人の頭脳を持った虐殺ロボット
「あれは噂に聞く殺戮機兵というヤツか? こうなっては仕方ない。この場は僕とアリシアに任せて、二人は早く出入口まで逃げるんだ!」
銃身の長い二丁のプラズマ銃を持ったミハエルが言った。
「アリシアも来てるのか?」
アリシア・アシュレイ。絶滅特殊部隊の隊員であり、凄腕の狙撃手だ。もちろん、二人とも改造人間でもある。
「ああ、そうだ! だから、心配は無用だ!」
一般市民の恋人がいる以上、この場での戦闘は極力避けたかった。だが、仲間が二人も来てくれたことで心に少し余裕ができた。
「恩に着る! それと、お前の能力を活かすなら、二丁拳銃よりも砕珠で戦ったほうがいい」
風の噂だが、殺戮機兵は特殊合金で製造しているという話だ。ミハエルの銃身の長い二丁のプラズマ銃では脆い部位の破壊ぐらいが精一杯だろう。
「それくらい言われるまでもない! お前らこそ、ボサッと突っ立っている暇などないぞ!」
ミハエルは慣れた手つきで二丁拳銃をホルスターに戻すと、砕珠と呼ばれる天威武器を召喚した。雷天の力を宿らせた大曲刀だ。それを確認すると、パルマンは恋人のジュリアナと共に倉庫跡地の出入口に向かった。
この場にいる全員が殺戮機兵を見るのは初めてだった。遠い昔に全て廃棄にされたと聞いていたからだ。ところが、何者かの手によって新たに製造されたか、破壊されないまま残存していた機体があったようだ。それも、どういうわけか秘密結社の手元にある。
八機の轟炎羅刹型の殺戮機兵は重量感を感じさせない速度で追いかけてきた。四本の腕を手前に向けながら。
「ここから先は何も通しはしない!」
放電する砕珠を両手で振り上げると、突然ミハエルは姿を消した。次の瞬間、目の前の殺戮機兵の真上に出現すると、大曲刀で一刀両断する。瞬間転移者だからこそ成せる技だ。
電流が迸る中、殺戮機兵は黒々と焼け焦げて再起不能になった。
あっさりと一機が大破したことで、残存する虐殺ロボットは行動を切り替えた。ミハエルに向かう機体とパルマンたち二人を追う機体とに枝分かれしたのだ。
それはまるで人間と同等の知能を持っているように思えた。




