外で待っていたのは
ジュリアナは唐突に身を屈めると、強烈な肘鉄を側近の鳩尾に喰らわせた。
激痛で体を折り曲げた側近は手から拳銃を落とした。間髪入れずにフワリとミニスカートを舞い上がらせながら素早く足払いをお見舞いする。
突然の急展開にゴルティモアは驚きを隠せない。それとは反対に、想定内だったパルマンは地面に投げ捨てた大口径のプラズマ銃を掴み取り、引き金を引いた。
ゴルティモアの左胸から鮮血が飛び散った。その間にコインロッカーのキーをジャケットのポケットにしまったパルマンは、恋人の手を力強く握りしめて作業員用の出入口にひた走った。
ジュリアナの突発的な行動が何故予想できたのか。
WPCOに参加するようになってから、ジュリアナは護身術を習い始めた。しかも、正義は悪に絶対屈しないという強い信念も持っていた。そこで、アイコンタクトした瞬間に何かしら行動を起こすと踏んだのだ。
パルマンは施錠がされていたドアノブを銃弾で破壊し、二人は急いで外に出た。
外にはゴルティモアを始末したときの銃声を耳にして駆け寄ってきた絶滅特殊部隊の隊員のミハエル・フェネルの姿があった。背中に長い二本の牙を生やした善悪二面性を持った神獣の顔をトレードマークにした制服を着ている。
善は尊い市民をあらゆる災厄から守り抜くことを意味し、悪は罪深き犯罪者は情け容赦なく根絶やしにすることを意味している。
ここに来ることは予め本部宛てに送った暗号化した専用のメールアプリ《ヒエログリフ》で伝えていた。
「パルマン、いったい何が起こってるんだ?」
現在の状況を完全には把握できていないミハエルが訊いてきた。
「その話はここを出てから話す。急いで外まで駆けるんだ!」
パルマンが焦燥感を滲ませながら指示を出した。その僅か数秒後だ。
激しい衝突音とともにテント倉庫の頑丈なシャッターがグシャグシャに破壊され、先ほどの殺戮機兵が次々と姿を現した。無残に殺されたゴルティモアの恨みを晴らすため、手下だった誰かが殺戮機兵を起動させるスイッチを押したのは想像に難くない。
こうなってはそう簡単に逃げ切れなくなった。どうにかしてこの不利な状況を打開する策を考え出す必要性に迫られていた。




