なのだが、パルマンはタメ口で返した。
別に偉ぶっているわけではない。それだけ付き合いが長いだけの話だった。
更衣室に向かう前に身体認証が待っていた。指紋、声紋、網膜の照合を一度に行い、全てが一致する必要があった。
パルマンは体の一部を機械化した改造人間ではあるが、身体認証する部分は人間のままだ。
身体認証の場所に向かうと、自分の名前を告げた。それと同時に、前方を見つめながら掌を指定の場所に置く。当たり前だが、問題なく通過した。
二重層になったドアが開き、長い通路を歩きながら更衣室に向かった。
左手の広々した部屋には、常時最大で三十人のスーツ姿の優秀な分析官たちを動員した情報解析室が置かれていた。しかも、中では様々な専門部署に分かれているという話だ。
今頃、《黄昏の粛清者》という謎の秘密結社を丸裸にするべく、違法すれすれの手法を駆使しながら様々な情報を収集し、文字どおり解析しているところだろう。
少しでも何か判明すれば、即座に長官や隊長のところに情報が上がるようになっている。
もしかすると、昨晩の同時多発襲撃事件について、マスメディアも嗅ぎつけていない詳細な情報が聞けるかもしれない。そんなことを考えながら、男性用の更衣室に着いた。
自分のロッカールームに来ると、パルマンは早々と制服に着替えた。次いで、隠しておいたコインロッカーから持ち帰ってきた特殊な組み込み式内臓ストレージ――PUDの入れられた銀製のケースを上着の内ポケットに入れる。後は大口径のプラズマ銃をホルスターごと装着し直すと、再び通路に出た。目指すは建物の最上階の長官室だ。
エレベーターホールまで来ると、上のボタンを押して少し待った。
自動ドアが開かれたが、誰もいなかった。
パルマンは中に入り、5のボタンを押した。すぐにドアは閉まり、上昇していく。
目的の階に着くと、足早にエレベーターを降りた。次いで、ここに訪れるお偉方たちと話し合うための会議室などの部屋を通り抜けて長官室まで歩いていく。




